万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

経済成長と原発再稼働

2012年12月17日 15時46分37秒 | 日本政治
原発政策、自民圧勝で転換点 民主党政権が残した“呪縛”(フジサンケイビジネスアイ) - goo ニュース
 昨日実施された総選挙の結果、3年4カ月ぶりに自民党が政権に返り咲くことになりました。ところで、選挙に際して、自民党は、選挙公約として経済成長率3%を打ち出しました。この目標は、多くの国民が歓迎するところですが、目標達成のためには、早期の原発の再稼働は、不可避なのではないかと思うのです。

 現在、全国レベルでの電力危機は去っておらず、企業各社は、節電や工場の稼働率を下げるなど、国民の目に見えないところで努力し、大規模停電の発生を防いでいます。それでも、北海道に至っては、7%の節電令が敷かれており、東京電力管内でも、12月に入り、気温の急激な低下により、他電力会社から電力の融通を受ける日もありました。電力供給は、未だに綱渡り状態にあります。その一方で、電力各社は、火力の燃料費を理由とした電力料金の値上げを相次いで申請しており、再生エネの普及が進めば、さらに電力料金の価格は上昇します。何れにしましても、このままでは、電力危機は、さらに悪化することが予測されるのです。電力危機の状態が長引けば、経済は、成長しようにも成長できません。生産を増加させたくても供給が足りず、また、供給を増やそうとすれば、電力料金が上がるという深刻なジレンマに陥るのですから・・・(円高が是正されても、生産を増やすことができなければ、意味がない…)。

 世論調査によりますと、今回の総選挙では、有権者の多くは、経済や景気を第一に考えて投票したそうです。経済成長や景気回復が原発再稼働とセットであることは、おそらく、多くの有権者は気が付いていたはずです(自民党も原発容認の方針を示していた…)。経済成長を目標に掲げる自民党政権の誕生は、国民の多くが、原発再稼働を容認したと解釈してもよいのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 投票は景気回復への第一歩 | トップ | 銃規制とNPT体制-少数の凶暴... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ファン)
2012-12-17 20:31:18
激しく同意!

脱原発自体は間違っていないが、それは代替エネルギーを確実なものにしてからのこと。

早急な原発停止は国を滅ぼしかねない。
日本国民は、ヨーロッパの どこかの国のような、いい加減な国民ばかりではない。

再生可能エネが確かでない。資源がない。ユーロ圏のようなネットワークがない。の、ナイナイづくしなのに、性急な原発全基停止。というのは、完全な間違い。

なのに、極々一部の過激派に踊らされ、これまた管前総理のような政治家とは思えないような極々一部のお方に
に振り回され、民意を捏造してまで民主党全体が巻き込まれたのは意外。普通の人なら、直ぐに判ることなのに! 

もっとも、野田さんは判っているから、大飯を再稼動させたけど・・・ (変な輩が、皆 いなくなったので、民主党には、是非、再生していただきたいところである)

国民は、庶民は、決して 馬鹿ではない!
経済の再生に、高品質で安定した電力エネルギーが必要不可欠なことくらい、誰でも(一部の過激派を除く)知っている。
返信する
Unknown (ねむ太)
2012-12-17 21:00:18
こんばんは。自民党大勝が伝えられる中MBSの「チチンプイプ」と云う番組でなんとか安部首相を貶めてやろうと必死の工作活動をしていました。
その中で右傾化・軍国主義は怖いというコメントを引き出そうと街頭で女性にインタビューを繰り返すものの
「日本を守ってくれそうだから」
「どこから」
「中国や韓国から」
「中国の一部になるのは嫌」
これで空振りし、主婦を集めて原発問題について質問を繰り返してみたものの
「企業が潰れたり、海外に逃げて働く場所もなく貧しい生活をすることより経済を立て直すためには原発も必要」
皆が経済の問題が急務で原発再稼働容認を表明したものですから、スタジオに切り替え、コメンテーターを使って徹底的な罵詈雑言に近いコメントの垂れ流し・・・
反原発を利用して中国や韓国の為に働きそうな政治家を勝たせようと、原発問題が焦点かのようにキャンペーンを張ってみたものの、藪を突いて蛇が出たの例えの通り経済問題と不可分であることを宣伝する結果となり・・
原発再稼働反対は無責任極まりない公約だと見ぬかれ反原発・原発即時停止を叫ぶ無責任な連中の惨敗
マスコミは旧石器時代の遺物と化し、ネットを利用した生放送の前に風前の灯。
それ以前に常識のある人々の前には原発を止めて再生可能エネルギーに転換すればバラ色の未来が待ってるなどという発言が、どれだけ無責任であるか気づいています。
市民を連呼し、交通の便がいい都市部で暇を持て余している人間を集め市民フォーラムを開催し、これが民意だとばかりに原発即時廃止を叫んで、一部の左翼の言説を垂れ流した結果、壊滅的な自爆を遂げました。(大爆笑)
原発の再稼働問題はデフレ脱却の為の経済政策と不可分ですし、公明党は無責任な左翼と違い、きちんとした議論ができますので基準の策定が済み次第、基準にそった点検を実施し問題がない原発から順次再稼働をして行くのでは無いでしょうか。
無責任に反原発を叫び理論の欠片もないような連中が大量に落選してくれたことで原発に対する国民の意思は示されたものと思います。
返信する
ファンさま (kuranishi masako)
2012-12-17 22:14:58
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 ネット上の情報によりますと、労組は、組合員に民主党への投票を支持したそうですが、民主党政権の政策では、雇用も生活も危ないと、自民党に投票した人々が多くいるそうです。これまで、民主党は支持基盤が強固ともされてきましたが、その支持者をも裏切るような産業衰退政策を遂行したのでは、民主党が、歴史的な惨敗になるのも当然です。民意を捏造することで国民に甚大な損害を与えたのですから、その罪は深いと思うのです。
返信する
ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-12-17 22:25:22
 コメントをお寄せくださいまして、ありがとうございました。
 今回の選挙では、国民の民主党に対する信頼がすっかり失われていることが明らかになりましたが、もう一つはっきりしたことは、マスコミの国民に対する不誠実さと背信ぶりなのではないかと思うのです。テレビに出演しているコメンテーターのしたり顔の説明には、辟易してしまいます。事実を解説するのではなく、自分の願望を述べているに過ぎないのですから(国民は、安倍政権の右傾化を嫌悪し、原発にも反対しているはず・・・・)。この態度、中国や韓国の歴史に対するものと、どこか共通しております。民主党が、国民の信頼を取り戻すことが難しいように、マスコミもまた、一度失われた信頼は、なかなか戻ってこないのではないでしょうか。アメリカでも、最近では、マスコミの嘘には厳しくなってきているそうです。
 ねむ太さまは、公明党は、左翼政党とは違うと申されておりますが、教祖に絶対服従という体質は、北朝鮮を想起させます。自民党は、連立を組む方針とのことですが、親中派でもありますので、やはり、不安はぬぐいきれないように思うのです。
返信する
Unknown (nero)
2012-12-17 23:20:52
はじめてコメントします。記事とは少し離れるのですが、先日、衆議院選挙の投票に行かせていただきました。政治について詳しくない私が投じた一票が本当に意味のあるものだったのか不安で仕方ありません。もう24歳になるのですが、政治の知識が浅いことに恥ずかしさを感じるしかできません。そこで、管理人様やいつもコメントをしていらっしゃる皆様に意見をもらえたらと思い、コメントさせていただきます。

三年前に民主党が政権交代を果たした時、国民は「民主党に勝って欲しい」ではなく「自民党が嫌だ」という理由で投票したのではないかと思います。民主党が勝ったのではなく、自民党が負けたのです。そして、そこからの三年間、日本の景気は悪化の一途を辿り、生活保護受給者が毎月のように過去最高人数を叩き出しています。当時、民主党が掲げた公約を理解して投票した人はどのくらいいたのでしょうか。

今回の選挙は自民党と民主党の立場が変わっただけのように感じて仕方ありません。開票してみると自民党の圧勝。結果は逆ですが、三年前と同じです。国民は自民党の公約を理解して投票したでしょうか。これで消費税が増税されても文句は言えません。原発が停止しなくても反論できません。10以上の政党が選挙に参加し、ほとんどの政党が選挙用なのか消費税増税は凍結といっている中で、自民党ははっきりと10%に引き上げと明記していました。原発完全停止を反対していたのは自民党くらいではないでしょうか。

ちなみに、私が投票する際に最も重視したのはTPP参加表明を示していないということ。これは一党しかなかったような気がします。景気が悪化するのが目に見えているというのに、参加するなんて理解できません。自国よりアメリカに媚びることを選んだ政治家の戯言でしかありません。なんの為の生活保護費削減なのでしょう。TPPに参加することで多くの農家が職を失うと言われているのに、これでは本末転倒。政治は単独で存在しているのではなく、絡み合っているということがまだ解らないのでしょうか。

それから、日本が最優先ですべきことは社会保障の充実ではなく、景気回復だと考えます。回復とまではいかなくても、せめてデフレ脱却。そう考えると脱原発は国民の生活を直撃する要因にしかならないのに、選挙の為なのか脱原発、半原発を唱える政党がほとんどでした。人命が大事なのは理解しています。電気は目的ではなく、生きていくための手段です。しかし、放射能で人体が汚染される可能性がある原発を稼働させ続けることに反対する人が多いのに、電気代が跳ね上がる可能性がある方には賛同者が多いのはどういうことなのでしょうか。「原発は止めてほしい、但し電気代もあげないで欲しい」これは今の日本では不可能です。

そして、今年に入り生活保護費不正受給のニュースが頻繁に流れました。世間は流されるように生活保護費を下げろと言い出しましたが、最低生活費というのは憲法第25条で定められた最低限度の生活に深く関係したものですから、最低生活費が下がるということは、生活保護受給者の生活基準だけが下がるのではなく、国民全体(特に低所得者)の生活基準も一緒に下がるということではないのでしょうか。まず、最低賃金が下がります。最低賃金が下がることによって圧迫されるのは低所得者の生活です。生活していけない人が増え、結果的に生活保護受給者は増えてしまうかもしれません。

また、ベーシック・インカムには多くの人が反対の意を示していますが、子ども手当には賛同者が多いのはどういうことなのでしょう。本質は同じばら撒きに思えてなりません。お金がないと子どもが育てられませんが、給料が少なければ自分が生きていくだけで精一杯になってしまい、子どもどころか結婚もままならないと思います。もう一度言いますが、日本が求めているのは手厚い社会保障ではなく、景気回復ではないでしょうか。そして、それによって社会保障の財源を安定させることです。少ない財源で良質の社会保障を与えるなど不可能です。

長くなりましたが、今回の選挙の結果は民主党が三年に渡り失態をおかし続けたことを考えると妥当だったのではないかと思います。ただ、自民党の政治に戻ることが日本にとって良かったのかどうかは解りません。なぜかアメリカが先に失敗したことをいくつも取り入れようとしてきた政党です。古臭い政治です。方向を間違えず、優先順位を間違えず、誠実な政治を行ってほしいと思います。

的外れなことを書いてしまっているかもしれませんし、読んで不快になられた方もいるかもしれませんが、最後まで読んでくださってありがとうございました。
返信する
neroさま (kuranishi masako)
2012-12-18 07:51:50
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 自民党の方々も、大勝とはいえ、喜びに溢れるというよりも、どこか表情が硬かったとも報じられております。勝因は、積極的な自民党支持よりも、民主党批判にあったと、自己分析されているようです。民主党は、政権交代時には舞い上がり、一党独裁体制を彷彿させるような、傲慢な態度で政治運営を行いましたので、この点、自民党の方が、謙虚なのではないかと思います(政権を奪還したとはいえ、失政を繰り返すと、4年後には、今度は、自らが民主党の立場になる・・・)。

 TPPの参加問題については、自民党は、無条件参加を表明しておらず、例外なき関税撤廃には反対しております。おそらく、米については、例外扱いを求めるのではないでしょうか。アメリカや他の諸国にも、同様の要求がありますので、TPPにつきましては、今後の交渉次第なのではないかと思います。

 現在の生活保護世帯は、他の控除を合わせますと、月額23,4円の世帯と同程度の生活レベルとなるそうです(貧困ビジネスに利用されたり、パチンコで遊べる余裕もある・・・)。最低賃金よりも優遇されておりますので、この点は、外国人への支給も含めて、見直しが必要なのではないかと考えます。働くよりも、保護を受ける方が、楽になりますと、”貧困の罠”に嵌ってしまい、結局、貧困から抜け出せなくなるのです。

 原発については、脱・反原発派が軒並み議席を減らしたことを考えますと、やはり、国民の多くは、早期の再稼働を望んでいるのではないかと思います。稼働停止の状態では、景気回復も困難であり、失業者も増加すれば、社会保障費の拡大により、さらなる増税も必要となるかもしれません・・・。

 選挙公約には、一括選択であるため、個別の政策の賛否が曖昧なるという欠点もありますので、民主党政権のように、”選挙公約は絶対”とばかりに、自民党が、無理にでも公約実現に邁進する、ということはないかもしれません。26日には安倍新政権が発足するそうですので、今度こそ、国民の信託に応える政治を期待したいと思います。 
返信する

日本政治」カテゴリの最新記事