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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

プラザ合意より厳しい現下の円高

2010年09月19日 15時29分58秒 | 国際経済
ユーロ下落、円は対ドルで約1カ月ぶり安値=NY市場(トムソンロイター) - goo ニュース
 1985年のプラザ合意以降、日本国は、急激な円高に見舞われました。当時にあっては、企業努力によって、どうにか円高を凌いだのですが、今回の円高は、日本経済を取り巻く状況が違っていますので、かなり苦しい立場に追い込まれそうです。

 第一に、プラザ合意の頃には、中国や韓国といった新興国は、ライバル国という程には充分には製造技術が発展していませんでした。このため、たとえ円高となっても、日本国の製品は品質を評価され、国際市場において、それほどシェアを落とすことはなかったのです。

 第二に、新興国の台頭が、価格破壊を起こしていることです。このため、価格競争に劣る日本国の企業は、国内生産を諦めざるを得ない状況に陥っています。つまり、プラザ合意の際には、貿易摩擦の相手国でもあった米欧に生産拠点を移しましたが(価格競争には影響しない…)、今回の円高では、より労働力の安い中国といった諸国に工場を移転せざるえず、それがまた、雇用の流出、買力の全般的な低下、デフレを招くという悪循環に陥っているのです。

 第三に、本来、通貨高になるべき中国や韓国が、自国通貨安政策を行っていることです。プラザ合意は、貿易の不均衡を是正することが目的でしたが、今回は、中国や韓国の為替政策に対して是正を求める国際的な合意はなく、意味もなく、日本国の円高が続いているのです。

 政府は、中国と韓国の為替政策に対して苦言を呈するべきであり、対抗措置を準備しませんと、日本国民の多くが職を失います。最大の雇用対策とは、雇用の流出を食い止めることなのではないでしょうか。日本国の企業が、不利な条件で競争を強いられている現状を、放置してはならないと思うのです。

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