万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”毒入り餃子事件”の日中攻防戦

2008年02月03日 18時40分55秒 | アジア
殺虫剤の混入は人為的か 岸田国民生活担当相(共同通信) - goo ニュース
 
 果たして、”毒入り餃子事件”の真相は、解明されるのでしょうか。この事件、どうやら、犯行現場をめぐる日中の攻防戦に発展しそうなのです。

 その兆候は、毒入り餃子の袋に1ミリほどの穴が外部から開けられていた、という情報が、大々的に報じられた時点において、既に見られました。もし、これが、梱包後に犯罪が行われた証拠となりますと、犯行現場は中国以外でもあり得ることになります(つまり、日本国内)。その一方で、外部からの毒物注入がない場合には、当然に、犯行現場は中国に特定されます。おそらく、中国政府の何らかの圧力か、工作活動によって、日本国内での外部注入説の可能性が残されたとの見方もできます。

 現在のところでは、中国の天洋食品の幹部も河北省輸出検疫局の局長も、口裏を合わせるかのように、現地での毒物混入はあり得ないと述べていますが、中国の政府機構が、中央集権的であって、治安当局が政治的支配下にあることを考えますと、公正な調査が行われる望みは薄そうです。ですから、日本国政府は、中国政府に対して、厳正な調査と真相の究明を強く迫らねばならぬ立場にあるのです。もし、この事件がうやむやにされるとなりますと、日中双方の政府とも、信頼を大きく失墜させることだけは確かなのですから。
 

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