麻生氏は、ご自身のご発言を撤回されたとのことです。
その理由は、周りが誤解したから。
本来、誤解があるのであれば、まずは、自分の言を信じ、その誤解を解く努力をすべきではないでしょうか。
例えば、今回の場合、「最も民主的と言われたワイマール憲法下でヒトラー政権が誕生した事実」があるというのであれば、では、具体的にどのような憲法であれば、ナチス台頭を防ぐことができるのかを述べるべきでしょう。
現行日本国憲法と自民党憲法改正案、どちらがナチス台頭の二の舞や、それに類似した不幸を日本に生まなくさせることに有効に機能するというのか、「落ち着いて議論する」などという抽象論で済ますのではなく、具体的な考えを述べていただきたかった。
麻生氏は、「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。」とご発言された。
「なんら議論ないまま」、今取沙汰されている自民党改憲案では、現行憲法の重要文言が置き換えられています。
麻生氏をはじめ政権を担う人たちは、「だれも気づかないで変わった。」その手口を、今回の憲法改正論議において、使おうとしていませんか?
憲法の重要文言の置き換えの例
(現行憲法) (自民党改憲案)
象徴天皇 ⇒ 元首天皇
公共の福祉 ⇒ 公益及び公の秩序
改正発議要件
3分の2 ⇒ 過半数
拷問
絶対にこれを禁ずる⇒ 禁止する
などなど。
私は、警告します。
国民にとってみれば、上記の置き換えを、憲法改憲がなされた後に気づいたとしたならば、致命的な打撃を受けることになると思います。
「最も民主的と言われたワイマール憲法下でヒトラー政権が誕生した事実」から、何を学んだのだと、後世のひとはいうことになるでしょう。
****時事ドットコム(2013/08/01)******
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2013080100794
麻生氏のコメント全文
麻生太郎副総理兼財務相が1日発表したコメント全文は次の通り。
7月29日の国家基本問題研究所月例研究会における私のナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾である。
私は、憲法改正については、落ち着いて議論することが極めて重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、同研究会においては、喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解および議論のないまま進んでしまったあしき例として、ナチス政権下のワイマール憲法にかかる経緯を挙げたところである。私がナチスおよびワイマール憲法にかかる経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである。ただし、この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示として挙げたことは撤回したい。(2013/08/01-18:04)
************************
問題となった発言詳細
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/dd04f13ae263edaff5dd8e771bc0e471
*****朝日新聞(2013/08/01)******
http://www.asahi.com/politics/update/0801/TKY201307310772.html
麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細
麻生太郎副総理が29日、東京都内でのシンポジウムでナチス政権を引き合いにした発言は次の通り。
僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。
そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。ここはよくよく頭に入れておかないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく。
私どもは、周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっていると認識していますから、それなりに予算で対応しておりますし、事実、若い人の意識は、今回の世論調査でも、20代、30代の方が、極めて前向き。一番足りないのは50代、60代。ここに一番多いけど。ここが一番問題なんです。私らから言ったら。なんとなくいい思いをした世代。バブルの時代でいい思いをした世代が、ところが、今の20代、30代は、バブルでいい思いなんて一つもしていないですから。記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況ですよ。
この人たちの方が、よほどしゃべっていて現実的。50代、60代、一番頼りないと思う。しゃべっていて。おれたちの世代になると、戦前、戦後の不況を知っているから、結構しゃべる。しかし、そうじゃない。
しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。
そのときに喧々諤々(けんけんがくがく)、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。
ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。
靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。
何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。
僕は4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからと、靖国神社に連れて行かれた。それが、初めて靖国神社に参拝した記憶です。それから今日まで、毎年1回、必ず行っていますが、わーわー騒ぎになったのは、いつからですか。
昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。
わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。
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- 福祉ではなく秩序かよ (神田 進)
- 2013-08-02 08:51:34
- 「福祉」を「秩序」に変えようとしているのですね。めちゃめちゃ後退じゃないですか。秩序は自由とは拮抗する概念です。誰のための秩序なのか?あとでいくらでも理由づけできます。戦争における大義と同じく、後の勝者のみが正しいと後付で解釈させることが可能です。危険な思想です。一方国民も自由の本当の意味を知るべきです。自由の真の意味は、自発的抑制、です。なんでもできるのが自由ではありません。自発的に抑制することこそが自由の真の意味です。真の自由は守られなければなりません。
- 返信する
- 福祉ではなく秩序かよ (神田 進)
- 2013-08-02 08:51:38
- 「福祉」を「秩序」に変えようとしているのですね。めちゃめちゃ後退じゃないですか。秩序は自由とは拮抗する概念です。誰のための秩序なのか?あとでいくらでも理由づけできます。戦争における大義と同じく、後の勝者のみが正しいと後付で解釈させることが可能です。危険な思想です。一方国民も自由の本当の意味を知るべきです。自由の真の意味は、自発的抑制、です。なんでもできるのが自由ではありません。自発的に抑制することこそが自由の真の意味です。真の自由は守られなければなりません。
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