万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮問題―話し合い路線も行き詰まりという現実

2010年11月26日 12時02分28秒 | 国際政治
ならず者国家をどう止める――フィナンシャル・タイムズ社説(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
 北朝鮮が問題を起こすたびに、国際社会は中国のコントロールに期待し、一方の中国も、延坪島事件の発生を受けて、南北での話し合いを提唱しています。しかしながら、みな、話し合い路線の行く先が、行き止まりになっている現実を無視しているように思えるのです。

 識者や専門家たちは、北朝鮮を話し合いのテーブルに着かせることこそが解決の鍵と、大合唱しています。席に着くだけで、半ば、問題は解決したかのように。1994年の危機の時も、特使として派遣されたカーター元大統領は、平和的解決を掲げて話し合いを進め、北朝鮮との間で合意を成立させました。しかしながら、その結末は、どうであったでしょうか。その後も、北朝鮮は、合意したと見せかけては時間を稼ぎ、自らの真の目的を放棄することは、決してありませんでした。安易な”話し合い路線”の結果こそが、外部に対しては核保有を宣言して周辺国を脅し、内部では過酷な恐怖政治を敷く、今日の北朝鮮なのです。

 人は歴史や経験から学ぶものですので、今後、北朝鮮との間にいかなる合意が成立したとしても、それが誠実に守られることを期待することはできません。むしろ、北朝鮮は、話し合いによって、核も水爆も保有し、その上、独裁体制をも維持することになるかもしれないのです。我々は、話し合い路線を唯一の道として追求するよりも、この隘路ともいえる現実にこそ、真剣に向き合うべきと思うのです。

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コメント (2)
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