チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

東京都

2008年10月29日 10時31分58秒 | 日記
初めて都庁舎の展望台に登る
そこで眼にしたもの
都庁を境に
東は海へ海へと伸びる超高層ビル
西は瓦礫の山のような無秩序の町並み

胸を衝かれた
言葉もなく悲しみが全身を襲う
人間のエゴが地球をココまで痛めていたのかとーー

江戸時代の地図と
現在の地図が並べておいてある

江戸時代はなんと美しい
江戸川、妙生寺川、神田川、荒川、大川(隅田川)
なみなみとした水を東京湾に運んでいる
江戸城の周りの外堀、内堀、溜池

更に街道筋の樹木の緑
下屋敷、上屋敷、神社、仏閣の緑
人が
深い深呼吸をして生きていたところだ
日々の暮らしをただひたすら送り

東京の今の街を俯瞰してみると
区画整理もされず
ただ闇雲に住む地に建物を建てている様子が
一目瞭然

遠くに望む富士山や秩父連邦は
昔と変らない姿でじっと
この町の推移を見続けてきたのであろう

それにしても
打ちひしがれるようにつらい景色だ

いつもレインボウブリッジを通るとき
乱立するビル群を眺め
「これはいかん、これはいかん」
と繰り返しているチャコちゃん先生だが
この都庁舎の展望台から眺める東京の景色は
もう「いかん、いかん」を通り越して
ただ哀しい
全身に染みとおる悲しみだ

地球の痛みがそのまま肉体を襲う

人間が全てやってしまったこと
下から眺めている東京は
まだまだと思っているが
一人ひとりのエゴの失敗をこういう形で目にすると

人間の間違いがあまりにも大きすぎて
どうしたら良いのか分からない
其の分からないことも悲しい

歩いて帰る途中
もう涙が止まらない
自分自身の個人的な悔しさ哀しさは
何か解決方法を思いつく
しかしこの景色
人間のエゴを止めるのはもう自然の力
神の意思しかないのであろうか

ちょっとでも思い上がったり
傲慢になりそうなとき
私は必ず展望台にのぼり
人間の醜いエゴの景色をしっかり見て
己が姿をただしていこうと思う

今日は打ちひしがれているチャコちゃん先生
全身哀しみのベールに包まれている

唯一つ
東京の水はとてもいい水になった由
ペットボトルに入った「東京の水」をゲット
彼のヨーロッパの有名水よりはるかに旨い
少し救いか
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通し稽古

2008年10月28日 09時45分00秒 | 日記
11月3日明治座で始まる「三丁目の夕日」
昨日通し稽古
役者さんたちの動きを見て
決めた衣装が良かったかどうかの点検もする

泣いたり
笑ったり
走ったり
座ったり
更には細かい仕種まで見て

あのスカート丈でよかったか
季節に合った色であったかと
チェックをしながら検討

そのとき
赤ちゃんを負ぶった高木役の森宮クン
「何かフイットしないのよねそのおんぶ紐」
「そうですか何か時代が違いますか」
「あっそうだおんぶ紐には兵児帯を使ったんだわ」
「兵児帯って?」
「ホラホラおとうさんが結ぶ絞りのーー」
「ああ巾の広いのですね、何か見たことありますよ」
「そうだわ、兵児帯使おう」
「そうすると赤ちゃんのお尻もすっかり包まれますよね」

そうなんですよね
兵児帯だった!
早速加奈チャンに衣装さんに連絡を頼む

小道具さんに
「おんぶ紐帯になったら衣装さんの担当?」
と聞いたらそうだという
下駄は小道具さん
突っかけは靴やさん
手ぬぐいは小道具さんだが
ソックスは衣装さん

この区分けがなんとも面白い


森宮クンは三田さんの長男なので
小さいときからかおなじみ
合間にいろんな思い出話に花が咲く

加奈ちゃんと二人で
みかんひと箱差し入れに手持ち
果物屋のおじさんがビニール袋に分けて
「五十二個ずつにしたからね」
うんうんもって稽古場に

乾燥しているので
水気は好評

それにしても皆さん大変な能力
役者さんは元気が第一
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秋晴れ

2008年10月27日 09時55分15秒 | 日記
気持ちのいい青空
太陽も惜しみなく顔を出している
足も軽やかにウオーキング
ここのところ
必ず足元に転がり込む黄金色の猫が居る

しばらく体を撫ぜて遊ぶ
一番太陽の当たるところに陣取っていて
道路にころころ転がって喜ぶ

しかし
耳の後ろは蚊に刺されたらしく
赤い血の塊の傷跡が痛々しい
蚊も賢い
猫の手が届かない所を噛む
生存競争だから仕方のない図だが
美しい猫だけに不憫

また別のところに
黒白二匹の猫が体を揃えて座っているが
この二匹全く可愛げがなく
呼んでもそばへ行っても知らん振り
孤高を保っているようだ
真っ黒と真っ白
闇と光か

其処へネコニイサン現れて餌を与えるが
お礼の様子もなく
つまりしなを作って擦り寄るなどなく
平然と
当然のように餌を食み
満腹すると「ニャー」もいわず
悠然と姿を消す

「可愛くないわね」
「あの二匹ね、いつもそうだよ」
「あの金色の可愛い猫は来ないの?」
「あいつはね、どこか自分で探しているらしく口がおごってるからオレの餌は食わない」
「人懐っこいわ」
「いやーネエサンにだけだろう、人に触らせないよ」
「そうなの、いつもスリスリしてるわよ」
「へーそうですかーー」

このネコニイサン昔ヤクザさんだったが
この中央公園で猫の世話をして25年くらいになる
指を詰めているので
かなりのことをしでかしたのだと思うが
いまはこの公園の猫飼育部長

「年には勝てないからアパートを借りて住み始めた」
と其のアパートから毎朝、夕と猫の世話に出勤しているという

若い女性が来ると見つめるので
「オニイサン油断できないわね」
「いや三歳で別れた娘があの年頃かと思ってーー」
と里心も覗かせる

ブルーテントのおじさんたちにも一目置かれているオニイサン
やはり人間たちには前身の凄みが効いている

青い空の下
いろんな人生をかかえた公園もチラホラ紅葉が目立ってきた
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姪の想い出

2008年10月25日 11時47分37秒 | 日記
中谷比佐子の近著
「節約精神」を読んだ姪から
思いがけない両親の姿が語られ
自分の親不孝さにあきれ返っている

「比佐子おば様の節約精神を読んでいたら
さまざまな思いがこみ上げてきましたのでーー」
と長い手紙を送ってきた

それを読むと
彼女から見る祖母とは
我がすみゑちゃんのことだが
明治生まれの女としては珍しくないが
梅干をはじめあらゆる漬物を最後まで作り続け
いまだ其の梅干が
姪の家の床下にあるという
亡くなって30年近くなるのにーー

姪と祖母、そして母である我が姉との真綿を伸ばして布団を作った
夏になると籐の敷物や御簾を巻き上げる手伝い
晒袋に竹炭を入れて風呂を沸かす
また仏壇の花瓶に入れる
ほうれん草やブロッコリー、小松菜は
蒸した方が栄養が逃げない
煎り鶏をたくさん作り保存食に

などなど彼女にとっての祖母は
知恵の塊だったよう

確かにすみゑチャンは手間隙かけて
おいしい食事をいつも私達のみならず
ご近所にも配っていたが
私はそれがいやだった

惜しいことをしたと思う
しかし姪が其の祖母の知恵を
いまだきちんと覚え実行していることが嬉しい

彼女は祖父母に愛されたので
二人から
多くの日本人の知恵を授かっている

いまさらこの手紙で驚いたが
父が姪に老子やアユルヴェーダーの知識も与えていたらしい

其の姪から送ってくる郷土の味は
常に吟味されていておいしい
それは彼女にとっての祖父母の味だったのだと気付く

間接的に私は父母の愛をいまだに受けている
ありがたいこと


子は親の偉大さが分からない
いや分かろうとしない
そのため
意識が外へ外へと行く
ふるさとを遠くに離れ
何十年もして父母の偉大さに気付く娘は哀れ

コレは国と一緒
日本以外の国が優れて居ると思い込んでいる人が多い
しかし
じっくりと日本を見ると
日本ほど自然を愛し自然に感謝する日常を過している人種は居ない

さらにさらに日本を見つめることを教わった
姪からの便りであった
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霜降

2008年10月23日 16時26分32秒 | 日記
今日は二十四節気の霜降
いつもの年は
このあたりから袷を着るが
今年はまだまだ
霜は降りず雨が降っておる

しかし
公園の木々の葉はボツボツ色づき始めている
紅葉のニュースもチラホラ

それにしても
自然のめぐりがすっかり狂ってきた
昨日も
都心に一番近い里山で
宅地の造成の工事が始まった
石原都知事が許可を与えたという

こうやって
自然はドンドン壊される

しかし
其の一方で
有機野菜の直売会社が
異常な発展を見せている
契約者が日々団体で増えておる

輸入食品の不安から
国内のしかも農薬をアマリ使っていない
食べ物を求めるのは当たり前

それらの会社は申し込み数が増え
新しい農家との契約に力を注いでいるという
農家の人々も
農薬を使わず
昔のような作り方をグループで
研究しあっている人たちがふえた

ああそれなのに

政府は中国の食品が不安となるや
デンマークやオランダに食を求め輸入を開始している

違うって

日本の休眠反を見直すことを考え
後継者の育成することが先決

日本には
比嘉先生が開発したIM菌
斉藤先生のいやしろ地に波動を変える波動器
また麻を植えることで土地が肥える技術

まだまだいろいろある
日本の国内をくまなく歩き
日本を元気にする方法を考えている人たちと一緒に
食品のことを考える時間をつくろう

ちょっと足元に目を凝らせば
日本の食は成長の要素がいっぱい

そうすると
季節も自然に戻り
霜降から袷をきることになるかも
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マジョリカお召し

2008年10月22日 13時52分20秒 | 日記
「衣」は着る人の気持ちを表す
最近の動物衣装はともかく
衣装を身に付けるのは人間のみ
とくにきものには思いが連なる

昨日は
「三丁目の夕日」で使う
主要女優の衣装合わせを稽古場で行った
昭和三十年代なので
当時を知っているだろうと
衣装プランのお役を引き受けている

洋服を散々着ていた頃なので
アレコレとアドバイスは出来るが
逆にきものになじんでいなかった分
きものと其の日常を母や姉そしてお姉さん方を思い起こすしかない

其の中で
マジョリカお召しというのがあったことを思い出した
ショパンが恋人ジョルュジュ・サンドとともにマジョリカ島に住み
子犬のワルツや雨だれを作曲した島だ

其の島にある壁画やマジョリカ陶器の柄をもじって
お召しに織り上げたはだれ
いいセンスしている!
西陣や十日町でつくり一世を風靡したきものだ

当時としてはというより今でも斬新なデザインと色使い
更に金銀の糸を織り込んだ豪華さが受けて
きものに羽織にそしてコートにと全国規模で流行した

そうだそれを使おう
知人の手持ちのもをお借りするが
寸法が今の女性には合わない

東京衣装さんが用意してくれたマジョリカお召しを
母子役の音無さんにみせると
「わたし質素な役だから光っているものはどうもーー」
としり込み
「でも当時最もはやった着物なので、時代を出すためにも着てください」
と半ば強引に押し付ける

演出家の堤 泰之さんは
「へーコレがマジョリカお召しですか」
といたくお気に入りくださる

小ぶりな羽織も
洋服の上に羽織るとモダン

乱菊が背中一面に咲く
こんな思い切った
そして美しい色の配色
こういうきものや羽織を平常心で着ていた
昭和三十年代のお母さんやお姉さん
凄いですよ、尊敬するうーー
きものを着るのが楽しかったに違いない

もう一度そういう時代が来ないかなあ
町が世の中が明るくなるです ハイ
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六本木

2008年10月21日 11時13分34秒 | 日記
毛利家の下屋敷跡に
防衛庁が建ち
其の後は美術館やマンション企業オフイス

六本木は
池波正太郎の鬼平や剣客商売、梅安
に登場するが
いつも田園風景だ

先日亡くなった
峰岸徹が「トン」と呼ばれていた頃
良く一緒に遊んだ町でもある
其の頃は交差点から富士山の勇姿も見えていて
富士に沈む夕日が美しかった

レストランは「シシリア」
というイタリアレストランが多くの遊び人のたまり場
壁にいろんな落書きをして楽しんだ

その後
防衛庁の脇にある
「早田スタジオ」撮影をすることが多くなり
きもののスタイリストとしての勉強をした

写真家の早田雄二さんは
早撮りの名人で一日に30カットは当たり前
入れ替わり立ち代り女優さんが現れ
メイクをし着物を着てカメラの前に立つ

ペーペーのチャコちゃん先生
毎日アイロンかけとコウデイネートにくるくる動く

コウデイネートに疲れると
帯締め帯揚げのどちらかにターコイズブルーが出てきて
「ああチャコブルーが出てきたお疲れですね」
なんていわれていた

近くに「元」というステーキ屋があり
そこで食事をするのがなにか
大人になった感じがした

今でもあるのかと顔を出したら
「ああーーーいらっしゃいお久しぶり」
と大歓迎を受ける

すっかり変貌した六本木
外国人が闊歩し
高給取りらしい女が
ハイヒールの音を響かせている

鬼兵も梅安もビックリするだろうって

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議員会館の売店

2008年10月20日 15時48分18秒 | 日記
年一回の「お正月はきものキヤンペーン」
其のフオトコンテストの審査委員長
森山真弓先生にご挨拶するため永田町の議員会館に行く

挨拶が終わると売店へ
ココはまあおもろいとこやで
マエに旋風を巻き起こしていたのは
「ジュンチャン饅頭」
「ジュンチャン手ぬぐい」
「ジュンチャンポスター」

購入する気はさらさら起きなかったけど
「今度は何があるかなあ」
あった
歴代総理の顔写しの湯飲み茶碗

「麻生総理の顔もあります」
と広告
同行の人は
「お土産に買って帰ろう」

チャコちゃん先生は
ハンカチを忘れたので国会タオルを購入
議事堂と菊のご紋が刺繍されている
すげーよ
趣味の悪さは抜群!

今日は扇も忘れたので
歴代総理の顔ののった扇を買おうと思ったら
「そちらはまだ麻生総理の顔がのっていませんよ」
それでは話にならないのでやめようとしたら
「半額にします」
という

総理大臣も安くなったもんですな
なにより
顔がアマリにも頻繁に代わるので
印刷も間に合わないどころか
制作費の元もとれないらしい

半額にされたところで
もともとどうでもいいので
「ヤハリ麻生総理の顔が入ったら買います」
と購入を取りやめた

他にもおかしいのがいっぱい
浅草の仲見世通りのノリだけど
もっとあらわで直球

ただ昔より売り場面積が小さくなっている
セキュリテイが厳しいので
訪れる人が少なくなったのかもしれない

ま、笑える
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財布の紐

2008年10月19日 13時43分32秒 | 日記
不思議な現象
マスコミでは「国民は財布の紐が固い」
と合唱している
しかし
デパートは満員
ホテルもデザートビュッヘに人盛り
ステーションも大勢の人の波

地方の友人はホテルが取れないと嘆く
外の食堂にも家族がいっぱい
電車も満員
映画館、歌舞伎、音楽会
更にはオペラも高い席から売れている

タクシーの運転手さんは
「景気悪いですよ」
とおっしゃる
きもののイヴェントでは
「客は全く来ません」
宝石イヴェントで
「石のよさと値段の兼ね合いをきちんと考える人が多いのよ」

財布の紐
というより
本当の生活を考えたお金の使い方を模索している
コレが今の人たちではないだろうか

「売れる商品を作る」
というより
「本当に作りたいものを作る」

作り手のセンスが問われる時代にもなっている

作った人の心に感動できないと
財布の紐は解けない
それほど
見る目が厳しく
本当にいる物、ほしいものにしか
お財布の紐はゆるくならない

それが本来は当たり前のように思う
「財布の紐が堅くなった」
のではなく
本当にいるものに目が行き
それだけ実生活に精神のゆとりが出来た

皆さん慌てないように
もともとのの日本人の生活に近づいてきたのだから
落ち着きのある日本人の生活にーーー
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温室状態

2008年10月18日 09時56分29秒 | 日記
いま秋櫻舎のあるビルは
外壁の塗り替えで
全体がビニールに覆われている

全部の窓がビニールに囲われ
窒息状態
タナカが
「お願いどこか空気入れてちょうだい」
と頼み込み
やっとバルコニー側の戸が開いた

ああー
空気がスーと部屋に満る
なんと気持ちがいい

ビニールハウスの中で育つ植物も
人間の考えだけで育てられているのではーー
と思う

土の上で
しっかり太陽に当たったものを食したい

地方へ行くと
畑が真っ白のところが多い
そうそれはビニールハウスなのである

ビニールハウス状態に閉じ込められてみて
植物の気持ちも理解できた

生きているものは
もっと自然の状態で息をすべきでしょうね

まだ工事は続く
お正月を越すようだ

人間も年を重ねると
化粧に時間がかかる
ビルも同じね
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