万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国は環境技術を守れるのか

2009年09月09日 15時36分36秒 | 国際政治
CO2の削減、25%目指すなら… 1世帯650万円負担増(産経新聞) - goo ニュース
 民主党の鳩山代表が、90年比で25%の温暖化ガス削減を明言したことが、国内に波紋を広げているようです。高い削減目標と経済成長とを両立させる道として、日本企業が環境技術力を生かした製品を世界各地に輸出するシナリオが描かれているようですが、現実は、このシナリオ通りに進むのでしょうか。

 まず、懸念すべき点は、新興国が温暖化ガス削減の枠組みに加わることの条件として、環境技術の移転を求めていることです。このことは、たとえ日本国企業が、温暖化対策として研究・技術開発に多額の資金を投資しても、その成果は、海外に流出することを意味しています。この結果として予測される展開は、新興国は、日本国から移転された環境技術を用いて、低価格の製品の製造を始め、あっというまに市場を席捲してしまうということです。近年、技術において先行しながら、結局価格競争に負けて市場シェアにおいては振るわない事例が見られますが、技術が容易に移転されるとしますと、この二の舞となりそうです。

 もし、シナリオ通りの展開を望むならば、技術流出を防ぐことが必要不可欠の条件となるのではないでしょうか。これができないのであるならば、鳩山代表が掲げた目標は、日本国の産業に多大な打撃を与えると思うのです。

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