チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物を繋ぐもの 115

2019年03月18日 07時58分34秒 | 日記
春は大島秋から結城というのがチャコちゃん先生の着物選び
春の陽光により美しく輝く大島紬
泥染めに耐えた糸の光沢
絣機で締め付けられたあとの糸の開放感
南国の日差しと風の中で織られた躍動感
そういうものが着る人の心を自由にする
春きたるの喜びと大島紬の軽やかさが体と心にフイットするように思う

だいたい日本は南北に長い
それぞれに気候が違い考え方も微妙に変わる
今の季節でも南は海に入れるが北は雪が降っている

南国でおられたものは陽氣のいい時着るのがベターだし
北国で織られたものは冬に暖かい
もちろん植物繊維はこの考え方には当てはまらない

また養蚕でも地方によっては微妙に蚕の飼育が違うし桑の葉にも違いがある
それによって繭の違い糸の違いとあるのだが
そういう違いを一挙にまとめてしまおうとしたのが、機械化だ
真綿にするとより良くなる繭も有り
繭から直接糸を引いたほうがいい繭も有る

土地の変化が着物の素材の違いを呼んだとも言える

さて大島紬は九州の奄美大島と鹿児島で織られている
本場は奄美大島ここでテー千木染め(車輪梅)と泥染めが行われている
鹿児島は戦争が激しくなり奄美から移住した人たちの手によって先ずは織られた
奄美群島は日本復帰がかなり遅れ厳しい生活を強いられていた

初めて奄美に取材に行った時まだ空襲で焼け落ちた建物や爆弾で穴が開いたままの煙突とか戦争の傷跡がいたるところに残っていてその中でも島の基幹産業としての大島紬の復興は脚光を浴びていた
組合の働きも盛んでみんな張り切って明日に向かって力強く生きていた

「大島紬を応援しなければ」と強く思ったものだ

そして常に仕事着として大島紬を着て感じたのは
着ると体に沿って体が細く見える事
雨にあっても泥染めのお陰で水を弾く
ということは汚れもつきにくい
何より賢く見える いい女に見える
帯は塩瀬か纐纈がピッタリ合う
鹿児島で生産されている斬新な大島には金が入っていてもよく調和する

マイナスは冬は寒い
だから春着るのが一番 さもなければ暖かい地方の人向き
裾が逃げるーーだから歩き方や仕草に注意するので着姿が優雅になる
お茶席は無理ー衣擦れの音が高いのと座っていて裾が逃げる

こういう事が身にしみて分かったのち
春を呼ぶ着物として愛用するようになった
そののち単衣が最適と知る
さらに雨に安心で雨コート
最終的にはモンペイトエプロン

優雅でいながら労働着にもなる素敵な大島紬

#大島紬 #奄美大島 #中谷比佐子 #雨コート #単衣
コメント
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