松明 ~光明を指し示して~

暗闇を照らし赤々と燃える。が、自身が燃え上がっては長くはもたない。火を消すことなく新しい松明へと引き継がれねばならない。

問題解決学習・自力解決学習の考え方とその方法

2020-09-17 17:08:53 | Weblog
                        「浜松授業研究の会」の様子
 

 初任の先生や若い先生の指導、いやベテランの先生の指導のなかにも、あまりにも系統的な教え込みの指導をしている先生を見るときがある。家庭で親が子どもに教えているような指導である。ちっとも子どもに考えさせない。発見させるということのない指導であり、教科書に書いてあることを事細かに順序立てて教えていく。子どもは受け身になり、つまんなそうな顔をしている。このような教え込みの指導は、知識としても身に付いてかない。
 そこで少しでも問題解決学習的な指導ができるように、その方法のおおよそを記してみる。参考にしていただけたらと思う。

○ 心構え
問題解決学習は、子どもも教師も、「この問題は難しい」「初めてやる学習」だからできるわけがない。と思っているかぎり、この学習法は成立しない。まず大切なのは教師が子どもの可能性を信ずることである。

問題解決学習のおおよその流れと留意点(算数科を念頭において)
※ 他の教科等にも応用する

1 問題提示につて(導入)
○ 子どもたちの意表をつくような問題を提示する。
○ 子どもたちに「ええっ!」「できるの?」「ようし、やってみよう」とい気持ちを抱かせる。
○ 教師は「まあ、君たちには無理だね」「降参だろう」など言って、逆に子どもの挑戦欲を引き出すこともよい。
○ 教師は子どもたちは、既習学習を駆使して、何とか解くことができるだろうということを信ずる。
○ 何人かが解決方法を考え出すだろう。最終的にはそれらを元にして、全員に気づかせていけばよい。
2 自力学習(考える学習:探求学習)
○ まず、一人で問題解決に挑戦させる。
○ 教師は補助簿と赤ペンを持って、机間指導をする。
 一斉学習で使えそうな子どもの考えを書き留めたり、○を付けたり、ヒントを与えたりする。ヒントは個々の子どもの力に応じてする。
○ 一斉学習で使えそうな解決法を選んで、子どもに小黒板や画用紙に書かせておく。後から発表させて全員に考えさせるため。
○ 全体の解決度を見て、必要ならば途中でも一斉指導をする。
○ 算数の場合などは計算、図、絵、線分図などいろいろな方法で解かせる。時間いっぱいまで学習させる。遊ばせない。
○ 問題にもよるが、できたもの同士で話し合いをさせてもよい。
3 発表学習(交流学習:対話学習)
ここでは、一斉学習もしくはグループ学習等の方法があるが、子どもの解答の状況や残り時間のことを考えて選択する。
① 一斉学習の場合
ア まず、発表したい子どもの考えを取り上げる。その場合、似ている解決法の子どもには指名しない。教師として取り上げたい解決法があれば挙手がなくても指名して発表させる。
 間違った解決法や稚拙な解決法も場合によっては発表させる。問題解決学習では、間違いから大切なことを学ぶことがあるからである。ただ、誤答を出した子どもには、恥をかかせることのないようにする。
イ 自分の考えを小黒板等に書かせて、どのようにして解決したのか発表させる。このときに大切なことは、「話す、聴く」「反応する」の指導がしかりされていることである。自由にものが言える学級でありたい。
② グループ学習の場合
ア まず、グループ学習ができるような学級づくりがなされていること。全員が自由に発言できること。「話す、聴く」「反応する」ができること。司会者があってもなくてもできること。
イ グループ内での話し声が全員に聞こえること、他のグループの学習のじゃまにならないこと。
ウ 特定の子どもだけが活躍しないこと。
エ グループの学習で自分の考えが深まること。
オ 話し合ったことを一斉学習で発表できること。
4 まとめ(教える学習:習得学習)
ここでは教師がしっかり教え込みたい。子どもたちの迷いを晴らせてやり、どの子にも理解が図れるようにしたい。如何に教師が分かりやすく説明してやるかが大切になってくる。
5 練習問題(ドリル学習:習得学習)
意外にこの時間がとれない場合が多い。学習したことをしっかり自分のものにするためにもぜひ時間をとってやりたい。


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