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メモ:債権譲渡の場面、民法468条1項は、債務者にとって要注意。不注意な「(無留保)承諾」は命取り。

2012-02-29 13:30:51 | シチズンシップ教育
 世の中は、ひとは皆、法律を知っていることを前提にして、回っています。

 しかし、現実はその逆で、ひとが法律を知り学ぶ機会はなかなかないし、結果的に、法律を知らずに、幸運にして、たまたま落とし穴に落ちることなく、生き延びているところがあります。

 予防接種の知識、夜間病院救急受診のタイミングと同じように、法律の知識にも、少なくとも基本的に知っておくべき基礎知識とそれを教授出来る場の必要性を感じています。

 基礎知識の話題からすると、少し入り込んでいるかもしれませんが、たまたま本日であった法律、民法468条1項も「取扱い要注意」の法律に感じました。


*********民法*************

第468条 (指名債権の譲渡における債務者の抗弁)

 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。

2 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。


***********************

 原則が、2項に来て、その例外が1項に書かれるという順序逆の珍しい条文です。

 2項原則で、債権譲渡において、債権が、譲渡人から譲受人に譲渡されたとします。債務者は、譲渡人に主張していたことを、その債権を譲渡された譲渡人にも主張できると書かれています。

 ただし、1項で、その例外として、もし、債務者が「異議をとどめない承諾(=無留保承諾)」をしてしまった場合、譲渡人に主張してきたことが、譲受人に主張できなくなってしまいます。
 なお、債務者には、そのような「承諾」をする義務はもともと一切ありません。

 この1項が、私たちに取って曲者(くせもの)です。

 例えば、1000万円の債権を譲渡人に半分返済し、500万円になっていたとしても、譲渡人が、そのような経緯を何もしらない譲受人に額面そのままの1000万円で売買などして譲り渡していて、そのこと(債権譲渡)に、異議を言わずに債務者が「うん」と言ってしまった場合、債務者は、譲受人に、債権の額面通り1000万円支払わなければならなくなってしまいます。
 「一部を返済して残りは、500万円になった債権である。」ことの主張が、債務者は、譲受人に対してはできなくなってしまうのです。

 異議を言わずに承諾をしてしまったところに、債務者の落ち度があるのですが、文面を読まずに判子を押してしまうことは、ありうる話です。
 そしてそれをしてしまうと、民法468条1項前段で、縛られてしまい取り返しのつかぬ事になります。

 民法468条1項後段で、債務者は、譲受人ではなく、譲渡人との間で、返還なりをしていくことを書いていますが、返済されて額面残り500万円になっているはずの債権を額面1000万円のまま売買などで譲り渡してしまうような悪さをする譲渡人は、無資力のことも多く、取り戻すことができないことも多くあるはずです。
 債務者は、泣き寝入りをするしかないということになりかねません。

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