万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”隠れトランプ支持者”のパワーー米民主党が自由の擁護者ではない証

2016年11月10日 14時45分21秒 | アメリカ
トランプ氏との協力表明=クリントン氏が敗北宣言―米大統領選
 マスメディアの大々的な支援を受け、かつ、事前の世論調査では一度も民主党クリントン候補の支持率を上回らなかったにも拘わらず、アメリカ大統領選挙は、蓋を開けてみると共和党トランプ候補の勝利という結果に終わりました。その背景には、大量の”隠れトランプ支持者”の存在が指摘されています。

 ”隠れトランプ支持者”とは、表立ってはトランプ支持を表明することを躊躇っていた人々を意味します。”隠れトランプ支持者”は、世論調査や出口調査では本心とは違った回答を示すため、事前調査と現実の結果との間に著しい差異が生じてしまったと説明されています。トランプ候補支持の公言を控えた理由には、”リベラルな友達がいる”とか、”差別主義者と見なされたくない”など、様々な心理が働いていたようです。おそらく、全米のマスメディアがこぞってクリントン支持を打ち出し、トランプ支持者は、学歴も知的レベルも低い人々”、”グローバリズムに取り残された負け組”、あるいは、”偏狭な差別的思想の持ち主”というレッテルを張り、選挙期間を通して反トランプの社会的風潮を醸しだしてきたからなのでしょう。言い換えますと、マスメディアによる巧みな情報操作によって、一般の人々が自らの政治的支持を自由に表明できないような言論空間を造りだしてきたのです。この言論空間の閉塞化現象は、民主党の基本理念であるリベラリズムが、決して自由を帰結しないことを示しています。そして、この息苦しさをもたらす無言の圧力に対する反発心が、”隠れトランプ支持者”の投票行動として選挙において炸裂したのではないかと推測されるのです。言論の自由を求めて…。

 選挙に敗れたクリントン候補は、敗北宣言において表現の自由といった諸価値を守るよう国民に訴えておりましたが、民主党敗北の一要因は、その救い難い偽善性にあったことは、多くの識者が指摘するところです。トランプ大統領の誕生は、アメリカを覆っていた閉塞感打破への期待であったする分析は、大量の”隠れトランプ支持者”の存在によって立証されているように思えるのです。

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コメント (2)
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