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雲南のこんにゃく③

2012-03-16 09:51:42 | Weblog
写真は雲南省中部の文山地区の峠道のお食事処にて食べたこんにゃく料理。雲南から広東省に抜ける小さい道ながらも主要道のため、トラックなどの運送業者が卓を囲んでいた。こんにゃくと季節の野菜を地元の味噌やたっぷりのとうがらしで炒め煮にしたもの。さっぱりとしてごはんに良くあった。

【悪魔の芋?】
「磨」という字は、石臼で挽く、という意味があるので、こんにゃくの作り方を考えるとこの字が正しい書き方なのだろうが、現在、中国では「蒟蒻」という字はおろか「磨芋」という言葉も辞書にはあるが使われてはいない。雲南、四川では「磨(す)る」のではなく「魔(性の)」字を使った「魔芋」が一般的な呼称となっている。発音は同じだ。

 あの、黒々とした子どもの頭ほどの物体、けば立った里芋の親玉風の中央からピンク色の角を突き出したこんにゃく芋を見てしまうと、「魔」芋という字がぴったりなように思えてくるのも不思議なものだ。

 ちなみに『雲南植物志 第二巻』には、上記の呼び名の他にも、「花梗蓮」、「虎掌」、「花傘把」、「蛇頭根草」(江西)、「花麻蛇」(雲南・思茅)「南星」、「天南星」(広西の河池)など十数種類もの別称が載っている。この塊茎で「豆腐」を作ったり、製紙その他の工業用にも使われたりしていることが紹介されている。

 司馬氏はじめ、多くの方がいっておられるのだが、こんにゃくは中国人の大半を占める漢族の食物ではなく、山間の少数民族の食物の一つだったのだろう。「魔芋」以外の呼称の多さも山ごとに呼び名が変わる複雑さがそのまま保存されたもの、もしくは、山の中で見る隠花植物としてのグロテスクな花の姿から、つけられたもの、といえるだろう。      (つづく)

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