春酣である、多くの花たちが競って咲き出し満開となり、山麓は桃源郷となる四月薄っすらとした
白雲はほのかに流れ、和やかな陽射しが降り注ぐ大地に豊かな幸せを齎す
こころがのびのびしてくるような石積が何段にも連なる山麓の風景に凭れかかりしずかに目を細めて
香りのかすかに広がりゆく、蓬餅に春の旨味が口いっぱいに幸せを感じた
背後の雑木林を掠めて流れる陽射しを浴びてもう一度照り盛る花々の間を茫然と眺めやり過ごして
ひらひらながれて眠気を誘うようにひらひら花の影に誘われ目を凝らして眺めるが影絵のような風景と
山里のくらしに花の雲がゆらりゆらりと揺すって陰に、陽に影なす花が浮き上がる
春の睡魔にゆらりと吸い込まれそうに咲ききまわった花々の色をぼんやり眺めていたであろうか
一面にかがやきわたるあちらこちらの畑に村人たちが思い思いの農作業にうごめいている
土を鋤く耕運機の音にかすかな里人の話し声に欹ててのどかな山麓の春に吸い込まれていった
石積の石に凭れて四月かな
一日を手に馴染みをり春の土
大の字に寝まり果なし春の雲