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憲法学課題:表現の自由と青少年の保護健全育成 合憲限定解釈(明確性の基準)の論点も含め

2012-06-29 09:49:31 | シチズンシップ教育

 憲法の中で、私の好きな条文は、23条。「第二十三条  学問の自由は、これを保障する。」

 これとともに、もっとも守るべき、そして、国に守らせるべき条文のひとつは、憲法21条に謳う表現の自由。

 表現の自由が機能しなければ、民主主義の社会はまったく機能しなくなるおそれが出てきます。

*****憲法*****
第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
************

 表現の自由を題材にした憲法学の課題が出されました。

 
 今回課題の表現は、政治的言論ではございませんが、表現の自由は最大限尊重していかねばならないものです。

 課題の中のもうひとつのポイントは、行政法規の条文の明確性、こちらも大いに注視していかねばなりません。
 その関連は、藤田裁判官の反対意見を以前掲載いたしました。http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/af4ef6f3f719fa0c4895e7be742de0cf 



 明日6/30がその検討の授業。


 一緒に、考えてみてください。



*************課題******************

次の問題文を読んで問に答えなさい。

 A社は、世界的に有名な作家である、村上春樹氏(以下「本件原作者」という。)の著作を漫画化して、その小説の面白さを高校生以上の青少年に理解させ、ひいては文学への興味を喚起する、という企画を立てた。第一弾として、ベストセラーとなった、「ノルウェーの森」(以下「本件原作」という。)を本件原作者の了解を取った上で、全8巻で漫画化した(以下、本件原作を漫画化した全8巻を「本件漫画」という)。もちろん、本件漫画は、読者層としては18歳以上が多いことから、それらの読者にも、十分に楽しんで読めるような内容とレベルに設定して、作成した。

 B県の青少年保護育成条例(以下「本件条例」という。)において、知事は、図書の内容が、著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めるときは、当該図書を有害図書として指定するものとされ(十一条一項)、右の指定をしようとするときには、緊急を要する場合を除き、県青少年保護育成審議会の意見を聴かなければならないとされている(四十四条)。A社が本件漫画を出版したところ、B県知事は、本件条例所定の手続を経た上で、本件漫画のうち、第3巻と第8巻(以下、「本件指定巻」という。)を有害図書類に指定(以下「本件指定処分」という)し、これを公示した上で、B社に通知した。これによって、B社は、本件漫画の18歳未満に対する販売が制限されてしまった。通知書に附記された理由によれば、本件指定巻に、本件条例の第十条1項一号に該当する性行為の記述があるという。また、当該通知書では、該当する頁が具体的に指摘されていた。

 以下は、本件指定処分後の、A社の本件漫画の担当者と漫画家とのやり取りである。

担当者「困りましたね。大都市を抱えるB県で有害図書類に指定されるとすると、日本中に波及する可能性がありますね。長野県以外は、この種の条例を全て制定していますから。」

漫画家「本件指定巻の性交シーンは、ヤングアダルト系(18歳以上向け)の漫画雑誌の感覚から言うと、特別、激しいものではないですよね。」

担当者「そうですよ。この程度は、弊社のヤングアダルト系の漫画雑誌では普通に描かれていますし、それがわいせつ文書に当たるとして、警察当局から呼び出されたこともありません。いまどきの、高校生なら、特別に問題とするレベルじゃないと思いますよ。」

漫画家「本件原作者は、最近出版されたインタビュー集の中で、性行為(sex)というのは、人間の魂の交流・コミュニケーションであって、重要なものである、と言っているのですから、本件指定巻は重要な部分なのですよ。」

担当者「その通りです。しかも、本件指定巻を除いた部分だけ、高校生に読ませても意味がないし、高校生に村上文学に触れてもらいたいという、弊社の出版意図は、台無しになってしまいます。そこで、現在、顧問弁護士と、法的論点を検討して、指定処分の取消しを求めるかどうかを、弊社では検討しています。」

・・・・・・・・・・・・・

 結局、A社は、本件指定処分の取消しを求める、行政訴訟を提起した。

問1 上記の通り、A社は、本件指定処分の取消し訴訟を提起することになった。あなたが、A社の代理人の弁護士であるとすれば、どのような憲法上の主張(本件指定処分が憲法に違反する旨の主張)を行うかを、述べなさい。

問2 原告(A社)の主張に対するB県の反論を想定しつつ、本問の憲法上の論点に係る自己の見解を述べなさい。
 なお、A社に対する通知書の理由附記の合憲性については、論じる必要がない。


資料)

B県青少年保護育成条例

第一条 (目的)この条例は、青少年の健全な育成に関し、基本理念及び県等の責務を明らかにし、並びに県が実施する施策の基本となる事項を定めるとともに、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止することにより、青少年の健全な育成を図ることを目的とする。

第二条 (定義)この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 青少年 十八歳未満の者(法律によつて成年に達したものとみなされる者を除く。)をいう。
二 保護者 親権を行う者、後見人その他の者で青少年を現に監護する者をいう。
三 興行 映画、演劇、演芸及び見せ物をいう。
四 図書類 書籍、雑誌、絵画、写真及び映写用フィルム、録音盤、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク光磁気ディスクその他の映像又は音声が記録された物をいう。

第三条(基本理念) 青少年の健全な育成は、青少年が、社会の一員としての使命及び役割を自覚し、夢や目標を持つて心身ともに健やかに成長するよう、家庭、学校、地域社会等の構成員の役割及び責任についての自覚とこれに基づく連携の下に行われなければならない。

第四条 (県の責務)県は、前条の基本理念にのつとり、青少年の健全な育成に関する施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
2 県は、市町村が行う青少年の健全な育成に関する施策を支援するとともに、この条例の施行に関し市町村と密接な連携を図るものとする。
3 県は、青少年の健全な育成に関する調査、研究及び情報の収集に努めるとともに、県民及び関係機関に対して必要な情報を提供しなければならない。

第六条 (事業者の責務)事業者は、事業活動を行うに当たつては、その社会的責任を自覚し、青少年の健全な育成に配慮するよう努めなければならない。

第九条(業者の自主規制) 興行を主催し、図書類を取り扱う者その他この章の規定の適用を受ける業者は、県の行う青少年の健全な育成に関する施策に協力するとともに、相互に協力して自主的な規制措置を講じることにより、青少年の健全な育成を阻害することのないように努めなければならない。

第十条 (有害興行の指定等)知事は、興行の内容が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該興行を有害興行として指定するものとする。
一 著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
二 著しく残忍性を助長し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
三 著しく犯罪又は自殺を誘発し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
2 知事は、有害興行を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示するとともに同種の興行を行う興行場を経営する者及び当該興行を主催する者(以下「興行者」と総称する。)に通知しなければならない。ただし、通知することができない場合又は困難な場合は、この限りでない。

第十一条 (有害図書類等の指定等)知事は、図書類又はがん具その他これに類する物(以下「がん具等」という。)の内容、形状、構造、機能等が前条第一項各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該図書類又はがん具等を有害図書類又は有害がん具等(以下「有害図書類等」という。)として指定するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げるものは、有害図書類等とする。
一 書籍又は雑誌で、特に卑わいな姿態若しくは性行為を被写体とした写真又はこれらを描写した絵が、規則で定めるところにより知事が指定した内容のものと認められる刊行物のうち、当該写真又は絵を掲載する紙面(表紙を含む。)が五ぺージ以上又は編集紙面の五分の一以上を占めるもの
二 以下略
3 知事は、第一項の規定により有害図書類等を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示するとともに図書類等を販売し、貸し付け、閲覧させ、又は視聴させることを業とする者(以下「図書類等取扱業者」という。)に通知しなければならない。ただし、通知することができない場合又は困難な場合は、この限りでない。
4 知事は、第二項の規定により写真若しくは絵又は描写の場面(以下「写真等」という。)の内容を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示しなければならない。

第十二条 (有害指定図書類等の供覧の禁止等)何人も、前条第一項の規定により指定を受けた有害図書類等及び同条第二項の規定により指定を受けた内容を有する有害図書類等(以下「有害指定図書類等」と総称する。)を、青少年に見せ、聞かせ、読ませ、又は使用させてはならない。
2 図書類等取扱業者は、有害指定図書類等を青少年(当該営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。第十七条及び第二十条から第二十二条までにおいて同じ。)に販売し、配付し、貸し付け、閲覧させ、又は視聴させてはならない。

第十三条 (有害指定図書類等の陳列方法等)図書類等取扱業者は、有害指定図書類等を陳列するときは、当該有害指定図書類等を他の図書類等と区分し、営業所の屋内の容易に監視することのできる場所に置き、及び規則で定めるところにより青少年の目にふれないような方法をとらなければならない。
2 知事は、前項の規定に違反している者に対し、期限を定めて、その状態を除去するために必要な限度において、有害指定図書類等の陳列の場所を変更し、又はその陳列の方法を改善すべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、期限を定めて、その勧告に従うべきことを命ずることができる

第四十四条 (諮問等)知事は、次の各号のいずれかに該当する場合は、県青少年育成審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
一 第八条の規定により優良興行又は優良図書類を推奨しようとするとき。
二 第十条の規定により有害興行を指定し、又はこれを取り消そうとするとき。
三 第十一条の規定により有害図書類等又は写真等の内容を指定しようとするとき。
四 以下略
2 知事は、前項ただし書の規定により同項各号に規定する推奨、指定若しくは指定の取消し又は命令をしたときは、速やかにその旨を県青少年育成審議会に報告しなければならない。

第五十二条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第十条第三項の規定に違反して青少年に有害興行を観覧させた者
二 第十三条第三項の規定による命令に従わなかつた者
三 以下略

以上

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