松明 ~光明を指し示して~

暗闇を照らし赤々と燃える。が、自身が燃え上がっては長くはもたない。火を消すことなく新しい松明へと引き継がれねばならない。

教育メモ~校長の仕事3(校長は何をしなければならないか)

2011-12-30 09:23:19 | Weblog



校長が提供している様々なサービスの中で、もっとも重要なものは何か、それは「質の高い授業」である。これこそが校長の最重要の役割である。責任といえる。
これまでのように、単なる授業時間数が確保しているだけではすまされない。
圧倒的多数の校長たちは「質の高い授業の提供」の必要性自体をまだ感じていなし、感じている校長も、どのように授業を見たらいいのかわからないし、見た後にどうしたらいいのかもわからない状況におかれている。
校長にとって、校長室や職員室が自分の仕事場と位置付けられる時代ではなくなりつつあることは確実である。               
「授業が変わる学校が変わる」佐藤 学著より

橋下市長の強調される教育基本条例案と学校教育

2011-12-27 22:25:14 | Weblog



 私は橋下市長の国政改革に対する言動には基本的には賛成である。国の政治が非力で、何も動きが取れなく、どこに向かっているのか分からないようなことにうんざりしているからである。
 しかし、橋下市長、大阪維新の会が制定を目指す「教育基本条例案」の意義協調には、賛成できない。それは、教育の目的及基本理念の内容にいくつかの不安を感じるからである。以下心配されることを思いつくままに列挙してみる。

○ 教育に民意を反映するというが、それはすりかえであり教育への政治介入になる恐れがあるのではないか。

○ 借りに民意を反映すると強調しているが、民意の教育に対する考えがいつも正しいとは思わない。偏った学力や受験中心などを選択しているのもまた民意である。

○ 国のため、経済のための教育になりがちになる。そのため教育に過度な愛国心や競争原理を持ち込む結果になるのではないか。

○ 政治からの上意下達の指示命令が学校現場に降りてくるのではないか。そのために創造的で自由な学校運営ができなくなることが考えられる。

○教員の人事評価が重視され、教職員が分断されたり、孤立化したりするのではないか。

○学校の序列化と競争が激化してくるのではないか。

○その他

※ 教員が心しておかなければならないことは、橋下市長が言われる恵まれた公務員の身分保障である。甘えは許されない。真の教育に向かって全教職員が一層厳しい仕事に立ち向かっていかなければならない。そうでなければ上記に挙げたようなことが進められるにちがいない。

バルセロナのサッカーから学ぶ

2011-12-23 08:40:07 | Weblog



サッカーのクラブW杯で欧州代表のバルセロナが優勝した。バルセロナのサッカーは世界一美しいと言われている。テレビで見ていて本当にそのように感じた。特に鮮やかなパス回しと連係プレーは見事であった。さて、「バルセロナのサッカー」と「教室の授業」とを安易に比較できるものではないが、何かしら学ぶものがあるように感じた。以下記してみる。

○組織プレーに徹する

授業は教師が組織する

○全員がボール、味方、敵に反応する

全員が教材、教師、級友の言動に反応する

○パス回しからチャンスを生み出し得点する

コミュニケーションから小問題を解決し、大問題を解決する

○チャンスを全力で得点に結びつかせる

  核となる問題を全力で解決する

教育メモ~校長の仕事2(求められる校長像)

2011-12-21 15:03:55 | Weblog




1  学校を管理運営する ・・・ しかし、必要以上に時間をとらない

2 学校をリードする ・・・・ 夢を追う、ビジョンを描く、実践する

3 文化をつくり出す ・・・・ 共通の価値観を見出して行動する  

4 質の高い教育を提供する・・ 教師の教え方やクラスの中まで入り込む(しかし学級を私物化しない)

5 研修をつくり出す ・・・・ 校内研修、研究授業において具体的な指導をする

6 率先して学び続ける ・・・ 学ぶことのモデルとして示し続ける

7 コミュニケーションする・・ 人間関係、信頼関係の構築をする

8 職員を組織する ・・・・・ よい実践の紹介、仲立ちをする

教育メモ~校長の仕事1(校長職とは)

2011-12-16 17:00:48 | Weblog
 

○校長職とは                          
校長は「管理の人」でなく「ビジョンの人」にならなくてはいけない。しかし、校長のおかれている現状を考えるとなかなか難しい。
1 文科省や教育委員会の指示通りの運営 
長年慣らされてきた受け身的な言動、考えが染みついている。
2 「教育公務員」の位置付け
3 「学校管理規則」に見られる校長の仕事           
以上、校長の存在は見事なくらい「管理者」ないし「監督者」として位置付けられている。
そのことにより、
(1) 一般の親はもちろん児童生徒や場合によっては教師すら校長の役割や仕事がわかっていない。
(2) 多くの校長が自分はどのような役割を、どのように果たしていいのかわからず戸惑っている。
(3) 校長と教師たちとの関係が「報・連・相」に象徴されている。
(4)公立学校の校長の人事は、同一校で平均2~3年である。校長人事が現状を維持するための制度である。はっきり言えば、「悪いこともさせない」代わりに「いいこともさせない」仕組みである。
(5) 欧米諸国の「校長の仕事」としては、教師たちに対する「考え方の指導」が第一に掲げられている。

「聴く・話す・うなずく」を大切にした授業

2011-12-13 14:11:47 | Weblog


授業中、手を挙げる子や音読をする子が決まってしまう。歌をうたう子や運動する子が決まってしまう。こうなると、クラス全体の勢いがなくなってしまう。読まない子、考えない子、歌わない子、運動しない子は、自分を持たずに、友だちに任せっきりになり、どんどん受け身になる。学習が分からなくなり、授業が楽しくなくなる。そうなると大きな問題になる。こういう子をなくすために、すべての授業において、「聴く・話す(歌う)・うなずく」を大切にした授業を展開することが大切である。

よい授業を求めて

2011-12-07 17:49:06 | Weblog



 「よい授業を求めて」のブックレットを読みました。社会科、理科、国語の指導において、「価値ある題材」「授業で人間形成」という2部構成になっており、大変興味深く読みました。このことは、学習指導要領の厳しい縛りや生徒指導と授業の関係が希薄になっている学校の現状からいって、改めて、目を開かされる思いがしました。また、私が常々考えていること、思っていること、感じていることでもあり、嬉しくなりました。読み終えて、心に残ったことを自分の覚え書きのためにも少し記してみたいと思います。
まえがきから
○ 小学校教師は、教科用指導書に依存している。中学校教師は、学習内容を強要している。
○ 教科担任制は、教科指導と生徒指導の截然とした分離がみられる。
○ 価値ある題材の選択を、時には教科を超えて実践してきた。
○ 「教科のなかで人づくり」を目指して・・・
事前資料
○ 授業では発言しないが、実は深く理解している子どももいる
第1章「価値ある題材」の誕生
○ 深みのない授業はおもしろくない。・・・ 教師が題材の奥深さに感動していることが重要です。
○ 子どもたちの自発的な思考や工夫が出やすいように、比較学習という方法論を採用した。・・・ ものごとを比較・対照すること ・・・ その過程が「考える」ことだと思うのです。
○ 子どもたちは集団のなかで他者の意見を聞き、話し合うことで、ゆっくりと自分なりの考えが内面に形成していくのです。
○ 小学校3,4年の発達段階では、劇化という方法で、子どもたちの考えや発想が出てくようにします。「カボチャ君どうして捨てられたの?」など
○ 子どもたちにとって、判断力は、何らかの具体的なきっかけによって動き出すものなのです。
第2章 子どもたちが自分の考えをもてること
○ 同じ文章を読んでも、受け止め方はそれぞれに違うのが当然です。しかし、個人間で比較をすれば多様だが、個人内でどれだけ変容があったか。AとBは違う。BとCも違う。それはそれぞれの良さである。その良さを尊重するということは、Aが、BやCと意見を交わし合うことによって、A’となりA”となるというように、個人内で葛藤があり、変容がある。
 第3章 理科授業で人間形成
○ 学校管理職の大事な仕事のひとつは、若い先生方を育てることである。
○ 方言丸出しの授業 ・・・ 聞く指導を最初の2ヶ月で行います。勉強は友人みんなで、わからないことをわかろうとすることなのだ。そのためには、子どもが本音を言えるようになることだ。
○ 「教師の自己課題自己申告方式」が教師の力量を高める。
○ 話し合いでは、聞き手がうなずいてくれるとか、笑ってくれていたりする場合がよい。 ・・・ 本当の授業は、友だちのたどたどしい発言であっても「うん、うん」「え ーっ?」のようなざわめきが自然に出てくるような授業を教師がつくることです。
○ 「授業は人づくり」です。
○ 教師の判断で、この単元は重要だから2倍の時間をかけたり、ひとつの学習問題に45分間の個人学習をさせることはできます。
○ コンピュータの画像を見て学ぶことなら、家でやればいい。学校はみんなで苦労して、実物を相手に勉強しようというのが、私の持論です。
○ 算数的な考えを出せるような学習課題を作ります。
○ 「学級づくり」と「授業づくり」は一つ ・・・ 学級づくりを他の場でやるのではなく、授業のなかでも進める。
○ 「数学で語るな。算数教育で語れ」「教育」という言葉がついたときに、そこには子どもがいる。
 資料編 
○ 佐野語録
・ 日本人の生活の中には、機智、機転、当意即妙が欠けている。もっと楽しい先生であること。
・ なまの文献に直接触れる授業がよい。
・ 消防署のしくみや消火活動ではありません。大切なのは私たちの生命や財産を守ってくれる機関であり、施設であることに気づくことです。それとともに、自分自身が、幼いながらも社会の一員として、安全を守るための自助努力をすべきだという自覚です。
・ 学びのエネルギーは、子どもの発言の余白のようなところにある。子どもがつまづきを自ら乗り越えていく過程が、その子の強さなのだ。
・ 学校という場所は、みんなで答えを探し合う所です。
・ 「子どもの気ままな考えは許すべきではありません。」暴走する思い込みというものは、子どもたちの内面を決して「強く」することにはならないのです。

「冬よ僕に来い」こんな子どもたちを育てたい

2011-12-07 17:49:06 | Weblog

    冬が来た(高村光太郎)
  
きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒になった

きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

冬よ 僕に来い 僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ

しみ透れ、つきぬけろ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た

 高村光太郎の「冬が来た」の詩です。何回も読んでみよう。「人にいやがられる冬」「雪のたくさん降る冬」「火事の出る、刃物のような厳しい冬」そんな冬が僕に来てほしい、そ してそういう冬を餌食にしてしまう。味方にしてしまうと言っているんです。高村光太郎さんは、凄いですね。
これから迎える厳しい冬ですが、子どもたちにも冬に負けないような強い心を持たせたいです。