万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

普天間基地問題―関西優先の基準とは

2010年05月14日 18時00分53秒 | 日本政治
普天間受け入れ「関西の優先順位高い」=橋下大阪知事(時事通信) - goo ニュース
 報道によりますと、大阪府の橋下知事は、”関西の優先順位は高い”と述べ、基地受け入れに積極的な姿勢を示したそうです。ところで、この優先順位は、何を基準にした判断なのか、訝しく思うのです。

 一般には、基地の設置先を決めるに際して、最大の判断材料となるのは、防衛上の必要性であり、軍事的な拠点としての最適性です。言い換えますと、安全保障上のリスクに晒されている場所、あるいは、抑止力として効果的な場所が第一候補となります。この意味において、沖縄をおいて、最適な拠点を国内に見つけることは困難です。もし、橋下知事が、関西に基地を設置すべきと主張しているとすると、そこには、何らかの根拠があるはずです。しかしながら、関西が特別に安全保障上の危機に面しているとは考えがたく、根拠があるとしますと、有事に際して敵国に呼応し、ゲリラ戦を開始する集団が出現する可能性を想定し、米軍の出動を期待しているとしか考えられません。

 もし、橋下知事の真意が、基地による地域経済の振興にあるならば、関西への基地移設は、安全保障をむしろ後回しにすることになります。経済優先、防衛軽視では本末転倒となり、関西を優先とする理由をぜひ伺いたい思うのです。

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