万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

犯罪のグローバル化に対処せよ

2008年02月01日 17時38分54秒 | 国際政治
早期承認の方針を確認 捜査協力条約 ギョーザ中毒(朝日新聞) - goo ニュース

 市場のグローバル化は、しばしば夢と希望に溢れた好意的なイメージで語られるのですが、その反面、国境を超えた物、人、資本の流れに伴う国際犯罪の増加という負の側面については、この楽観論の陰に隠れがちです。ですが、この負の側面に対する対処を怠りますと、グローバル化の夢もあえなく萎んでしまうことになりそうなのです。

 他の地域に先んじて市場統合を実現したヨーロッパを見てみますと、1993年のEUの成立に伴って、従来の経済的な政策領域に加えて、新たに司法内務協力という分野が設置されました(現在では、警察・検察協力)。そうして、この政策分野の中に、警察活動の政府間協力機構であるユーロ・ポールが設立されることになったのです。これは、市場の自由化に伴って、ヨーロッパレベルでの犯罪組織が広域的に活動するようになれば、もはや、一国の警察では対処できない、という危機感から生まれたものです。つまり、犯罪取り締まりを担う政府間協力機構が準備されたのは、市場のグローバル化と決して無縁ではないのです。

 日中刑事共助条約の場合は、EUのケースがそのまま当てはまるわけではありませんが、経済的な関係の拡大は、国際的な警察協力を要請します。ただし、この試みの成否は、中国の治安組織が正確な情報提供や捜査協力に応じるか、否かにかかっているとは言えましょう。

 
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