チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

今年最後の比佐子つれづれ

2008年11月30日 13時58分27秒 | 日記
今年一年のつれづれのテーマは
言葉、言波、光透波
そして美しい肢体

美しい肢体では骨と奥筋
ニンゲンの体のすばらしさ

人間の体を磨くことは
魂を磨くことでもあった

そして昨日の最後の講義は
場所と人を代え
大和古流二十一代目の当主
友常貴仁先生に
代々木クラブまでお運びいただき
室町時代から続く大和の心の真髄を
2時間にわたってお話いただいた

日本人として
当たり前のことを
歴史に照らし合わせてお聞きすると
日本人が忘れたもの
捨てたものが見えてくる

参加者の中では
「昔よく母に言われたことなのにすっかり忘れていた」
「日本語のモノに対する正しさを思い出しました」
「日本人として日本に生まれたことに誇りを持ちます」
「きものがすきでよかった」
「きものを着ている人がきちんと残さないとね」
と穏やかに自分自身を振り返っている

友常当主はいつも足駄を履いていらっしゃる
正目も美しい利休だ
桐は音がいい
しかしこの舗道の世の中
「歯がへりませんか?」
「減りますね」
しかしこういう履物を作る職人がいなくなるので
出来ることは精一杯実用に履くこと
とおっしゃる

しかし一流と思っているホテルは
すぐにスリッパを持ってくるという

チャコちゃん先生も経験がある
雨下駄をはいて
一流と思っているらしいホテルで
「スリッパの用意がございます」
だから履き替えろという

「そうですか」
と受け入れて
「スニーカーやとがったヒールの靴の方が
じゅうたんを傷つけたり汚しませんか?」
とニコニコ笑いながら履き替えて
「スリッパでは廊下を歩かないでください」
と000ホテルではおっしゃっていますが
こちらはよろしいのね
「あーあー」
と相手は言葉なし

職人の技を残すのは容易ではないって

なんだか日々
着物の全身の姿が惨めになっていくこのごろですわ

精一杯意地悪しようっと

来年は何をテーマにしようかな?
この比佐子つれづれ30年も続いている
たいしたものよ

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千秋楽

2008年11月28日 18時49分47秒 | 日記
終わりましたね
「三丁目の夕日」
役者さんははじけていましたね
セリフも増えたりしてーー
カーテンコールでは
みんなウルウル

舞台ではカーテンが下りると
一本締め
一人ひとりをねぎらう
明治座の社長と演出家

楽しい舞台に仕上がっていて
私達は大入り袋を頂く

最後の客席は
暖かく劇に入ってくれて
一緒になって泣いたり笑ったり

今回友人達も大勢観劇してくれて
嬉しかった
其のつど
三田事務所は最もいい席を取ってくださり
みんな大感動

それにしても1ヶ月
役者さんは体が良く持つものだと
特に座長の三田佳子さん
気配りだけでも大変
舞台では
座ったり立ったりの屈伸運動ばかり

ななかなかできませんて!
責任感と覚悟
そして今自分が何をしなければならないかが
一番良く分かっている

楽屋の廊下は
「ご苦労様」
「よかったね」
「またゆっくりね」
とねぎらいの言葉でくれていく

舞台が始まったときは
染まり始めた銀杏だったが
まっ黄色に色づき
今朝方の雨で葉が歩道に散り
黄金色のじゅうたんになっている

草履の裏に
銀杏の葉をつけて
銀杏の葉とともに迎えた千秋楽

宴の後は
いつもやや寂しい 
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お勉強

2008年11月26日 11時35分09秒 | 日記
お勉強の出来る子が
大変な事件を起こす時代
学力優秀というのは
どういう人のことを言うのかしらね?

昔といっても昭和50年代まで
優秀な子は
「末は博士か大臣か」
が将来の目標であった

しかし今は
学力優秀でいい子が
「末は詐欺師か殺人か」

どうして?

博士という人を何人も知っているが
うーーーん
大臣は
もうおして知るべしでしょう?

根本が
そうそうわたしたちの立つ位置が
しっかりしてないのね

外ばかり気にする習性はやめましょう
樹木は
内側から成長し大きくなっていく
人も
内側を充実させるのが先決かな・・・

外側との競争はしんどい、しんどい。

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舞台観賞

2008年11月25日 11時56分19秒 | 日記
つれづれのメンバー12人と
「三丁目の夕日」を明治座で見る
なにせ
20代から80代の年代混合グループ
舞台は昭和33年から43年
という年にはまだ生まれていない人がいて
「そうそう、そうそうだったわね」
という人たちと
「へーあんなミシンがあったんだ」
「テレヴィも面白い形?」
「知ってる歌が少ない」
「懐かしい歌ばかりね」

などなどモノと自分の青春をかさねて
血沸き肉踊り状態

劇中の歌をハミングしたり
手拍子で楽しんだり
私達の周りが舞台と一緒になって楽しむと
劇場中が沸いてくる

終わって三田佳子さんの楽屋に
和綴じのメモ帳にみんなの感想を書き記し
それを渡す
「嬉しい、後でゆっくり読むわね、本当に嬉しい」
一人ひとりのきもの姿を褒めてくれる
「ナカタニさん乗ってたわね」
「わかった?みんなで楽しんだの」
「それが一番嬉しい」

「着物姿は会場が華やぐね、ありがとう」
とご主人の高橋さんもニコニコ

心地よい興奮のままお茶
其処へ言葉にいつも気をつけている田村さん
「ねえあの時代パフオーマンスという言葉は無いわね」
とダメだし
「おんぶ紐もあれはないわ」
と陽子ちゃん
子供の頭が座っていないときは亀の子という頭を固定するもの
頭がしっかりしたら晒を使う

「そんなんだ、お二人にお聞きすればよかったわ」
とチャコちゃん先生

「でもおしゃれなお洋服はあの通りで懐かしかったわ」
と衣装はどうやら合格

「それにしても喪服姿の三田さん息を呑むほど美しかったわ」
「ところであのときの帯は?」
元大手の呉服屋の女将さん
さすがに鋭い
「実は訪問着に締めた袋帯の裏です」
「なるほど、ぼかし具合が染では出せない落ち着きがあったものね」

楽しみながらも
見るところはきちんと見ているつれづれ仲間
味があって楽しい仲間ですわ

来年のつれづれは一月二十四日(土曜日)
年齢性別国籍不問
ドレスコードはあなたを輝かせるものならーー。
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風か鳥か

2008年11月21日 09時48分38秒 | 日記
ハラハラと木の葉が舞い落ちる
風車のようにくるくると舞う
体操競技の中にある
宇宙宙返り、月面宙返り

葉が落ちてきたな
と見上げると鳥がすーっと飛び立つ
舞の出来る木の葉の落ち方に
一役買っているのが鳥
静寂の中くるくると葉が舞う

一陣の風が来ると
木の葉はグループで落ちてゆく
風はムリムリ葉を木から外す

鳥と一緒に遊び
木からゆったりと舞い落ちる葉は
着地も上手

風で落ちる木の葉の着地点は風任せ
いづれにしろ
木から落ちる木の葉は
自分の意思で着地点は決められない

落ちたところで
次のお役目に向かう

土に落ちた木の葉は次の命を助ける腐葉土に
コンクリートに落ちた木の葉は
ゴミの国へ連れ去られ焼かれる
今は灰も残さない高熱瞬間焼却炉
残るはただ煙だけ
其の煙がオゾン層を傷つけるという

だったら
なにもかも循環する生活をしたいね

きものの繰り回しのようにーーー
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逆光と順光

2008年11月20日 19時24分43秒 | 日記
今日は美しい富士山の姿
気温が低く晴天になると
都会の富士もまことに美しい

こういう日は
公園の樹木もいろんな姿を見せてくれる

特に今の季節
黄金色に輝く木の葉に当たる光は
息を呑む美しさがある
それも逆光がいい

順光で見るそれはただの枯れ葉

人もそうかもしれないと
歩きながら考える
逆境を経験した人は
光と影の具合に人情味が湧く

男だったら其の影の部分が色気となる

女の場合は妖しい風情か

しかし逆境に負けてしまっては
ただの疲れ果てたおじさん おばさん

乳母日傘の順境の御仁は
あっけらかんとおもろいが味が無い

逆光の樹木を眺めて歩きながら
時折振り返って順光の樹木を見ると
其の能無し状態に
ただ唖然とする

しかし
その樹木も後ろに周り逆光で見ると
一気にその樹木に深みが出る

結局
独りの人がどう見えるかは
見る人の立つ位置によるのかもしれないと思う

そうか
人を一方的に見て判断してはあかんな
あかん あかん

と落ち葉の音を聞きながら気づいた
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鳶さんたち

2008年11月19日 13時36分12秒 | 日記
いま我が産土神社の境内では
夜ともなると
若い鳶職人が火消しの梯子芸を稽古している

高い梯子低い梯子と二本
其の両方を使って
先輩にしごかれている
かがり火に浮き上がって見えるので
なんとも美しい

訓練の様子を見たいと立ち止まってみるが
決してやってくれない

だからといって
「お帰りください、見せられません」
とはあえて言わない
其の消えなければいけない空気を察して
自ら姿を消さねばならないのが
なんとも残念

見たい
見せない

そろいの鳶はっぴを着た男達が20人ばかり
訓練に励んでいる

お正月の出初式に行う火消しの梯子舞
コレはお江戸の華
また男の晴れ姿でもある

鳶は
屋根を華麗に歩く
其の装束や履物を取材したことがあるが
独特の美学がまぶしい

今わがビルも足場を作り
今風の鳶たちが
アラビアンパンツのような
太いズボンをひらつかせ
まるで猫のような身軽さで
空中廊下を足早に動いて仕事をしている

この鳶職は神事と深く関連があり
特に町鳶は門松を作ったり
神社の祭祀の手伝いをしたり
町の人たちの生活を守ったり
ありがたき存在

有名な
新門辰五郎という鳶の格好の良さは
語り草になっている

今夜も産土様に行って
どこからかこそっとのぞいて見るべ
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大麻

2008年11月17日 17時44分19秒 | 日記
大学生が大麻の栽培をして逮捕されている
そういうニュースが頻繁だ
大麻を悪一筋に見てしまう傾向
大麻をオオアサと呼ぶと
また姿が違ってくる

オオアサは
弥生時代から日本の地で育てられている
3ヶ月で3メートルのびるほど成長が早い
そのため
五枚の麻の葉は
その昔
成長を願って赤ちゃんの着るものの文様になった
オムツに麻の葉の柄を使うことも多かった

大麻は繊維だけではなく
断熱材・左官財・壁紙・塗料・炭・プラスチックなどの工業材料
また麻の実はおいしい・油・ランプ用の油・花火なども

更には凧揚げの紐・大相撲の土俵の綱・弓など更に更にとある

いまでも
神事の衣装は麻の布を使用している
天皇陛下の祭祀衣装も麻を使う

大麻は葉と花に麻薬性がある
しかし茎や実、種は大いに人間社会に役立っている

植物が石油になるまでは2億年
麻が繊維になるまでは100日
しかも麻は農薬がいらないどころか
麻を植えた土地は「いやしろ地」になる

日本が戦争に負けたとき
アメリカ政府は敗戦国に
1948年大麻取締法を作り
大麻の栽培を禁じた

この取締法が履行されているのは
今では日本だけである

しかし1996年、都道府県の知事の許可が下りれば
しかも種と茎。実を使うということで
栽培が許される

大麻は石油と同じように
いろんなものを生み出すことが出来る
大麻を正しく植える人の仕事を奪う大学生を
チャコちゃん先生は許さん

八十八箇所のメッカ四国は「アサイト」の国
アは阿波の国ー徳島県
サは讃岐の国ー香川県
イは伊予の国ー愛媛県
トは土佐の国ー高知県
コレは広瀬恵子さんが教えてくださった

今でも皇室祭祀の麻は奈良時代から四国の麻という

大麻の悪ばかりをあげつらってほしくない
大麻そのものは悪ではない

それを扱う人の心根こそが問題




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不断櫻

2008年11月14日 10時16分31秒 | 日記
今年も
両国の江戸東京博物館脇
不断櫻が満開
紅葉を始めたケヤキの中に
真っ白い小ぶりの花が精一杯顔を輝かしている

伊勢の白子神社にも
不断櫻があり
其の葉の虫食い状態を見た賢い先人が
伊勢型紙を開発した
という俗説がある

型紙を尋ねて伊勢に取材に赴いたとき
不断櫻という櫻があることも知った

ここ両国では10本が街路樹として植えられている
いま本当に見頃
更に
江戸東京博物館では
ボストンから戻った
浮世絵展が行われている

春信をたくさん見られて嬉しい
しかしこの十倍くらいがボストンにあるらしいが
よく日本から流出したものだ

しかし
日本にあって
戦火で焼けてしまうより良かったか

此の館内
すげーーーー熊手が飾ってある
400キロだそうな
5分くらい眺めたら
あるわあるわ
おめでたいものいっぱい
コレでもかコレでもかと宝物がくっついている

楽しくなる
嬉しくなる
笑ってしまう
大きな福が降りてきた感じ

浮世絵より
こちら熊手のほうが
なにやらありがたい

この熊手のおかげか
わんさかワンサカの人の賑わい
浮世絵を見たかったら
夕方4時以降がお勧め
潮が引いたように人がいなくなる

不断桜
400キロの大熊手
そして夜は美しい満月 この月は財の気があったそうな
更に西にいた今朝の満月

いいこといっぱい、フフフのフ

東京では二の酉が11月17日 父の命日
三の酉29日
どうりで今年は火事が多い
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左手先 右手先

2008年11月13日 10時49分32秒 | 日記
帯を締めるとき
手先を左にするか
右にするか
コレは
関東関西で違う
これだけはいまも区別があるので
面白い

さて
チャコちゃん先生は
左手先を左にして帯を締める

先日30年締め続けている
光琳椿と光琳海棠の丸帯を
椿の季節になったと思い締めた

タナカ
「チョット帯が破れている帯代えて出かけてください」
「あらほんと目立たないわよ」
「そういう問題ではないでしょう」
と厳しい

この帯は黒ボカシの地に
光琳椿を手描きしたもので
先代の笠仙の会長が
「なんといっても光琳はお品がいいからね」
と光琳の図案集を見ながら
いろいろ話し合いながら決めた懐かしい帯
都合
光琳梅、柿、蔦、紅葉などなど
次々帯におさまった

どんなきものにも本当に良く映える
よく取り出して締めているうち
黒の染料は風化も早いので
ボロボロになったらしい

では着替えに帰ろうと思っているとき
セキド
「手先を変えればいいのではないですか?」
「そうだ」
タナカと顔を見合わせる

「へーいいとこに気がついたわね」
「そんなのきものを着ている人の常識です!」

いわれてしまった
きもの暦4、5年の若造に教えられたワイ

うれしいねえ

手先を右にして締めなおしたら
また新しい感じがする
これでまた何十年と締めるつもりかしらね
チャコちゃん先生は
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