チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繫ぐもの 113

2019年03月15日 16時04分57秒 | 日記
「姿がいい」
「いいお召し物」
「着物が添ってるね」
「あなたらしい着方ね」

着物に対しての褒め言葉そして着物を着ていることへの認め方
昭和50年代までは年配の女性や殿方たちが上のような言葉で着物を着ている女性を褒めていた

今でも私の引き出しにしまっている褒められ言葉は
姉のお姑さんが「比佐子さんは姿がいいわね」
大内順子さんの夫君宮内先生が「比佐子さんのきもの姿は品があるね」
写真家の藤井秀樹さんが「谷やん最近は肩の線に風情が出てきたね」
銀座の伊東屋でトイレ掃除の女性に「春らしい明るい装いですねおくさん、素敵です」ーお掃除ありがとうございますといったときのお返しの言葉ー
タクシーの運転手さん「お客さんの笑顔と着物がマッチしていますね今日はついてますよ」

ちょっと前の女も男も人を褒め人を認めるというときの言葉が愛にあふれていた
そうやって褒められていたのでチャコちゃん先生は着物を着続けられたのかもしれないと今になって思う

「毎日着物を着よう」と決心し行動に移したらついに20年も続いてしまった
その20年で学んだことのなんと多いことそれはことごとく宝になっている
語呂の多い日本語それを駆使して褒め言葉を探す大人たち
なんと素敵なオトナが多かったのだろう

ちょっと悲しいことがあると宝の引き出しを開けて自分自身を自分で褒めている

ある時尾形光琳の「八ツ橋」もどきの帯を締めて電車に乗っていたら
白髪の紳士が近づいてきて「ありがとうまるで絵画を見ているような時間でしたよ」と肩をぽんと叩いて下車して去った
ウフフと嬉しくなりすぐに誰かを褒めたくて
エスカレーターの掃除をしていたおじさんに「いつもきれいにしていただきありがとうございます」と声をかけたら
びっくりしたけど晴れやかな笑顔を返してくれた
ああーーこうして嬉しい和が広がっていくのだと大人に教わった

こういう厳しいことも言われた
「いい着物を着てらっしゃるけどあなたの年齢とあっていませんね」初老の紳士
「着物を着たら口紅くらいはつけましょうよ」とやはり初老の紳士
今だったらセクハラ?
「まだ桜の着物を着ているの?枕草子読みましょう」と先輩女性
「顎出して歩かないで!シャンとして頂戴!着物が嘆くわ」と姉
着物を着る人たちはこうやって若い人に甘口だったり辛口だったりして鍛えていたのだと思う
ありがたかった

日本語はいろんな奥深い褒め方がある。これを駆使して良い社会にしたいとつくづく思う

#着物 #中谷比佐子 #褒め言葉 #チャコちゃん先生 #伊東屋 #藤井秀樹

コメント
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