チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 106

2019年03月02日 14時47分36秒 | 日記
男が着物を頻繁に着るようになったら男の自信を取り戻すのではないかと思う
男の着物姿がいいなと思うとすぐ取材をさせていただいた
そのかでも印象に残っているのは高倉健さんだが
この話は前に書いたので繰り返さない

骨の美しい女性が好きだと語ってくれたのは吉行淳之介
男はどうだ
と聞いたらあなたはどう思う?と逆に聞かれた
やはり骨はしなやかな方が美しいと思う と答えた

例えば?と聞くので
鳶の人たちは美しいと言ったら真顔で
実にいいとこついてると言ってた笑った

鳶は瓦屋根の上を音を立てないで歩くそれには深層筋を鍛えていなければいけない
筋肉をやたらつけるのではなく 筋を意識することで骨が柔らかく自由に動いて結局好きのない美しさになってくるのだそうだ

その後大腰筋を鍛える方法をお仕舞いで教わったが
仕舞を本気でやっている人はやはり美しい

なんば歩きを本格的に教わったのは武道家から
昔の男はこの歩き方を習得するので廊下を急ぎ足でかけても音を立てない
明治に入って初めていまのような歩き方が一般化したそうだ
左右交互に歩く訓練を陸軍から始めたという
そおすると靴の音がカッカカッカと周りに響き渡って勇ましく感じる

男も女もナンバ歩きができた時代は大腰筋が発達していたので骨折などは少なかったようだ
農家の人以外は腰が曲がるということが少なかっらのもこのナンバ歩きのお陰らしい。

さて色んな男の着物姿を取材し写真撮影もした
浴衣を見事にきこなしているのは力士だがその他では舞台役者
十一代団十郎がまだ海老蔵と名乗っていた頃楽屋訪問で浴衣姿を撮影させていただいた
胸元がゆったりとした着付けで片足をのばした姿で座っていたが私が部屋に入ると居住まいを正してあの大きな目で直視され口元から歯がこぼれた

こもった声で「いらっしゃい」とこちらに向き直った
途端にその色っぽいオーラーに上ずって、何をインタビューしたかも覚えていないほど上がった
のちに一緒に行ったカメラマンが「あんなにのぼせ上がったチャコを見たのは初めて!」と言ってみんなに言いふらされてしまった

写真のポーズは色々とやってくださていて途中私の顔を覗き込みながら「冷房を入れましょうか?」大汗をかいていたのだ(真冬の取材だった)

矢張り鍛えられた体の動きの美しさにポートなっていたのだろう

男はこだわりが強く自分が着る着物の一つ一つにうんちくを傾ける
それを黙って聞いたやるのも女の役目だと思ったのも
こういう小娘を相手に大の大人の男たちが嬉々と自分の着物語を語って聞かせる姿は少年のようだった

男たちにこういう先輩男の着物の話の講演会をしようと思いついた
これも着物をつなぐことになる

#団十郎#鳶#中谷比佐子 #ナンバ歩き
コメント
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