最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

虐待から子どもを守るための地域のネットワーク「 チャイルドファーストはこだて」

2018年12月26日 14時19分42秒 | メディカルはこだて
第68号の特集は、虐待から子どもを守るための地域のネットワーク「 チャイルドファーストはこだて」。

2017年度に全国の児童相談所が対応した虐待は13万3778件(速報値)で、過去最高を更新した。統計を始めた1990年度から27年連続の増加だ。17年度の虐待対応の中では、配偶者への暴力で子どもがストレスを受ける「面前DV」や無視、暴言などの心理的な虐待が全体の54%を占めた。面前DVは心理的虐待と認知されたことで通告が増え続けている。
全国各地で虐待防止のための様々な取り組みが行われているが、函館中央病院は2010年に児童虐待の防止と早期発見を目的とした「院内児童虐待防止委員会」を設置し、虐待の早期発見と保護者への子育て支援を通じた予防活動を積極的に推進してきた。
院内児童虐待防止委員会の設立以降、虐待の早期発見については院内各診療科の連携も進んできたが、対外的な協力関係などの面では、同病院小児科医長の石倉医師は児童相談所とのコミュニケーション不足を感じていた。
そこで、児童相談所との勉強会をスタートさせたが、この勉強会が後に「チャイルドファーストはこだて」として継続・発展していった。
「児童相談所はどういうことをしているのか。その疑問が出発点です。児童相談所にとっても病院では何をしているのかわかりません。病院と児童相談所はお互いに理解することが必要だと考えたからです」。
2015年8月に顔合わせ会、1回目の勉強会は函館児童相談所所長の阿部康子さんによる「医療機関と児童相談所が関わった事例について」でした。
2回目は院内児童虐待防止委員会の活動について、事務局を担う医療ソーシャルワーカーの役割を同病院医療福祉相談室室長の田中博光さんが話をした。
3回目と4回目は医療機関向け虐待対応プログラムであるBEAMS Stage1について石倉医師が講師を務めている
beamには「光の束」という基本的な意味の他に「屋根の梁」や「心からの笑顔」という意味があり、複数形であるBEAMSには「皆で虐待の問題に光をあて」「崩れゆく家庭を支え」「子ども本来の笑顔を取り戻してほしい」という意味が込められている。


函館中央病院小児科医長の石倉亜矢子医師。


チャイルドファーストはこだての事務局を担当する同病院総合医療支援センター医療福祉相談室の藤井三四郎さん(社会福祉士)は「チャイルドファーストはこだてのような民間主導の勉強会で、地域の子どもに関係する多くの職種の人がこれだけ集まるのは全国的にも珍しい取り組みだと思います。そして、こんなに子どものことを思っている大人が函館にいるということ。地域の子どもを守ろうと思っている人が多いということを実感しました」と語る。
チャイルドファーストはこだての参加者は児童相談所など転勤をする人も多い。
「常に新しい人と接することになりますので、この会を継続していくことが重要だと考えます。これからも最初の始めた頃の熱い気持ちを忘れないようにしたいですね」。


函館中央病院総合医療支援センター医療福祉相談室の藤井三四郎さん。


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