部屋の整理をしていたら、詩集が2冊出てきた。私が30代半ばの頃(昭和55~58年)子どもたちに詩の朗読を指導しようとしてつくった詩集である。
4月から3月までの年間計画を立て、毎日「朝の会」などに朗読を指導した。その時の子どもたちは6年生であった。
子どもたちは、喜んで詩の朗読をした。1人で、2、3人で、群読で、立ち位置を考えたり、身体で表現したりして朗読した。今でも子どもたちの素晴らしい読みと、その動きが鮮やかに蘇ってくる。
10月には4つの詩の朗読を指導している。
風景(草野心平)・白い建物(村野四郎)・反抗(巽 聖歌)・末期の水(都築益世)
白い建物
村野四郎
高くゆれるコスモスの
白や赤の花のあちらに
できたばかりの
大きな 白い建物がみえる
あすこには
ことしの あつい夏じゅう
鉄骨がくまれ
火花がとびちり
はだかになった人たちが
目がくらみそうな空の中で
あせを流して はたらいていたが
きょうは もうだれもいない
あの人たちは どこへいったのか
すずしい秋風の中で
ゆめのように うつくしく
建物だけが光っている
※この詩も今の季節にぴったである。内容も難解ではない。季節の移り変わりやその美しさ、人々の生活を見事に言い当てている。
子どもたちは、この詩を読んだ後、何とも言えぬ素敵な顔になる。心が浄化されるのであろう。
このような詩が教科書にあまりないのが残念である。