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ツバメとコウモリ6 幸せの象徴

2014-01-05 13:54:39 | Weblog
写真は、建水・燕子洞の入り口(2006年撮影)。洞窟や岸壁があると、中国ではまず確実に文字の立派な彫り物があり、近くに道教や仏教の寺がある。
1902年にここを通った探検家も「禅定」「白巾」、各種五言絶句の詩の石刻を見つつ、微光をたよりに洞窟に入ったという(民国・羅養儒『雲南掌故』より)

【洞窟につきものは・・】
今や、ツバメの巣祭りまで開いてツバメに関心の高い建水ですが、清末期までは食べてもおいしくないツバメやツバメの巣に興味を持つ人は、少なくとも文章を書く人にはいなかったようです。

 今を去ること350年ほど前、明の時代の有名な孤高の地理学者・徐霞客も中国各地を探検する中で
「(建水の)洞窟に行きたいと願い続けて数十年。ようやく万里を越えてここについた。」と万感の思いで建水の洞窟探検に赴いています。

 時期は最悪にも雨期の真っ最中。地元の人に案内されて一番行きたかった「顔洞」
(顔氏が所有する洞窟。一番、大きいと評判が轟いていたらしい。今の中国には個人の所有権はないので名称も変わっている。)
 の入り口まで行き、中に入ろうと案内を請うと、地元の案内人が皆

「水が溢れ、流れも急で、とても行けるものではありません。2ヶ月前でしたら、水が涸れていたので、橋がなくても洞窟に入ることは簡単でしたが、今は橋を架けても行けないでしょう。ましてや橋がないのですから、絶対に行けません」と大反対。
 見ると、橋とおぼしき丸太が清流の下に沈んで見えます。

 徐霞客は案内者の選択を誤ったと後悔しつつ、ついに一つ目の洞窟へ入るのは断念。
 次に地元の人の薦めで橋が架かっている洞窟に入ります。暗くて足もとも悪いなか、透明な水の流れる傍を歩くことができ、さらに大きな滝や鍾乳洞のスケールに大満足。

 ただ彼の日記『徐霞客遊記』には、この洞窟のツバメの記述はありません。それ以前に昆明の太華山に登った時には「まるで蜂の巣のようにツバメの巣がある」との記述を残していることを考えると、ツバメを見る余裕がなかったのか、いなかったのか、悩むところです。

 次に下って清の末期、光緒28年(1902年)の中秋節(旧暦8月15日)。地元の富裕者と壮士13人が食糧、飲み物、松明(たいまつ)、ろうそくなど準備万端整えて、午前7時30分より建水の洞窟探検に挑んでいます。

 彼らは数ある洞窟探検と同様のスリルを味わうのですが、そこで出会った動物はツバメではなく、数羽の大コウモリ。突然の明かりに驚いて突進してきたのです。そんなコウモリに対し「1000年前からいる生き物だ」と畏敬の念を持って記しています。

ちなみに中国ではコウモリ(蝙蝠)の「蝠」の発音と「福」の発音が同じ「フー」なことから、コウモリが幸福を招く縁起物として、飾りなどにもよく使われています。今年も、読者の方々に幸福が訪れますように。    (つづく)

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