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ポルトガルとスペイン41 エヴォラの水道橋

2022-02-04 17:36:42 | Weblog
水道橋がエヴォラ城壁を突き抜けるときを真下より臨む。壁際には団体旅行客用のバスも停まっていた。

【アグアス・デ・プラダ水道橋(Aqueduto de Agua da Prata)】
 昼食後に水道橋を目指すことにしました。エヴォラの北西にあるグラカ・ド・ディポルの泉より取水し、丘をずーっと伝ってエヴォラ城内を突き刺し、最後にジラルド広場の噴水塔へとつながる全長11キロのローマ式水道橋です(現在、8.3キロ残る)。16世紀にエヴォラの水不足解消のためにジョアン3世が命じて作らせました。建てたのは、あのリスボンにある「テージョ川の貴婦人」と名高いベレンの塔を作ったフランシスコ・デ・アルーダです。
 
 グーグルマップでは徒歩5分で城内の水道橋に出会うはずなのに、全然見あたりません。エヴォラはほんとに迷路です。
 細い路地をくねくねと抜けるうちにネコを見、犬を見、安い果物屋を見、日本料理店を発見し、やがて学生街にでました。ピカピカのコインランドリーや「NARUTO」などの日本の漫画のポルトガル語版を売る店などもあって週末は賑わいそう。
エヴォラにあった日本料理店[samurai].


エヴォラの学生街にあった日本の漫画を多数売る店。エヴァンゲリオンやポケモンなどが置かれていた。

でも時間のせいなのか、道が一般道ではないのか、人はほとんど見かけませんでした。こうして、ようやく大きな道路に行きついたと思ったら城壁の外に立っていました。

 立派な石造りの城壁の周りは緑地帯になっていてオリーブ、コルクなどの木が植わっています。コルクの幹は触るとフワフワしていて、たしかにワインの栓の風合いです。すでに上皮をはぎ取った木もありました。そういえば土産物屋にはコクルの皮で作った財布やカバンなどがたくさん売られていました。特産品なのでしょう。

コルクの木(上皮を剥いだところ)

 ミツバチが集う紫の花の草、クローバーやたんぽぽも無造作に植わっています。その先は車がビュンビュン行き交う何車線もある道路で一部、渋滞も見られました。

城壁の外からみたエヴォラ。

 道路をわたると、現代の街のはしっこに突き当たったらしく、郊外感が半端ないのに驚きました。アスファルトと石畳に覆われた車線は、ほこりっぽく、だだっぴろい。その向こうには手入れされてない森、その合間にコンクリートの古ぼけた建物がポツン、ポツンと建っています。民家ははるかに遠く、その先にようやくスーパーマーケットなどの現代の街並みらしきものが見えます。
 世界遺産の街・エヴォラは、イエズス会の追放とともに時を止め、80年代にふたたび観光資源としてパッケージされたのであって、現代社会を生きる普通の人々は城壁の外側にいるのだ、とはっきりと認識することができました。
なんだかディズニーランドから出たみたいな、夢からさめたような気分です。

 それにしても水道橋は見えません。こうなったらスマホには頼らず、ひたすら城壁沿いに進むことにしました。すると、ようやく見えました。はるか丘の上から続いて見える水道橋は思った以上に高々とそびえ立っています。

奥に見えるのが城壁を突き抜ける水道橋。10メートルほどの高さ。

 城壁の上を抜けて、城内を突き刺すように進むさまは、何事にもぶれることなく毅然と行進しているかのよう。上空に緩やかな傾斜を描く水道橋をたどっていくと、橋の下の柱を組み込むように人家が建ち並び、やがて建物と同化し、さらに単なる道の横に続く石塀のような状態になって、人の目線より少し上の高さになったあたりで視界から消えました。


水道橋が視界で見られる最後の部分はほぼ石塀のよう。

 おそらく建物の中に入って、やがて地下へともぐり、想定通り、民家の水として使われつつ、ジラルド広場の噴水口へと続いているのでしょう。

参考文献:https://core.ac.uk/download/pdf/147577407.pdf

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