松明 ~光明を指し示して~

暗闇を照らし赤々と燃える。が、自身が燃え上がっては長くはもたない。火を消すことなく新しい松明へと引き継がれねばならない。

四月の初任者の授業から

2009-04-26 10:40:48 | Weblog
 今年も初任者指導の仕事をしている。4人の初任者を受け持っているが、年度の始めであり、学校に馴れること、子どもに馴れること、授業に馴れることで精一杯という感じである。
 2年生では、国語の最初の教材として「ふきのとう」がある。ここの授業では、次の文章の読み取りをした。
 ふきのとう よがあけました。あさの光をあびて、竹やぶの竹のはっぱが、「さむかったね。」「うん、さむかったね。」と、ささやいています。雪がまだすこしのこって、あたりはしんとしています。
 ここからは、授業の一部の記録である。
Tこのお話はいつの季節ですか 
Cふゆ
Cふゆのおわりごろ
Cはる
Cもうすぐはる
Tさあ4つでたね、どれでしょう(子どもたち38人中、4~5人が挙手したので、先生が指名しようとした。私はちょっと待ってと言って、次のように先生にお願いした。板書された4つの考えに
①ふゆ
②ふゆのおわり
③はる
④もうすぐはる
と番号を付けて、子どもたちに選択するようにお願いした。先生はすぐにそれを受け入れてくれて次のように子どもに聞いた。
Tこの①②③④の中で、自分がよいと思うものを決めてください
C(子どもたちは、いっせいに教科書に目を落とし、考えはじめた)

 これだけのことである。しかし、子どもたちの学びは一変した。こうした小さな教育技術を初任者には一つ一つ覚えていただき、実践していってもらいたい。このような展開ができれば、今度は、どうしてそこを選択したのか子どもに問うことができる。そうすれば、子どもは、「雪がまだすこしのこって、あたりはしんとしています」の文に注目するだろう。そこで「雪が/まだ/すこし/のこって/あたりは/しんと/しています/」というように文章を分けて、その証拠をさがしだすこともできる。このような具体的な学習をさせれば、子どもたち全員が学習に参加してくるし、文章の具体的な読み取りの方法も知ることもできるのである。

どこからどこまでが1つの演技と見なすかが大切

2009-04-11 13:42:26 | Weblog
 ・・・大槻志津江先生は、たった一つのステップを子どもたちに追求させ「美しさ」をより「美しく」、「さらに美しく」していかれた。
その中で、①立ち姿が美しくなり ②並び方が美しくなり ③ 一人一人の間隔のとり方が美しくなり ④ 音楽リズムに乗る姿が美しくなり ⑤ 自分で思考し追求する表情まで美しくしてしまった。もっと言えば、そこに立ち会った教師の姿まで美しくしたのだった。・・・
「できるできないの差が消える表現体育」(事実と創造12月号)より

この文章は、「追求方式の授業」の特徴の一つを表しているように思う。多くの学校(教師)では、見られないものである。
多くの学校(教師)は、体育でいえば、主運動(この言葉が適切でないかもしれないが)のみに注意がいき、その前後の動作、例えば、立ち方、並び方、間隔のとり方、リズムのとり方、追求する表情などは、指導の対象にならないだろう。主運動ができた、できないだけに目がいき、一つ一つの分析された動きの美しさや統合された動きの美しさにまでは目がいかないだろう。主運動はその演技の前後の動きも含めたい。もっと言うなれば、体育館で演技がなされるならば、教室から体育館への移動する歩き方なども含めて主運動と捉えたい。また、そう捉えて指導してこそ主運動の演技が美しくできるようになると考える。
 これらのことは、他の教科指導でも同じことが言える。


教育界の「常識」は子どもの可能性を潰す

2009-04-05 12:57:15 | Weblog
 日曜日に私の住む地域を散歩していると、小学校に入学するであろうと思われる女の子が新しいピンクのランドセルを背負ってお父さんと歩いていた。お父さんは、子どもに、通学路の道筋と安全を教えているようであった。私はその光景を見てとても微笑ましく、暖かいものを感じた。また、この子どもが入学後、楽しく学校生活できることを願わざるえなかった。
 さて、今回は、教育界の「常識」が子どもの可能性を潰しているのではないかと感じていることを列挙してみる。詳しくは、日を改めて、一つ一つを説明したい。

○授業終始は、起立して挨拶しなければならない
○授業は、元気で活発でなければならない
○挙手の数、発言の回数が多いほどよい授業である
○発言するときは、挙手をしなければならない 
○発言は起立しなければならない
○授業の中に生徒指導があると実感していない
○ハンドサインや話形などの決まりがあるとよい
○同一教材で全学年の授業はできない
○質の高い授業でなく、子どものレベルに合わせた授業がよい
○一斉授業より、少人数授業の方がよい
○机を寄せて授業をすると机間指導ができない
○授業中、机上に本を置く音、鉛筆を床に落とす音、机や椅子を動かす音が気にならない
○教科の進度が遅れてはいけない
○45分の1時間の中に書く作業がなければならない
○45分の1時間の中に机間指導がなければならない
○授業中、参観者は授業に口を出してはいけない
○子どもが集合したときは、「気をつけ」「前へならえ」の号令をする
○体育では笛を使って子どもに指示をする
○ドリル等の反復練習が基礎基本につながる
○歌うときは指揮者の合図で歌う姿勢になる
○歌の指揮は、指揮棒を持って拍を示す
○教育は教え込みか放任かのどちらかである
○小中一貫教育がよい
○学校選択制がよい
○教育に市場原理や競争原理を導入するとよい
○文科省や教育委員会の指示どうりやれば学校や子どもはよくなる
○校長室は教育法令集、○○史、職員録等の本はあるが、教育書は少ない
○校長は所属職員を監督することが主で、子どもの教育には直接関わることがすくない
○教師はどんなよい実践を見ても真似しようとしない
○教師の自主的なサークル活動や研究会などへの参加は管理職はよく思っていない
○校内研修は一年の期間を踏んで終わる。4月に振り出しに戻る

 ざっと挙げてもこれだけある。まだまだある。これらはほんとうによいものであろうか、疑問がたくさんあるように思う。
 常識はこわいです。真実が他にあっても自分が思っていることが正解だと思ってしまう。気をつけたいです。

県内各企業入社式トップのひとこと

2009-04-02 20:10:01 | Weblog
 新年度がスタートした1日、静岡県内の多くの企業で入社式があり、新入社員は社会人として新たな一歩を踏み出した。世界的な景気悪化で減産やコスト削減などに取り組む企業が相次ぐ中、トップはあいさつで逆風を乗り越える行動力とチャレンジ精神に期待を寄せた。下記のものは、各企業のトップのあいさつの一部である。
○ 夢を持ち挑戦する会社に (エイケン工業)
○ 広い視野を持って、前向きに (エンシュウ)
○ 世界同時不況、チャレンジ精神を (スター精密)
○ 厳しい経済環境下、楽して成功はない (デイトナ)
○ 楽な仕事はない、本物になりなさい (ハマキョウレックス)
○ 自分を絶えず進化、難局を乗り切って (ユタカ技研)
○ 自助努力により、大氷河期を乗りきる (ユニバンス)
○ 時代の流れ、スピード感、チャレンジ精神で (ローランド)
○ 夢に向かって懸命な努力を (旭テック)
○ 社会に必要とされる会社を (羽立工業)
○ ポジティブな発想で仕事に取り組む (遠州トラック)
○ 変化する時代に積極的な挑戦を (河合楽器)
○ 「変化」と「反省」を常に意識し、成長を (清水銀行)
○ 人の世に役立つ、人のぬくもりがある会社 (ASTI)
○ 「待ち」でなく自分から求める姿勢で (遠州鉄道)
○ みずみずしい感性、ほとばしる意欲で (浜松信用金庫)
○ 常に柔軟な発想、新しいアイディアで (鈴与)
○ 「変化」「変身」「変信」で大きく成長を (メガネトップ)
          【中日新聞4月2日より抜粋】
※ 私は、これら「県内各企業トップのひとこと」を読んでみて、全体的に「難局を乗りこえる」「変化に対応する」「顧客本位」などの共通する言葉が多いのに気づいた。給与や身分が保障されている学校現場では、語られることが少ない言葉であろう。
  企業は金融危機で大変な状態にある。そうであるからこそ学校は、子どもたちの幸せのためにもっと厳しく仕事をしなければならないと感じた。