東京博物館で行われている「大奥展」に行く
先月の「比佐子つれづれ」で予習のお話をしたので、私自身も非常に身近に見えてしまって面白かった
もともとチャ子ちゃん先生は着物の柄や色は江戸時代に完成されているという感覚なので、御台所や側室の衣装の手仕事に集中してしまう
金襴緞子という織物に関しては男用や宗教関係者、または傾奇者のモノ
女たちは「刺繍」「絞り」「手描き模様」が中心になりその精魂込めた手仕事に心が震える
着るモノだけではなく、袱紗や、掻い巻き(掛布団)御台所や側室たちの小さなものぐさみと称する人形や小間物の手作りにも、その方たちの置かれている立場や心境が伝わってくる
御台所の輿入れ道具の品々にも、家の威信をかけたモノづくりに圧倒される
こういう仕組みがあったから、日本の職人たちが腕を競う場所が与えられ、芸術品がこの世に残る
封建制度を男側から見ると権力こそが「善」という構図になっていくが、表の政治から裏の血筋を絶やさぬという立場にいる女たちの生活は、権力とは違った「美」が生まれていた
刺繍の糸が無撚糸であるため、立体感がありながら滑るようなめらかな花や葉モノの表現に見とれる
久しぶりに「打ち出し鹿の子」の手法にも出会えて、手で絞ったものとはまた違った奥行きを鹿の子絞りに感じた
染匹田とは違った味わいがある
袱紗を使用する文化はある意味恥の文化でもあるのだなあと感じた次第