万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

親中政策よりもチベット支持を

2007年10月20日 18時28分47秒 | 日本政治
ダライ・ラマが11月来日 米中あつれきの影響も(共同通信) - goo ニュース

 もしも、国際社会において”民族自決”の原則が否定されたとしたら、どのようなことが起こるのでしょうか。”民族”という言葉を聞いただけでアレルギーを起こす人も多いのですが、反面、この原則が失われますと、国際社会が未曾有の混乱に陥ることは必至となりましょう。

 覇権主義の国家による帝国の膨張が起こるか、あるいは、植民地支配が復活するかもしれません。各民族が独立した国家を形成する権利は、国民国家体系を支える最も基本的な人間集団の権利なのです。この意味においても、中国によるチベット侵略は、国民国家体系の根幹を揺るがす蛮行と言えます。一たび秩序を支えている原則を崩しますと、その破壊的な影響は、すべての国家に及ぶことになるのです。

 11月にダライ・ラマが日本国を訪れるとのことですが、この訪問を機会に、日本国政府は、ぜひにもチベットを支持していただきたいと思うのです。親中政策よりも、自らをも支えている国際社会の原則を守ることのほうが、余程、高次の政策目標であると言えましょう。

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