最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

高橋病院は「人生会議」をいち早く導入。法人全体、そして地域全体に広げていく

2020年01月05日 15時20分42秒 | メディカルはこだて
第72号の特集は「高橋病院は『人生会議』をいち早く導入。法人全体、そして地域全体に広げていく」。

日本は少子超高齢社会と同時に多死社会に突入しているが、このような社会で求められる医療として、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)が注目されている。ACPとは自らが望む人生の最終段階における医療・ケアについて、前もって考え、医療・ケアチームなどと繰り返し話し合いをし、共有する取り組みのこと。2018年3月に改訂された厚生労働省の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」においても、ACPは人生の最終段階を迎えた本人や家族などと医療・ケアチームが、最善の医療・ケアを作り上げるための合意形成のプロセスを示すものとして明文化されている。厚生労働省はACPの取り組みを普及させるために愛称を募集し、「人生会議」に決定した。高橋病院は民間病院としていち早くACPに取り組んでいる。高橋肇理事長と第3病棟主任の塚本美穂さんに話を聞いた。
高橋肇理事長は「これからの医療は本人が目指す人生を関わる人が皆で支援していくことが重要です。慢性期の病院では寝たきりの場合、本人の意向を聞く機会がないまま看取るケースが少なくありません。当院でも家族を含め、患者をよく知る人たち全員が納得した形を作る必要があると考えていました」と話す。ACPの必要性を感じた高橋理事長は同病院にACP導入を行っていくことを決定。ゆくゆくは法人全体、そして地域全体に広げていくことを目指していく。「ACPは地域完結型の医療提供体制を実現させるきっかけになります。地域の医療機関と介護関連施設、在宅サービスを結び付ける重要な指標となり、患者情報を他の施設と共有することで患者本位の提供体制が可能になるからです」。


高橋病院のACPの取り組みについて説明をする高橋肇理事長。



「ACP・人生会議は患者と家族との距離が縮み、家族間の絆が深まります。思っていた以上に、自分の死後のことを案じているのです。甥がキーパーソンという82歳の女性は甥に迷惑をかけると心配していましたが、甥が『迷惑じゃないし、心配ないよ』と本人へ声がけをし、本人からも笑顔が見られました。無理な延命を望まない90歳の男性は、普段は恥ずかしくて言えない息子への感謝の気持ちを述べました。それを聞いた息子は「この機会がなければ聞くことはなかった」と涙を流したそうです」。


人生会議のカンファレンスの流れについて説明をする第3病棟主任の塚本美穂さん。

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