万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国際競争力を無視する原発再稼働不要論

2012年09月08日 16時09分39秒 | 日本経済
需要5~11%の減少 原発再稼働で計画停電回避 「薄氷」の安定供給(産経新聞) - goo ニュース
 先日、日本国の国際競争力ランキングが10位に落ちたとするニュースが報じられました。順位低下の主因は、電力供給体制が17位から36位に急落したことにあるようです。

 ”節電の夏”を乗り切ったことで、大阪市のエネルギー戦略会議をはじめ、反原発派の人々は、”ほら見たことか”とばかりに、再稼働反対のみならず、大飯原原発の稼働停止を主張するになりました。反原発派の人々は、”供給量さえ足りれば問題はない”と安易に考えいるようで、その陰で進行する産業の危機に対しては、全く素知らぬふりを決め込んでいます。現在、中韓を始めとした新興国との間の競争は激化しており、日本国の国際市場におけるシェア低下は、その高コスト体質にあると指摘されています。円高に追い打ちをかけるように、電力料金がこれ以上上昇しますと、数多くの企業は、安価な海外に生産拠点を移すか、競争に敗れて倒産に至ることは、当然に予測できます。電力供給は、電力危機のほんの一部に過ぎず、その一部を以って、原発再稼働の反対を訴えるのはナンセンスです。否、産業の空洞化と倒産企業の増加を考えますと、国民に貧困を強いるようなものであり、冷酷ですらあります。

 エネルギー政策の基本は、安価な電力の十分な供給であり、この基本路線から逸脱しますと、結局、産業の衰退による国力の低下と国民の生活レベルの低下を招きます。国際競争力の低下を無視した”電力が足りている論”には、決して騙されないようにしなければならないと思うのです。

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4 コメント

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Unknown (ねむ太)
2012-09-08 22:23:40
こんばんは。原発停止や原発廃止を軽々しく政治家が口にする現象が物語るものは、映画やアニメ・コミックなどのメディアに洗脳されている哀れな廃人の姿です。
アニメでも映画でも小説でもいいのですが、いとも簡単に新しい技術が作り出せて使えるような描き方をしています。
空想科学と現実の違い・・原発に変わる再生可能エネルギーで賄おうとすれば大規模な蓄電池、蓄電施設、蓄電池の寿命の問題など解決する為の難問が山積みされています。
完全に電池だけで走る自動車が発売されない理由は、個人で2~3年に一度200~300万円も出して蓄電池を購入できるでしょうか。
電動自転車の電池は年間1億本以上生産されていますが価格は2.5万~4万円近くまでで安くはなりません。
量産しても使われている部品が高価であれば価格は下がらないのです。
映画や小説・アニメのように簡単に安定した物が出来無い事を理解できず、デフレを脱却し経済成長に向かい停止していた生産設備が稼働しだせば大量のエネルギーが必要になる事さえ理解していないのが現状です。
無駄佳彦君のようにお友達ごっこをしていれば、どんな問題でも解決できる・・これも戦後教育とメディアに壊された現代人の哀れな姿でしかありません。
国の中枢に世界と対等に戦える人材が居ない理由は、新卒や後継者に自分より能力の低いものを選び、いつまでも自分達が実権を手放さないようにしているからに他なりません。
自費で外国の一流大学を優秀な成績で卒業して官庁に入っても決してキャリアには成れません。帰国子女と差別が待ち受けているからです。
その為に優秀な人材は現地で多国籍企業に入ってしまい国の為に活躍する事が少ないのです。
どうでもいいような連中が外国の表層部分ばかり見て原発はいらないなどと現実を知らない、現場で働く職人や技術者を見下している、これこそが日本の学歴偏重主義の最悪の部分です。
本当に技術を持ち名人上手と呼ばれる人は、子供の話でも楽しそうに、真剣に聞き学ぶものです。
政治家や首長など国民生活に責任ある人間は、もう少し謙虚さを身につけ、エネルギーや経済といった国民生活全般に関わる問題は低所得者層が無理なく暮らせるような政策を取るべきなのです。
社会のどこにターゲットを絞るかによって国民の負担は大きく違ってきます。一部の意見を聞いて国民の意見を拝聴したなどと愚の骨頂でしかありません。
返信する
ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-09-09 07:45:40
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 どこで読んだのか忘れてしまったのですが、日本国や中国などでは、ドラえもんが人気アニメとして放送されていますが、アメリカでは、決して放映されないと言うのです。その理由は、ドラえもんの子ども達への悪影響を懸念してるからなそうです。窮地に陥れば、直ぐにドラえもんが、ポケットから未来技術を出してきて、助けてしまうというストーリー展開は、依存心が強く、自分の力で物事を解決できない子どもを育てるのでは、と・・・。リーダーシップが求められるアメリカ社会ならではなのかもしれませんが、日本国の現状を見ておりますと、この指摘は、案外、当たっているのかもしれないと思うのです。
 政治を含め、日本国の再生には、未来の日本人たちが育つ環境や、人材登用のシステムにも十分な気配りが必要がありそうです。自分よりも能力の劣る人材しか採用しないと言うことは、利己的な保身以外の何物でもないのですから。
返信する
Unknown (ファン?号)
2012-09-09 16:00:34
大阪市が原発停止を未だに言うことが意外です。大阪市には中小の企業はないのでしょうか?

貴重な高い石油を ただ燃やすだけなんて・・・ これから、どんどん電気代は上がるに決まっています。中小企業は大変なことになると思います。

ドイツは、石炭があるから未だ良いと聞きます。自然エネルギーの設備もかなりあるとも聞きます。
でも、その自然エネルギーのせいで、自由化で一旦は下がった電気代が、どんどん上昇しているとも聞きます。
(2010年は、2000年の1.7倍とか・・・)

この経済成長低迷の時代に、今から高コストの自然エネルギーの設備を造っていく日本は、電気代が・・・
ああ、考えただけでも恐ろしい!

原発反対派の人は、みな お金持ちなんでしょうか?
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ファン?号さま (kuranishi masako)
2012-09-09 17:15:53
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 原発反対を訴えている人々は、電力危機の影響を受けない立場にあるか(知識人や芸能人・・・)、再生エネ事業で、一儲けを狙っている人々(ソフト・バンク…)が多いのです。反原発運動に積極的に参加する労組も、公務員系の組合や教職員組合など、失業の心配のない職業ばかりです(デモや集会への参加に際して、組合から手当を支給されている場合も・・・)。ですから、こうした無責任な運動が、平気で出来るのでしょう。日本国のエネルギー事情は、ドイツよりもはるかに劣悪ですので、国民の多くが、おそらく、原発ゼロには危機感を抱いているのではないかと思うのです。
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