リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

映画と芝居を同時に見ているような

2014年03月19日 | 日々の風の吹くまま
今日は「冬」最後の日。と言っても、別に冷え込んでいるとか、雪が降っているとかいう話で
はなくて、明日の春分の日をもって暦の上で公式に「春」。西洋暦の春夏秋冬は春分、夏至、
秋分、冬至がそれぞれの始まりだけど、春分の日が一番実際の季節感とのずれが大きい
ような気がするな。だって、あちこちにある桜並木が一斉にピンク色になって来たし、こぶし
が満開だし、ライラックの芽もふくらんでいるし、時計の上ではとっくに「夏」になってるし・・・。
まあ、日本の立春、立夏、立秋、立冬も似たようなもんじゃないかと思うけど、

今日は午後いっぱい仕事に集中して、夜はArts Clubの新作『Helen Lawrence』のワール
ドプレミアのオープニングナイト。映像と生の舞台をミックスした「ライブシネマ」という触れ込
みで、Hogan’s Alley(ホーガン小路)という、バンクーバーのチャイナタウンの近くに実在し
た賭博や売春で悪名高かった小路が舞台。(ギタリストの神様ジミ・ヘンドリックスのおばあ
ちゃんが住んでいたことがある。)時は1948年、戦後のまだ落ち着かない時代。賭博や売
春を取り締まる警官が賄賂を取り、警察署長がそれを巻き上げ、戦争で様々な傷を抱え込
んだ人たちが住んでいる小路にある男を捜している女性が現れて・・・。

ストーリーは舞台いっぱいに張られたスクリーンの上でモノクロの「シネマ」として展開する。
ハードボイルドなフィルムノワール風でなかなかいい。「上映」しているスクリーンの後ろで
役者の演技が同時進行で透けて見えるけど、カメラマンらしい人影が前にいたりする。映画
を見ているのか、撮影中の映画を見ているのか。スクリーンを無視して後の舞台を見てい
ると、椅子以外はセットがないのっぺらぼうだし、役者の声は聞こえて来ない。スクリーンを
見ないとストーリーを追えないけど、透けて見える舞台も気になるし・・・。演劇の新たな試
みということだけど、これが二次元と三次元が交錯する何とも不思議な世界。

謎の女性の過去、彼女の出現で慌てる男の過去がおぼろげにわかって来て、殺人が起き
て、逃げる男と追う女。シアトルへ向かう列車の一等車の個室。ドアが開いて、中にいた男
が相手を見る。「やあ、ダーリン」・・・END。衝撃的な終わり方だけど、その後どう展開する
かは予見できる。うん、なかなかおもしろかった。政府や大企業が相当な支援をしたようで、
レセプションには副市長が来ていた。バンクーバーでのプレミアが終わったら、モントリオー
ル、ミュンヘン、エディンバラ、トロントでの上演が決まっているとか。Arts Club旗揚げ50周
年を記念する大作、成功しそうな感じ・・・。