万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

暴力肯定―革命国家中国の悲劇は終わっていない

2010年05月22日 15時40分17秒 | アジア
中国で護身術習う子どもが急増、一連の学校襲撃事件で(トムソンロイター) - goo ニュース
 中国では、貧富の格差への不満からか、本来、子どもを守るべき立場にある大人が、あろうことか、子供を襲撃するという事件が頻発しているそうです。この問題、中国が、暴力革命を肯定する共産主義国家であることにも原因があるのではないかと思うのです。

 共産革命とは、資本主義体制では、搾取する資本家と搾取される労働者に二極化することを非難し、プロレタリアート独裁による平等な社会の実現を目指した武力闘争として理解されています。その実現手段として、革命という名の暴力の行使を認めているわけですから、共産党政権の正当性は、まさに、この暴力に依拠しているということになります。国家が、不満の解消方法として暴力を認めるとしますと、国民もまた、暴力の行使に対する抵抗感が弱くなることは、当然に予測できます。国家か、個人かの、レベルの違いでしかないのですから。

 弱者にも平気で刃を向けるとなりますと、中国社会は、暴力の蔓延により、修羅場と化すかもしれませんし、もし、政府当局が、それを暴力で抑え込もうとしますと、今度は、政府と国民との間の暴力の応酬となるかもしれません。暴力で誕生した国の悲劇は、まだ終わっていないように思えるのです。

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