チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

この世には成功と大成功しか無いって

2018年09月30日 11時05分18秒 | 日記
人と比べて自分が劣る自分が勝るという競争ではなく
昨日の自分より今日の自分のほうができが良いか
出来が良ければ成功ということだそうだ

そう考えると気持ちが楽になる

相手の言動に不快になったり愉快になったり
これってある意味周りに振り回されているということだろう
そういうとき
不快になった瞬間
「おお修行の段階を与えてくれたぞ」と喜ぶと気持ちが次の幸せを呼び込み成功

本当の成功は魂の磨き方にあるようだ

人間って感情の動物だから
その感情に自分が振り回されていることが多い
全て自分から発していると思うとおかしくなり「なーーんだ」
と全身が緩む

チャコちゃん先生昨日から倉庫や事務所の片付けを始めている
幸い長年の友人がなんとなく遊びに来て
お片付けの指揮を取り始めた(彼女は空間美術プロヂューサー)
兼ねてこの会社の空間からお金が発生しないことに心を痛めてくれていたらしい
しかし持ち主がその気にならないと自らやろうということはできない

そのとき友人のボーイフレンドから電話が入り
男手が必要ちょうどよかったと呼び寄せて重い家具を運んだりしてくれた
「持つべきものは友じゃあ」
とありがたい

ありがとうごめんなさい

生きていると友情の中身もいろいろと変化をする
友達から姉妹そして親子更に一体という感じになってくる
そうなると生きていることが大成功だ

苦しいときは助け合い
嬉しいときはともに喜ぶ
というけどこれってなかなかできない

苦しいときの助け合いは簡単
嬉しいときにともによろこびあえるという段階は本当に難しい
羨ましいとかちょっとした妬みもあるからね

しかしそれも成功に導くことができる
自分自身を本当に大事に優しくしていると
人の喜びがおお喜びとなる
何事もまず自分を喜ばせることのなのだと最近特に思うようになった

こういう話ができる友がいることもありがたい

これも大成功だ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

着物が繋ぐもの 26

2018年09月29日 12時44分37秒 | 日記
9月は上代絽
この生地は今はない、まったくない
紬糸を使って絽織にしてあるのだが絽目が混んでいるのと同時に糸がブツブツしているので
単衣の時期に着るのにぴったり

単衣だ袷だ薄物だと日本の着物にはその季節に合わせた生地があるのだという
誰に聞いても
「昔からそうなの」
という言葉しか返ってこない
母に聞くのが一番いいのだが絶対に嫌!(何突っ張ってんだか)

上の姉は茶道の世界に身をおいているので
少しはまともな答えが聞けるかもしれないとこれまた浜松まですたこら出かける
学生時代は夏休みによく行っていたので姉のお姑さんの大師匠は大歓迎
「あら比佐子ちゃんまずはいっぷく」と座らされお薄をいただく

一応この時代は娘にはいろんな稽古事をさせるのが母親達の義務だったので
お茶とお琴はいやいややったけど身にはついている
姉は私の用事を知っているので早くお茶室から連れ出したいのだが
鴨になっている私はなかなか開放されない

腹を決めてお姑さんに質問
さすが茶道教授スラスラと着物と季節の関わりを説明してくれる
「ただしお茶席ではね、ということで一般とは少し違うかもしれないでも参考にしてね」
「ハイハイ嬉しいです」
しかし上代絽についてはご存じなく姉はそ「ういうのを着てみたいわね」などとのんびりいう

一応の衣替えのときとそれぞれのTPOについても教えていただき
着物っていうのはなんとややこしい
つくることと、着ることの落差のようなものを感じて
この底しれない着物の世界に私は入っていっていいのだろうか
と何か気が重くなってしまった

しかし高崎の青樹さんと色の話をし始めるともう楽しくて仕方がない
(詰まりはまだ自分から着物を着ていないので着る楽しみが全くわかっていないのだ)

その上代絽にクリのイガイガを染料にして染めて
品の良いベージュの色を出し青樹さんが月とすすき萩を手書きすることになった
月は刈安の黄色 萩は蘇芳でだしたえんじ色の花 葉っぱは山藍と刈安で出した緑

着物は柄にも季節を出していくものだと知った
「どうして?」
日本人の季節感の感受性だけではなく、季節の柄はその時のエネルギーを身につけることになるので
体が喜ぶという(ほんまかいな)

この時代に既に波動とか素粒子、電子という言葉がポンポンと出てきていたことに今更ながら驚く
草木染めは科学と化學の知識が必要でそれに微分解析とくる
化学記号で色の説明をしてくださる青樹さん
チンプンカンプンだったけど回を重ねると理解できるようになり
それが料理にも及ぶことを知って着物がだんだん身近になっていった
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

着物が繋ぐもの 25

2018年09月28日 15時21分10秒 | 日記
結局丹後では絽と紗更に上代絽という珍しい(私にとっては)生地を購入
その生地ができるまでに糸が水を浴びているのをみて仰天した
こんなにも水を使うのか
だって着物は濡らさないようにととても注意をしているではないか
母や姉たちはーー
誰一人「水の効果」についてしっかりと回答してくれる人はいなかった

調べるしか無いな

それにしても買えるだけの現金を持っていたのだと思う
当事はカードなど便利なものはないし
はじめて出会った小娘にあとで振込みということはなかったであろう
しかも1万円札があったのかどうか記憶にない
あったとしたら聖徳太子だわね

白生地といえども
生まれて初めて大きな買い物をしたので興奮していた
紙袋もなく端切れで作った風呂敷に包んでくれた
端切れと言っても白生地の端切れなので嬉しくて仕方がない
「この風呂敷いただいていいんですか?なんと嬉しいありがとう御座います」
と喜々としてとしてお暇する

包んだものを縦てにして持っていたら
電車の中で知らないばさんに
「どなたがなくなったの?」
「はーーあ!」骨壷に間違えられてしまった
人の思い込みってこんなものなのだと社会のとり方を知る

さて
高崎の山崎工房に生地を抱えていく
「難しいけど紗の生地には「山藍」を染めよう
「無地ですか?」(生意気だよあんた)
「何がいい?」
「こうなんていうか縞がゆらゆらしているようなそんなのができたら素敵」
「うーーん」

いろんな縞を見せてくれる
「これっ!」
「ああよろけ縞ね」
「よろけ?酔っ払ってるんだ」
そういえばこういう縞は織の反物の中にはなかった
青樹さんは日本画家なので手書きで縞を染めることになった
(これは歌舞伎好きのおばに賈ってもらおう、粋だもの)
山藍は縄文の時代からある植物で最も古い染料の一つだそうだ
古代の藍色はこの山藍で染められたものが多い
その染め方も「延喜式」に記録がある

青樹さんはその延喜式に書かれた文面をさして私に読みなさいという
また「青摺りの衣」という言葉は古事記の下巻にもあり
平家物語にはそれが「藍摺り」となって大嘗祭、新嘗祭などに着用する水干という文面もみる
その美しい水色が山藍の染料
そして緑は山藍と黄肌(木の樹皮の裏側が黄色)の黄色を合わせて作り出しているという

新嘗祭はわかるけど大嘗祭ってなに?
水干って? 
またもや日本の新しい(私にとって)文化に触れていく

着物って一体なんだろう化物のように次から次へと私を古代に引きずり込んでいく (つづく)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

成長芽

2018年09月27日 15時50分01秒 | 日記
「この枝葉はどうして剪定しないのですか?」
「だって成長芽が無いから」
「はー?成長芽?」

桑畑に入り剪定された桑の写真を撮っていて気がついた
Sさんは
「どんな織物を織りあげようか?そのためにはどう言う糸が良いか、その糸を作るためには蚕の種類を何にしようか?さらにどの桑の葉が良いか」
を決めて桑の葉の手入れ、養蚕、糸造り、染め織りと計算して反物を作り上げて行く

先ず「着る人あって」の着物作りなので半年はゆうにかかる。

進行状態を見るために現場に足を運ぶ
その都度桑畑に入っているのに「成長芽」のことを初めて知った
この方は自ら話をする方では無いので、質問をしっかりしなくてはならない

質問には期待以上の答えが返ってくるのが常

今日もそう
「成長芽」を蚕に与えるとどうなるのですか?
「成長芽を握ってその下の桑の葉のを16枚与えるのが理想的」
「どういう風に?」
糸が細くて柔らかくそれでいて腰のある糸が取れ、その糸で折り上げるとまツヤツヤして美しい
蚕が一番喜んでいると思う。まで言う

「では成長芽を持たない桑の葉を蚕に与えると?」
「普通の着物ができる」
「普通じゃあいけないんですか?」
「僕の存在理由が無いですよ」

艶やかで品が良く、着ていて心地よい、しかもきている人の波動が上がる
そうすると周りの人も喜びに溢れる
このような着物を世に送り出すことが自分の使命

ここまで言い切られると「ハイ」と頷くしか無い
そしてその姿勢で着物作りをしている
だからこそ今回一生に一度の「斎服」の布を製作していただくことにした

成長芽が無いというのは人にも当てはまるようい思った
元木からニョロニョロと勝手に枝を出す
役立たず
「腐葉土に使える?」
「僕は使わない」
「でも生きたんだから何かに役立つ方法を考えなければ」
と食い下がるチャコちゃん先生の

「不思議だね成長芽のない葉っぱは虫も食わない」
「ああーー」
頭を抱えるチャコちゃん先生
こんなところで悩むこともないのに
「焼いて灰にして土に戻す」
「そうしてるよ」
早く言ってよね!

ということでやっと落ち着いたふーー
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やりたいこと

2018年09月26日 08時35分08秒 | 日記
チャコちゃん先生の場合
やりたいことを追求すると
「ボーとしていたい」と言う答えが返ってくる
脳がいつもサボる事を提案する
脳って本当は何もしたくないんだなと思う

では脳は働かないのに何かしなければと思う
それって「思い」なのだと最近わかった
刷り込まれた思いなのだ

脳はオサボリ専門だから人は色々規定を作る
宿題終わったの?顔洗った?あそこに電話した?などなど
物心付いてからこちら、しなければいけないことがいっぱい押し寄せて
それを一つずつきちんと終わらせる人が正しくて優秀と言う評価をいただく

自分のやりたいことがどんどん薄れていって
やらされることばかりが増えて行く
そう言う中で本当にやりたいことを見つけるのは困難

幼い時にやりたいと思ったことが本当は真実かもしれない
はて何お思っていたのだろうと考える
脳に聞くと「忘れたーー」と言う

社会のためになること
人の役になる事
そんなことは後から大人が刷り込んだことだ

本当はひたすら楽しく
心から笑ってみんなと楽しい時間を共有することが一番やりたいこと

振り返ったら
それをずっとやてきたではないか
オサボリ脳も楽しい幸せと思ってやることには
どんどん協力してアイデアを送ってくる
時々行きすぎて大失敗もある
それは脳はブレーキが効かないと言うことを知らなかったからだ

結論は
一瞬一瞬「幸せだな、ありがたいな」
と思う時間を沢山持つことなのだと理解
脳はこれだと嬉しくて色々知恵を出してくれる
脳の性格を早く知ったが勝ちだね
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

着物が繋ぐもの 23

2018年09月25日 14時49分08秒 | 日記
当時の私はフットワークが良くてというより知らないことが多すぎて
「白生地の取材に行きます」
と反物の商標に印刷してあった「丹後ちりめん」に出向くことになった

誰を訪ねて行けばより効率がいいかなどの知恵もなく
いきなり組合を訪れ取材

東京から京都まで特急列車、そして山陰本線に入る
松本清張の「点と線」という小説が出たとき
それを尋ねる旅という企画をしたことがあるので
時刻表を見るのは得意だし列車での車窓風景が何より興味を引く
特に山陰本線は美しかった

組合にかけこみ「白生地の勉強に来ました」
皆しーーンとしているの
そうか名刺を出そう、それに今まで手がけた信濃路の紬のページや草木染めも見せよう

手はずを踏んでからやっと一連の作業を見せてもらえるようになった
(無謀だよね今だったら絶対できない無知なる若さ)

とにかく「絽」が見たい
「絽には平絽、駒絽とあってね」
まてまてわからない
基本的な白生地の種類を見せてほしい、触らせてください
と頼み込み、平織り、繻子織り、ちりめんなどなど初めて耳にする言葉が滝ののように流れてくる
単語と素材を一致させながら肌で覚えていく

「現場もみたいです、織っているところですが」
その頃はもう取材の目的もわかってくれて非常に親切に教えてもらえる
ここでまた頭が混乱
知ったかぶって「機織りの現場」といったが
山崎さんや信濃路の工房で見た機織りとは全く違う

こちらは動力機というもので人がいなくても機が勝手に動いている
そのかわり一反二反という織方ではなく一度に10反も30反もできるのだという
ガシャガシャという機械の音の中で質問したり答えてもらったりするので声がだんだん高くなる

織り上がった100反もの白生地を畳の上に並べてみたとき
その白の美しさに圧倒されて言葉も出ない
織模様があり、また織方の相違で白の種類が違って見える
「これに手を加えるって勿体ないですネ」
「そう言ってくれると嬉しいな」
「一口に白と言ってもこんなに色が違うのですものね。なんときれいなのかしら」
(このときの衝撃的な白の美しさが白色から未だ卒業できないでいる)

ちりめん糸を作るのに膨大な水を浴びせていた
絹に水は禁物とどこかで聞いた気がするが
「水の美しいところでないといい白生地はできない」
この矛盾した糸作りその時は無感動で過ごしたが
後にその言葉の重要性を知る

それにしてもこの時代女の子の一人旅は敬遠される
組合の方がやっと宿と交渉してくれて旅装をといた  (つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

着物が繋ぐもの 22

2018年09月24日 14時14分07秒 | 日記
山崎青樹さんは少年の頃から日本画家になりたいと思っていた
青樹さん中学二年生のとき
「日本画の勉強をしたい」
と父斌さんさんに申し出た
反対されるかと思いきや当時親交のあった横山大観先生に斌さんは相談し
「美校に行くよりまずはスケッチを送ってくるように」といわれ
しかもスケッチも毛筆で書くようにということであったそうだ

早速春休み写生旅行に和綴じの写生帳を手作りし矢立を持ってでかけた
この日から日本画家の顔と草木染作家の顔を持つ山崎青樹になる

口の重い青樹さんだが
私の突っ込み質問にぽつりぽつりと答えてくれる
これも
「オヤジの最後の弟子だから」
という一目の置かれ方で、それを逆手とって質問攻め
なんたって知らないことばかりだし
高々染織のことを書いていると言ってもまだ一年にも満たない
ペーペーのひよこもいいとこだ

柿生の斌さんの工房から私の取材は高崎の青樹さんのところに移っていた
というのは
生意気にもいくら草木染めでも織の無地だけではページに変化がつかない
あくまで編集者の目線なのだが
そういうわがままな申し出も
「草木染めというのはどんなものにも対応できる、また深くて広い楽しみ方ができる」
というか草木染めに対する信頼が山崎親子にあったので
すぐに変化を楽しむことができた

その第一歩が「型染め」
7月の草木染めに関しては絽の生地に秋の七草を型染めすることになった

絽織という生地は姉の着物で知っていたが
「絽に型染めは難しいよ既に絽目があるからね」
「絽目ってなんですか」
なるほど手に取ると既に規則正しく穴が空いている

型紙を乗せ型紙の穴から糊を落として行くのでひょっとして絽目に落ちる糊は別のところに行くかもしれない

「初めてだけどやってみよう」
青樹さんは学者タイプで従来の技法に別の技を加えるということを嫌がらず
しかもそうするとどうなるかという科学者の目を持っていた

絽の端切れはあったが反物はない
はて反物はどこで購入するのか
なにせ「一生着物はきませんよーーだ」と母に宣告している私のこと
母に購入ルートを聞くには女がすたる(笑)とばかり
姉に「絽の反物って買える?買ったら送ってきてすごい着物を作るから」
作る前からもう売りつけている

しかしこの着物は昨年なくなった姉のタンスの中から風呂敷に形が変わって出てきて感動した
何回も洗っては着ていたのであろう
生地はへたっていたが草木の色はいい具合に枯れていた
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宝塚OG

2018年09月23日 15時33分30秒 | 日記
本日東京大井町で品川ジェンヌという舞台が行われている
宝塚OGと品川区の少女たちの舞台だ
その制作を担当している友人に
「みたいわ」とチケットをお願いしたら
「全部売り切れていてだめ」

毎回なんとか潜って入れていただいているので今回もその手を使ったが
見ごとに振られた。甘かった
かわいそうと思ったのか
「通し稽古だったら見せてあげられるよ」
「いい、いいそれで十分」
と友人を誘って観劇

しかしだな舞台は楽しかったけど
観客のいない舞台は面白さが9割減
すっかり退屈してしまった
他の方は初めてだったので
「面白かった楽しかった」
といってくれた

通し稽古を見るとつい昔の癖が出て
「あれ出がチよット遅いな、昭明が遅れたな、三人の息が合わなかったな」
とそういう事に気が行って楽しめない
それでもタカラジェンヌは基礎ができているのでたとえOGといえども見ごたえがある

終わって劇場外に出ると
元宝塚フアンのおばさまたちが午後の本番目当てにずらりと並んでいる

そういう人のために
舞台では往年のヒットメドレーで花を咲かせている
舞台づくりは現役のスタッフたちがやっているので手はねいていない
本番はきっと観客は大満足であろう

OGたちも流麗に踊って歌って楽しませる
こういうのを昔とった杵柄と言うんだよね

舞台早は以華麗
人は楽しむために生きているのだなあ
とつくづく思う

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大相撲9月場所

2018年09月22日 07時48分37秒 | 日記
5年ぶりの相撲観戦
朝10時30分から楽しんだ一日
生憎の雨と思ったけどこれが大きなプレゼント
両国では力士の出待ち入り待ちが面白い
入り口から各部屋に入るまでの道300メートルくらいある
これが花道のように楽しい
三役力士も入り口で車を降りてこの道を歩く

付き人付きの力士はみんな単衣の着物を着てそれぞれ好みの柄を見るのも一興
蛇の目を指し雨下駄を履いてまるで歌舞伎役者のようなオーラを出す力士もいる
四股名を呼べどもニコリともせず
またちょっと律儀に頭を下げる力士も
照れて俯いて通り過ぎる人も
堂々として頬を緩ませて通る力士は白星を重ねている

流石に着こなしがいい
帯の位置背筋を伸ばした姿勢
足の運び
蛇の目を持つ手の高さ
全ていい

センスがいいと思う力士についている付き人の浴衣もまた粋
日本人の力士が概ね江戸前
外国力士の着物は奇をてらっていてこれはそれで面白い

無地の着物に無地の羽織渋い栗の実の色
紫の蛇の目 雨下駄
付き人も連れず荷物も持たずスーと通り過ぎていく力士もいた

雨で思わぬ拾い物
横綱になると地下のお駐車場にさっと入ってしまってつまらない
力士の季節の着物を見るのも結構楽しい時間

さて土俵では
行司の衣装に目がいく
金襴の織り物なので裸の力士と対照的で美しい
呼び出しの美声に聞き惚れる

相撲と宝塚は実力でくらいが決まっていくので
上位になったら遠慮することなくオーラーを出しるづけなければ勝てない

稀勢の里は「気」で負けていた
土俵で塩を撒くのに相手の白鵬の準備を待つ
白鵬は土俵に上がったら勝つことしか考えていない
「ああ負ける」
と思わず呟く
会場の雰囲気が「ああ負けるな」という「気」に包まれる
その「気」をがむしゃらに消していく気迫を持たないと優勝は難しいと思った

会場の「気lこれを勝ちに演出していくのに横綱の土俵入りがあるのだと思った

贔屓の隠岐の海、遠藤、栃ノ心はまあまあだったが
体からもろに現れる「気」と言うものを改めて感じた相撲観戦

会場の「気」を変えるパフオーマンスも必要なのかなとも感じた相撲観戦

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

着物が繋ぐもの 21

2018年09月21日 08時21分15秒 | 日記
山崎青樹さんの工房は高崎にあった
染の手順の原稿は父斌さんが書いたが
染めはここのところ長男の青樹さんに移っていた

青樹さんの工房の後ろには美しい川が流れていた
「染には水が一番大事」
ということは柿生でも耳にたこが出るくらい聞かされていた
だから家の中に水を引いていたんだものね驚き

高崎の家は樹木が鬱蒼としていて
その木々の一つ一つに木製の首輪
木の名前とこの木からどんな色が生まれるかを媒染の名前まで入れて丁寧に手書きしてある
知らない木が多くてこんなにも自然を見ていなかったかと呆れた

部屋に通されて染めの順序をまず説明してくださり
今まで染めた反物を見せてくれるという
部屋の一角に時代がかったタンスがあり取っ手のある引き出しを開けると
「うわーーー」
美しい色の数々古びたタンスが一気に晴れやかになりコトコト音を立てる取っ手の金具もなんだか嬉しそう

あの伊勢丹で見た万葉の色の反物のすべてが入っているのだという

これは紅花
こちらは鬱金
これは山藍
それは茜
そしてザクロ
一つ一つ染材を美しい墨字で和紙に書いてある

この文字は奥様の手書きと聞かされ色より字を褒める私に奥様は苦笑い
でも嬉しそう

心が踊るような色の数々
メモを書く手が追いつかないほど次から次に反物が出てきて
「わかったわすべての植物に色があるということですね」
これから木々を見上げたときこの樹皮はどんな色を持っているのかしら
この葉っぱからは何色が出るのかしら
そう思って見るだけでも心が植物に向いていく
そのようなものの味方を今までしたこともないので
そういう自分の心の動きが新鮮で心地よかった

また青樹さんの奥様はお茶の味がとても良く
何杯も何杯もお変わりする私を目を細めて美味しいお菓子を勧めてくださる
興奮しているから喉も渇く

無地の反物縞や格子覚えたばかりの
「これ大名縞ですね、こちらは棒縞だあらよろけ縞」
など信濃路の紬で覚えた縞柄や格子名を高らかに言い当てて悦に入る私
シッタカブッタかの極みだけど
試験で満点とったときのように「そうだよ」と言われると有頂天になる

そのうち別の引き出しを開けると模様のある反物が出てきた
「型染めと言うんですよ」
「ほーカタゾメ」
(初めて聞いたぞ何じゃあ)
「見せてあげよう」
と仕事場の方にいざなってくれる

「この祇にナイフで模様を彫っていくんですよ、これは銀杏の葉っぱね」
「はー」
「これを反物の上においてのりの付いた刷毛でこうしてはくとね、ほら穴が空いたところに糊が落ちるでしょう」
その糊が乾いたら上から地色になる色を刷毛でハイていく
「なになになに」
「やってみると理解できるよ」 (つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする