昭和ひとケタ樺太生まれ

70代の「じゃこしか(麝香鹿)爺さん」が日々の雑感や思い出話をマイペースで綴ります。

人里にやって来た丹頂鶴

2007-06-10 21:09:04 | じゃこしか爺さんの見て歩る記
 先日帰りがけに聞いた郭公と丹頂鶴の鳴き声が忘れられなくて、今度は姿が見られたらよいと、そんな淡い期待をこめてふたたび湿原道路に来てみた。
 湿原道路と云っても、あまり離れていない処に農家があり、また工事中のバイパスがあるような場所だから、郭公にしろ丹頂などがそう簡単に見られるはずが無いのだが、絶対に無いとは言い切れないなどと勝手に思いこんだのだ。
 じじつ数年も前のことだが、同じこの道路でじっさいに見たことがあって、カメラにおさめたこともあったからだ。もし運良く見られるとしたら、歩く人の少ない平日の今日が最適と思われた。
 それにいつも陽が上がるにつれて強く吹きはじめる風は、今日にかぎってふしぎとあまり感じられなかった。

 前の時もそうだったが、丹頂が姿を見せるのはほとんど湿原の奥のほうであった。だから今回もとうぜんそうだろうと、全神経を湿原の奥側にのみ向けて歩いていた。
 ところが丹頂の鳴き声らしきものが、たったの一度きりだったが、意外にも街の方向から聞えて来たのだ。
 じっさいには何も物音などなくて、たんなる空耳であったのかも知れない。直ぐに信じられずあれこれ迷いながらも、とりあえずは農道沿いに牧場に向かうことにした。

 若し丹頂が餌を求めて舞いおりるとしたら、このあたりではこの牧場しか考えらなかったからだ。しかしそこでは見つけることが出来ず、諦めようと帰りかけたときに眼にしたのは、牧場にそって流れる仁々志別川で小魚を漁っていた丹頂の番いだった。
 さっきの声は空耳でもなかったし、また目の前の丹頂は幻でもなく、まさに天然記念物の丹頂鶴そのものだったのである。

仲良く小魚でも漁っているのか!

足音に気付いて土手に上がってゆく

広い牧場に出て安心したのか餌を啄み始めた