第68号のピックアップニュースは、がんゲノム医療の「連携病院」に道南の2病院が指定。「がん遺伝子検査」で効果の期待できる治療の検討も。
がん細胞のゲノム情報を調べて、その結果をもとに、より効率的で効果的に診断や治療、予防を行う「がんゲノム医療」で、市立函館病院(森下清文院長)と函館五稜郭病院(中田智明病院長)は10月1日、全国に11カ所ある中核拠点病院の「連携病院」に指定された。
市立函館病院は北海道大学病院、函館五稜郭病院は慶応大学病院と、それぞれの中核拠点病院と連携する。道内では道南の2病院のほか、札幌医科大学附属病院、北海道がんセンター、旭川大学病院が北海道大学病院の連携病院として指定されている。
ゲノムとは生物の遺伝に関わるいろいろなDNA分子全体に対する総称だが、がんゲノム医療で行われる「がん遺伝子検査」とは、がんのもつ遺伝子の特徴を調べる検査で、この結果によって、効果の期待できる治療を検討できる場合がある。
生まれてから後に起こった、次の世代に引き継がれることのない遺伝子変異は「体細胞変異」と呼ばれているが、その変異を明らかにするのが「がん遺伝子検査」だ。
市立函館病院は来年度には、がんゲノム医療の専門外来を院内に開設し、患者の受け入れを開始する予定で、遺伝子パネル検査の導入も目指している。
同病院はこれまで北海道大学病院腫瘍内科と共同で分子標的薬や抗がん薬の臨床試験に取り組んできた。
消化器内科の成瀬宏仁副院長は「抗がん剤の効果や副作用を予測するコンパニオン診断は、肺がんなど一部の遺伝子検査を実施してきました」と話す。
コンパニオン診断をすることで、特定のがん治療薬が効く可能性の高い患者を特定することができることから、高い治療効果が期待され、無駄な治療を行う必要もなくなった。
市立函館病院副院長・消化器病センター・消化器内科の成瀬宏仁医師
今年7月に「がん遺伝子外来」を開設した函館五稜郭病院は、外部機関と協力して遺伝子パネル検査(網羅的がん遺伝子解析プレシジョン検査)を行っている。
同病院がんゲノム医療センターの池田健センター長(副院長)は「がんは様々な遺伝子の異常が積み重なることで発症し、その遺伝子の異常は個々の患者さんごとに異なることが分かってきました」と話す。
現在、その遺伝子の異常を標的とした治療薬(分子標的薬)が日常診療で使われているが、現在行われている一般的な遺伝子検査はそのごく一部しか調べることができない。
「当院が実施している網羅的がん遺伝子解析では、がんの診断や治療に役立つ情報を得るために、一度に160の遺伝子変化を調べる最新の解析技術を用いて、患者さんのがんの原因遺伝子が何かを知ることができます」。
函館五稜郭病院副院長・がんゲノム医療センターセンター長の池田健医師
がん細胞のゲノム情報を調べて、その結果をもとに、より効率的で効果的に診断や治療、予防を行う「がんゲノム医療」で、市立函館病院(森下清文院長)と函館五稜郭病院(中田智明病院長)は10月1日、全国に11カ所ある中核拠点病院の「連携病院」に指定された。
市立函館病院は北海道大学病院、函館五稜郭病院は慶応大学病院と、それぞれの中核拠点病院と連携する。道内では道南の2病院のほか、札幌医科大学附属病院、北海道がんセンター、旭川大学病院が北海道大学病院の連携病院として指定されている。
ゲノムとは生物の遺伝に関わるいろいろなDNA分子全体に対する総称だが、がんゲノム医療で行われる「がん遺伝子検査」とは、がんのもつ遺伝子の特徴を調べる検査で、この結果によって、効果の期待できる治療を検討できる場合がある。
生まれてから後に起こった、次の世代に引き継がれることのない遺伝子変異は「体細胞変異」と呼ばれているが、その変異を明らかにするのが「がん遺伝子検査」だ。
市立函館病院は来年度には、がんゲノム医療の専門外来を院内に開設し、患者の受け入れを開始する予定で、遺伝子パネル検査の導入も目指している。
同病院はこれまで北海道大学病院腫瘍内科と共同で分子標的薬や抗がん薬の臨床試験に取り組んできた。
消化器内科の成瀬宏仁副院長は「抗がん剤の効果や副作用を予測するコンパニオン診断は、肺がんなど一部の遺伝子検査を実施してきました」と話す。
コンパニオン診断をすることで、特定のがん治療薬が効く可能性の高い患者を特定することができることから、高い治療効果が期待され、無駄な治療を行う必要もなくなった。
市立函館病院副院長・消化器病センター・消化器内科の成瀬宏仁医師
今年7月に「がん遺伝子外来」を開設した函館五稜郭病院は、外部機関と協力して遺伝子パネル検査(網羅的がん遺伝子解析プレシジョン検査)を行っている。
同病院がんゲノム医療センターの池田健センター長(副院長)は「がんは様々な遺伝子の異常が積み重なることで発症し、その遺伝子の異常は個々の患者さんごとに異なることが分かってきました」と話す。
現在、その遺伝子の異常を標的とした治療薬(分子標的薬)が日常診療で使われているが、現在行われている一般的な遺伝子検査はそのごく一部しか調べることができない。
「当院が実施している網羅的がん遺伝子解析では、がんの診断や治療に役立つ情報を得るために、一度に160の遺伝子変化を調べる最新の解析技術を用いて、患者さんのがんの原因遺伝子が何かを知ることができます」。
函館五稜郭病院副院長・がんゲノム医療センターセンター長の池田健医師