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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

消えた米朝極秘会談-米朝決裂か?

2018年02月23日 15時40分39秒 | アメリカ
金与正氏を批判=「専制の中心」「邪悪な一族」―米副大統領
今月20日、米国務省のナウアート報道官は、今月9日の平昌オリンピック・パラリンピック開会式を機に計画されていたペンス米副大統領と北朝鮮高官代表団との間の米朝極秘会談が、北朝鮮側の直前の申し出によりキャンセルになった事実を公表しました。この一件、北朝鮮問題の対話解決の道が閉ざされたことを意味するかもしれません。

 北朝鮮側がキャンセルした理由とは、ペンス副大統領が、会談に先立って脱北者と面会したり、対北追加制裁に言及したことが挙げられています。おそらく、アメリカ側のこうした行動から、北朝鮮は、たとえ会談の席に着き、アメリカとの直接対話に臨んでも、自らの要求をアメリカ側が呑むはずはない、と判断したのでしょう。否、逆に、アメリカから核・ミサイル開発の放棄を強硬に迫られる事態をも予測し、耳を塞ぐために対話路線から自ら逃げ出したようにも見えます。

 突然にキャンセルされたアメリカも、北朝鮮には最早対話路線に戻る意思はない、とする確信を得たはずです。実際に、帰国したペンス副大統領の対北批判はエスカレートしており、金与正氏を含む金一族の独裁体制に対してその邪悪さを強調しています。一時は封印していた体制批判にまで及んだところを見ますと、アメリカが対北軍事制裁に踏み切った場合、“金王朝”の崩壊を目的に含める意思を示したのかもしれません。

 以上のように考えますと、米朝間の一連の動きは、双方ともが対話路線を諦めるに至る決定的な局面であったとも解されます。もっとも、アメリカが実際に軍事制裁を実行に移すならば、北朝鮮を油断させるために逆に“友好”を装うはずであるとする意見もあります(ただし、この推測は、極秘会談キャンセル以前のものであり、日本国を置き去りとした米朝極秘会談警戒論の文脈から主張された…)。となりますと、アメリカが拳を振り上げている現状は、逆に、米軍の軍事行動が遠のいたサインとなりますが、果たして米朝は、対話路線に戻ることがあるのでしょうか。平昌オリンピックにあって、北朝鮮の“異様さ”が全世界に報じられ、ペンス副大統領も指摘したように、その倒錯した“邪悪さ”を人々が深く認識した時、米国世論、並びに、国際世論の支持を背景に、アメリカが軍事制裁を決断する日がむしろ近づいたのではないかと思うのです。

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