万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

冒とく罪―”ムハンマド”という名がもたらす混乱

2010年12月14日 15時09分19秒 | 国際政治
ムハンマド名刺捨て、冒とく罪? パキスタンで医師拘束(共同通信) - goo ニュース
 パキスタンでは、預言者ムハンマドと同じ名の患者の名刺を医師が捨てたところ、冒瀆罪として当局の取り調べを受けているそうです。しかしながら、もし、この行為が冒瀆罪となるならば、”ムハンマド”という名を持つ人々は、日々、気が休まる時がないかもしれません。

 例えば、”ムハンマド”という名の人が、犯罪を犯した場合はどうでしょうか。預言者と同じ名の人を罰してはならない、として、たとえ悪事を働いたとしても、無罪放免となるのでしょうか。名前が免罪符となるならば、子供に”ムハンマド”と名づける親が増えそうですし、当然、犯罪が増加して治安が悪化します。また逆に、”ムハンマド”という貴く神聖な名を持ちながら、罪を犯すことこそが、預言者に対する許し難い冒瀆であるとして、より厳しい刑罰が本人、あるいは、名付けた親に課せられるかもしれません。

 ”ムハンマド”という名をめぐるイスラム社会の動揺は、宗教と刑罰との関係を通して、現代社会における政教一致の問題を浮き彫りにしていると思うのです。

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