チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繫ぐもの 124

2019年03月28日 13時18分31秒 | 日記
「泥かぶら」という芝居を見たことがある方もいらっしゃるだろう
常に笑顔そして感謝の気持ちを持っていれば自分も変わる人も変わるという内容(そっけない内容説明だこと)
初演は新制作座で1952年 昭和27年 眞山美保作・演出
戦争が終わり7年 少し落ち着いて国民が未来の自分を考え始めた時代の演劇
日本全国を回って学校中心の演劇であったけど日本中を感動させ更に海外公演もこなしていた

昭和32年ころチャコちゃん先生の高校の同級生が新制作座に入団し舞台に立っていて一回だけ鑑賞したが
義理で行ったせいかあまり印象に残っていない
その後学校で舞台芸術という時間に眞山美保の父親の眞山青果の戯曲集を読まされたけど革新思想が受け入れられなかったプチブル女子大生としては不勉強のまま過ごしてしまった

ところが
ここでどういうわけか新制作座に呼び戻されてしまった
もちろん舞台に立つわけではなく、着物たちに手招きされたのだ
亡くなった真山美保さんが舞台衣装として購入したり要人のパーテイに団員の人たちに着せた着物や帯
さらには海外公演でのセレモニー用の着物などなど
残された着物や帯の数がどうやら半端ではなくある人を通じてひと通り見てほしいという依頼があり新制作座の本拠地高雄に出向いた

一山が新制作座になっていて
そこに劇場もあり寮生活もできるマンションも建っている
あの頃昭和30年のはじめに受けた印象とあまりにも違う環境で驚いたがそればかりではなく
拝見する着物の数の多さにただただ圧倒されおどろく
サラッと見ればいいかぐらいの気持ちはあっという間に吹き飛んでしまった

振り袖の数150枚 他に30棹の桐タンスに収められた着物や帯、その他履物ダンス 小物ダンス、下着ダンス、足袋ダンス、
一日二日で全部見ることなど不可能と早くも白旗を上げる

しかし
現れる着物や帯の素晴らしさ一晩中見ていても飽きない
昭和40年50年代のものづくりの素晴らしさに触れて感動をする
一枚一枚丁寧に見届けて購入をしていたという眞山美保さんの審美眼と劇団の人たちを美しくしたいという深い愛
「着物は人柄を表すからね」
とおっしゃりながら劇団員に着物を選んでいらしたようだ
「着物を着る前にきちんと自分を磨きなさい」
という言葉が選んだ着物に現れているようだったと劇団員は話す

丁寧に着物と帯そして長襦袢を揃えているので
製作者たちの意気込みも違う
心をこめて着る人を輝かせたいという思いで染めた、織った、刺繍した、絞ったそういうものが選ばれていた

着物の仕事をし始めて
着物に惹かれた頃の着物たちと再び巡り合ったことがさらに嬉しい

裏の選び方仕立てに至るまで眞山美保さんの心の目が光っていた

そしてチャコちゃん先生はこの眞山美保作・演出の「泥かぶら」を素直な気持ちで見たいと思っった
幸い8月には都内で行われる。いかなきゃあ

しばらく高尾通いが続きそう
それは嬉しいこと

#泥かぶら #眞山美保 #真山青果 #新制作座 #高雄 #チャコちゃん先生 #着物 #帯 #中谷比佐子 #桐たんす #戯曲
コメント
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