秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ  SA-NE著 

2009年08月15日 | Weblog

送り火
8月14日早朝、集落のあちらこちらに、煙が舞い上がっていく。
雨上がりのグレーの雲と、重なり合うような炎の行く先。
祖谷には、美しい風習が多く残されている。新しい仏様を見送る儀式。「盆の送り火」 「松結わい」松の木とみつまたの枝を10センチ位に切り揃え、数本づつ束ねる。
煩悩の数、百八つを一年分として、大体の家が二年分、用意する。竹の棚を作る。四本の竹を組んで、棚を作る。組んだ竹の一番上の部分を、藁か、茅、ミノで結んでアーチ型を作る。集落によって、形は若干違う。棚に奉られた、仏様のお位牌に、手を合わせる。
それが終わると、松結わいを竹と共に、炊き上げる。
今日の場所は、集落の「お堂」
イチョウの木、ふぞろいに伸びた杉、まっすぐに空をみると、木々の葉っぱの隙間から、形の違う小さな空が、じっとしていた。
炎は、一気に舞い上がる。赤でもなく、オレンジでもなく、きっと同じ人間は存在しないように、仏様の送り火の色も、たったひとつなんだ。
二度と出会わない色なんだ。
両手を合わす。拝むという行為。
頭を垂れて、合わせた指先は、自分に向けられいる。
私達は、何十回と繰り返してきた供養という名をかりて、自分を拝んでいるんだ。
供に養われ、「供養」と書く。
祖谷は、また少しずつ、季節をぬりかえていく。
私は、相変わらず、無口な主人の前に座り、喧嘩を売っている
「嫁さん大事なら、一回位でてきてみー」

三年目の夏の合掌




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