マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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額田部当家のサカキ神遷し

2011年11月07日 06時43分56秒 | 大和郡山市へ
4軒の当家家族がお渡りをされる前に自宅で推古神社の分霊を祀っていたお社から「ヤナギ」へ神さんを遷しかえる。

それは三本足に組んだ竹の台に置いていた。

小さな竹筒と根付きの稲穂を括りつけていたヤナギに遷しかえる。

杉の枝葉が植えられ、四角く塀に囲まれたお社の頂点には一週間前に「ウツシマワシ」の祭礼によって遷されていた分霊(ワケミタマ)がある。

祭りを迎えたこの日の朝に再び宮司によってお渡りに担がれるヤナギに遷される。



4軒の当家へ向かった宮司と二人の巫女さん。

推古神社を出発したときには地区を練っていた蒲団太鼓台と遭遇した。

お渡りの時間には再び合流するのであるが、それまでは額田部町の全域を巡っている。

宮司と巫女さんは太鼓台の動きとは別行動をとる。

ミナライとされる新当家の一番当家が案内する当家の家。

それは四番、三番、二番、一番とウツシマワシ(遷しまし)のときとは違って逆順になる。

それは最後となる一番当家の家で宮司と巫女を接待することに他ならない。

それは一番当家が祭りの主当家となるからなのであろう。

分霊推古神社のお社の前に座った宮司と巫女。

始めに宮司による祝詞奏上、祓えが行われる。

次は巫女が前に座り祓えたまえとかしこみ申して祝詞を述べる。

そして右手に鈴、左手に扇を持ってシャンシャンの音を奏でながら右に左へと舞う巫女神楽。



その鈴は固唾をのんで見守っていた当家家族に振られ祓い清められた。

そのあとはムギ藁束に挿されていたサカキを稲穂に遷して一軒の当家神遷し神事を終えた。

そうして次の神遷しをされる三番当家へと向かっていった。

ここでも同じように厳かに作法される。

二番、一番を終えるには1時間ほどもかかる。

ときには地区を巡行していた蒲団太鼓台や神楽提灯とも遭遇する。

「ヨーイッ ソレッ」と子供たちの掛け声が町内に響き渡る。



静かなる神遷しの様相と違って掛け声はいたって賑やか。

額田部町の祭りは「静」と「動」が交差する時間帯であった。

(H23.10. 9 EOS40D撮影)