環境省の最新鳥類レッドリスト(2012年版)タカ目タカ科では、絶滅種が1種、絶滅危惧ⅠAが1種、三番目の絶滅危惧ⅠBが5種、四番目の絶滅危惧Ⅱ種が3種(オジロワシ、オオワシ、サシバ)、五番目の準絶滅危惧が4種となっています。・・・上がチュウヒ下がカラス
このうち近所の公園で見ることができるのは、チュウヒ、ミサゴ、オオタカ、ハイタカなどですが、チュウヒが絶滅危惧ⅠB、ミサゴ以下3種が準絶滅危惧に指定されています。・・・上がチュウヒ下がカラス
環境省の鳥類レッドリストで、オジロワシなどよりも絶滅が危惧されている希少な野鳥を大阪市内で観察できることは、バーダーにとって有難いことです。
チュウヒの国内繁殖つがい数は約90、大陸から飛来する越冬期個体数は 300~450羽と推定(環境省 2014年の調査)されているので、チュウヒがタカ科の中でも希少な保護対象であることは間違いないでしょう。
日本で繁殖するタカ類は、樹木などの高所に営巣しますが、チュウヒは主にヨシ原など草地に巣を作ることが知られています。
チュウヒの個体数の激減は、生息地の開発が要因と考えられていて、最近では大規模太陽光発電(メガソーラー)の開発が新たな脅威となっているようです。
さて、チュウヒは、翼の面積に対して体重が軽いことから、飛行の際に翼を浅いV字型とし、風を捕まえながら低空を飛行(帆翔と呼ぶ)、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、小型哺乳類等を捕食することが知られています。
このような翼のV字型は、揚力が低下する低速での飛行の際に、体のバランスを保つのに役立っていると考えられ、遠くからでもチュウヒであることを確認することができます。
同じタカ科の野鳥が高所から狙いを定めて獲物を捕まえるのに対し、チュウヒは目と耳を使って高度1~5mくらいの低空で獲物を探し、急降下して獲物を捕まえる狩りを得意としています。
また、チュウヒの風切羽の表面は、フクロウ類のようにやわからで、低空を帆翔する時の消音に役だっているようです。