チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 123

2019年03月27日 09時00分00秒 | 日記

呉服屋の女将さんの話をもう少ししてみたい
平成4年3月3日に私は「女将さんサミット」というグループを立ち上げた
その前から「婦人公論」で女将さんシリーズを書いていた

京都の問屋で取材をしていて気になる女将さんを追っかけて北海道や九州に飛んだ
そこで教わったのは女将さんたちのその地域での信頼度
今のようにカウンセラーなどない時代またコーチングを仕事にする人のいない時代
彼女たちはコーチングの名人だった

お客さんには着物を売るだけではなくお客さんの苦しみ悩みすべての解決者でもあったのだ
何でも受け入れ他言は無用ただ全身で心をこめて聞く
それだけ二時間をかけ暗い顔の客が輝くような笑顔で店を出ていく
しかも100万単位の買い物をして(いつの間に売ったの?とよく聞いた)

とにかくすごい
夫の世話子供の面倒も見る更には介護もある
それでもいつも堂々と明るく生きている姿それが私の目に写った女将さん

何軒か取材をしているうち
カウンセリングに明け暮れている女将さんのカウンセリングは誰がするのだろう
女将さんは疲れていないのだろうか
女将さんは悲しくないのだろうか
女将さんは今の境遇に本当に満足しているのだろうか
いつもお客さんを立て地味な着物を着てもっとおおしゃれをしたいと思わないのだろうか

着物を着て車の運転をし明るく賑やかに振る舞っているけれど本当のところ心から和むということはあるのだろうか
ご主人はゴルフだバーだ俱楽部だお座敷だと発散しているがおかみさんたちはただただ人の話を聞くだけ

「そうだ女将さんを遊びに連れ出そう、目一杯おしゃれをしてもらい少女のよう無垢な心に一瞬でもなってもらおう」
よせばいいのにこんな思いでチャコちゃん先生「女将さんサミット」を立ち上げた

おかみさんたちと遊ぶともう芸達者ばかり
娘の頃日本舞踊をやっていた、芸大のピアノ科の卒業、オペラを目指していた芸大出身者、三味線で小唄や新内までもできる人
とにかく大騒ぎで遠慮する人がいないので笑い転げながら夜が更けていく

芸が一段落するとせーの!で着物を着ていて肌襦袢を脱ぎまた肌襦袢を着るという競争が流行った
ということは女将さんの中ではだれも補正などしていないのだ
1等になった女将さんは「比佐子さんを自由に使う」ということで無理難題を押し付けられた(でも楽しかった根っこが優しいので)

今でもこの中のおかみさんたちの10人とはとても良い関係が続いている
亡くなった方も居るし現役を退いた人もいる

女将さんたちのコーチングやカウンセリングはどれだけの女たちを救ったことだろう
それで年間一億も売り上げるツワモノばかりだった時代があった(男たちはなにしてたんだろうね)

#女将さん #肌襦袢 #着物 #チャコちゃん先生 #中谷比佐子 #コーチング #カウンセリング


コメント
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