昭和ひとケタ樺太生まれ

70代の「じゃこしか(麝香鹿)爺さん」が日々の雑感や思い出話をマイペースで綴ります。

雲によせて

2005-10-12 21:07:15 | 日々の雑記
           
              おうい雲よ
              ゆうゆと
              馬鹿にのんきさうぢやないか
              どこまでゆくんだ
             ずつと岩城平の方までゆくんか   山村暮鳥

 今日の湿原道路は前日同様で、風は全く無く背に受ける日差しの温もりがとても心地良かった。そのうえ中空に浮く雲の様は、まるで長閑な絵を見るようで最高のウォーキング日和であった。秋色一色の世界に浸りあれこれ思い、疲れなどはすっかり忘れてしまっていた。
               
 冒頭の詩は、山村暮鳥の「雲」という作品の中の一部で、私の好きな詩の一つです。暮鳥そのものの人柄、また他の作品などのことについては、余り深くは知りません。ただ二十歳代の頃、何かの折に目にしたこの詩が何故か、50年も経った今でも、消える事無く残っていて、特に秋空に浮く雲を眺めた時などに甦って来るのです。
勝手な想像ですが、草叢にでも寝そべり中空を流がれ行く雲を見入って、感傷的になっている、若き暮鳥の姿が浮かんで来ます。

  またこうした情景からは、直ぐに啄木が連想されます。ただ彼の場合は寂れた城跡が相応しく、其処に佇み物憂げに空を見上げている青年啄木の姿が浮かびます。

 更に思いは飛躍して、美空ひばりの世界にまで発展して、「りんご追分を」に始まり、並木路子の「リンゴの唄」などまで広がり、何時の間にか記憶を辿りながら、いつしか口ずさんでいました。

       追分山のてっぺんを、綿みてえな白い雲が
       ポッカリポッカリ流れて行き・・・・・・・・・・・・・
       ・・・・・・・・・・・・・おらぁ・・・おらぁ・・・・
 
 傍には老妻しか居ないのを見越して、良い年(70余歳)をした老人が、すっかり興に乗り大きな声で歌い出す始末でした。