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雲南の豆腐の横道・本州一の豆腐は?

2010-04-11 14:16:55 | Weblog
写真は雲南名物・過橋米線にかかせない「豆腐皮」。中国風ゆばの細切りである。

【豆腐の横道・生搾り法の豆腐】
しかし、生搾り法のほうがおいしいことが明らかなのに、日本では大半の店がそうでないのはなぜか、というと理由は簡単。歩留まりがよいことと、生の状態で絞ると、おからになったものよりもはるかに力が必要で、面倒くさいからなのだ。

 ちなみに、日本では沖縄の他に以前から生搾り法の店が残るのは九州地方と中国地方だそうだ。(前出の添田孝彦さんの本より)
 偶然にも私が今までも料理屋で、これは、と思う豆腐の産地を料理屋の主人に尋ねた時にも、山口県か岡山県の山間地との答えばかりだった。製法を意識してなくても、舌でちゃんと分かるほど、味が違うのだ。味が丸いのだ。

 なんと戦前より中国文学研究者として京大などで教鞭をとっておられた青木正児のエッセイに「山口県の豆腐の良いのに驚いた」と書かれてあるのを発見した。しかも「山口の豆腐は日本一」と朝日新聞の連載に書くほどに入れ込んでおられる。(彼は相当な豆腐好きで、各地の大学で教鞭をとっては当地の豆腐のうまいところを探して酒のつまみの湯豆腐にしていた。そのため、家中の者が右往左往させられていたようだ。)

 やがて古巣の京都に帰ると今度は「豆腐が悪くて腹が立つ」、と京都中の豆腐を物色して、ようやく川向こうの鞍馬口の豆腐で、ほっと落ち着いた、とエッセイは終わる。ちなみに青木氏も山口の豆腐に出会うまでは、精進料理の発達している京の豆腐が日本一、と思っていたそうだ。そして旨さの理由は、豆と水にある、と結論づけている。(「豆腐腐談」『洛味』1959年)

 どうやら山口の豆腐は戦前から突出しておいしかったらしい。(沖縄の豆腐は遠すぎて、普通は食べられない。)おいしい水と、手間のかかる生絞り法が旨さを引き立てるのだろう。

 そもそもは日本でも、私が中国で味わった生搾り法で豆腐が作られていたのが、明治以降から大量生産の時代になり、関東を中心に現在のつぶした豆のまま煮る製法へと変わっていったという。そんな中、新技術が伝播せずに残った地域に生搾り法の店が残った、というわけだ。

 ともかくも戦前から今まで美味い豆腐の場所が変わらないので、つい、取り上げました。

*横道に逸れました。来週からは本道を行きます。
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