私も、10/27の食品安全委員会を傍聴致しましたが、「生涯およそ100mSv」食品安全委員会が言わんとすることを理解することがたいへん難しかったです。
食品安全委員会答申内容:http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka.html
まずは、各紙の分析を見ておきます。
産経新聞主張の最後の部分の考え方「具体的な基準値の設定に取りかかる厚労省には、その意識を強く持ってもらいたい。当面は現行の暫定値を用い、除染が一段落してから新基準値の適用に移行するのも混乱防止の一策ではないか」というところは、私は、異なります。
「当面は現行の暫定値を使う」のではなく、まずは世界基準の低い値へ戻すべきであると考えます。
バトンは、厚生労働省に移されました。
マスコミの皆様、以下の厚労省審議会のフォローをどうか宜しく御願い申し上げます。
******厚労省ホームページ********
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rthv.html
平成23年10月31日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会及び薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・放射性物質対策部会合同会議の開催
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会及び薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・放射性物質対策部会合同会議を下記のとおり開催します。
記
1.日時
平成23年10月31日(月) 10:00~12:00
2.場所
全日通霞ヶ関ビルディング 8F 大会議室
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-3
(別紙会場地図をご参照下さい)
3.議題
1 議題
(1)食品中の放射性物質に係る食品健康影響評価結果と今後の検討課題について
(2)BSE対策の再評価について
2 報告事項
※)議題(1)については薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・放射性物質対策部会合同会議、議題(2)については薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会として開催します。
4.公開に関する具体的な取扱
傍聴を希望される方は下記の要領に沿って必要な手続等を行ってください。
(1)傍聴要領
ア [1]氏名(ふりがなをふってください)、[2]所属組織(団体・会 社名等)、[3]住所、[4]電話番号・ファクシミリ番号(またはメールアドレス)を記入の上、
ファクシミリ(または電子メール)にて、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課にお申し込みください(お電話によるお申込みは御遠慮ください)。
題名には「10月31日開催薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 傍聴希望」とお書きください。
〈宛先〉 厚生労働省医薬食品局
食品安全部企画情報課総務係宛
FAX 03-3503-7965
E-MAIL shokuhinB1031@mhlw.go.jp
イ お申込締切日は、平成23年10月26日(水)15:00です。
ウ 希望者多数の場合は、抽選によることとします。傍聴の可否につきましては、傍聴できる方にのみファクシミリ(または電子メール)により御連絡
いたします。予めご了承ください。
エ 傍聴を希望される報道関係者は、座席確保等の関係上10月26日(水)15:00までにファクシミリまたは電子メール(報道関係者である旨明記し
てください。)により上記アの宛先までお申し込み願います。
オ 報道関係者によるカメラ撮りは、会議冒頭のみとさせていただきます。
(2)傍聴される皆様へのお願い
傍聴に当たり、以下の事項をお願い申し上げます。これらについてお守りいただけない場合には、傍聴をお断りすることがあります。
ア 事務局の指定した場所以外の場所には立ち入らないでください。
イ 携帯電話の電源は必ずお切りください。
ウ 傍聴中は静粛を旨とし、以下のような行為はお慎みください。
・ 委員等の発言に対する賛否の表明、拍手等
・ 傍聴中の入退席(ただし、やむを得ない場合は除きます。)
・ カメラ、ビデオカメラ等による撮影、テープレコーダー等の使用(ただし、分科会長が特に認めた場合は除きます。)
エ その他、分科会長及び事務局職員の指示に従ってください。
***********************
*****産経新聞(2011/10/28)******
【主張】
食と放射能 極端な安心希求は問題だ
2011.10.28 03:07
放射能と食の安全に対する国の取り組みの第一歩が動き出した。内閣府の食品安全委員会が27日、厚生労働大臣に行った答申である。
要約すれば「人体に悪影響が表れるのは、生涯におおよそ100ミリシーベルト以上の放射線を被曝(ひばく)した場合」という内容だ。
この答申に基づいて厚労省は、飲料水や野菜類、肉・卵・魚類といった食品に含まれるセシウムなどの摂取制限の基準値を決める作業に着手する。
目安は現在も存在しているが、福島第1原子力発電所の事故を受けて急遽(きゅうきょ)、設定した暫定的な基準値だ。これを正式の基準に改めるための諮問を受けた食品安全委員会が世界中の研究論文を精査して到達した結果が、「生涯100ミリシーベルト」という数値なのだ。
だが、あまりにも漠としている。これだけを出発点として国民の納得がいく新基準値の設定は可能だろうか。大いに疑問だ。
そもそも100ミリシーベルトは、広島・長崎に投下された原爆による集中的な被曝による線量だ。一気に浴びるのと、少しずつ浴びるのでは当然、影響は異なるはずだ。
インドには、大地からの自然放射線で生涯の被曝線量が500ミリシーベルトに達する地域もあるが、住民の健康に影響はみられない。
その一方で、ごく低い線量の放射線でも健康に影響があるとする根強い考えが存在する。
要するに、理にかなった結論を導くに足る科学的データが不足していることによる不確実性なのだ。不幸な戦争や事故時にしか有効なデータが得られない以上、やむを得ないことである。
食品安全委員会が答申を出すにあたっては、国民の混乱につながりかねない不手際もみられたが、その一因は、信頼のおける研究事例の世界規模での少なさだ。
不明な要素が多い場合は、安全側に立って判断するのが常道だ。しかし、極端な安心希求は、かえってデメリットを多くする。消費者は神経をすり減らし、生産者は流通の不振に苦しめられることなどが、その一例であろう。
具体的な基準値の設定に取りかかる厚労省には、その意識を強く持ってもらいたい。当面は現行の暫定値を用い、除染が一段落してから新基準値の適用に移行するのも混乱防止の一策ではないか。
国民への説明技術に磨きをかける一層の努力も必要だ。
********************
*****毎日新聞(2011/10/27)******
http://mainichi.jp/select/today/news/20111028k0000m040073000c.html
食品安全委:生涯被ばく「100ミリシーベルトで影響」
2011年10月27日 21時35分
放射性物質の食品健康影響を評価していた内閣府の食品安全委員会は27日、健康に影響を及ぼす被ばく線量について、食品からの被ばくで「生涯累積でおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価書をまとめ、小宮山洋子厚生労働相に答申した。当初は「100ミリシーベルト」を外部、内部被ばくの合計線量としていたが、「説明不足だった」と食品摂取による内部被ばくに限定した。厚労省は答申を受け、現行の暫定規制値の見直しに入り、規制値を引き下げて厳しくする見通し。
食品安全委は4月以降、広島や長崎の被爆者のがん発生率データなど約3000の文献を検討。7月に「生涯100ミリシーベルト」の評価案を公表し、広く意見を求めた。3089通の意見が寄せられ、「規制値が厳しくなるので良い」「厳しすぎて農産物の生産に影響が出る」など賛否が分かれたが、「修正を必要とする意見は確認できなかった」とした。
外部被ばくを考慮しないことについて、会見した小泉直子委員長は「著しく外部被ばくが増大しないことを前提にした」としながらも、「外部被ばくが非常に高いケースには適用できない。外部被ばくは、しかるべき機関が策を講ずる問題だ」とした。100ミリシーベルト未満の健康影響については「言及することは困難」とした。
また小児に関して、甲状腺がんなどのデータから「感受性が成人より高い可能性がある」とし、配慮が必要であるとの考えを示した。
「生涯100ミリシーベルト」は一生を80年として単純計算すると年1.25ミリシーベルトとなり、現行の暫定規制値の根拠である被ばく限度(放射性セシウムで年5ミリシーベルト)を大幅に下回る。すでに小宮山厚労相は21日、新たな規制値は「厳しくなると思う」との見通しを示している。【小島正美】
***************
*****日経新聞(2011・10/27)*******
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E1E18DE0E5E3E2E0E2E3E39180EAE2E2E2
内部被曝「生涯100ミリシーベルト」が目安 食品安全委が答申
2011/10/27 20:57
内閣府の食品安全委員会は27日、食品に含まれる放射性物質が健康に影響を与える目安を「生涯の累積線量がおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価書をまとめた。自然放射線(年1.5ミリシーベルト)や医療被曝(ひばく)など一般生活で受ける放射線を除いた内部被曝分として同日付で厚生労働省に答申した。同省は3月に策定した暫定規制値を厳しくする方向で検討する。
食品の出荷制限の基準となる現行の暫定規制値は放射性セシウムは年5ミリシーベルト以内としているが、生涯の累積線量を100ミリシーベルト未満にするためには単純計算で年1ミリシーベルト程度になる。小宮山洋子厚生労働相は「さらに安全性を確保する必要があり、(暫定規制値を)厳しくする」との方針を示しており、同省は31日に薬事・食品衛生審議会を開き、見直し作業を開始する。
安全委の作業部会は評価書案をまとめた時点で「生涯累積100ミリシーベルト以上」については食品の摂取による内部被曝分と、大気などからの外部被曝を合わせた線量と説明していた。しかし、27日に「外部被曝を含んだデータで検討したが、答申内容は食品による内部被曝の線量に限定している」と修正、「説明不足だった」と謝罪した。
外部被曝分については「人体への影響は外部被曝も内部被曝も同じ」としたうえで、「現在は外部被曝は著しく増大していないが、外部被曝の影響をどのように考えるかは規制値を決める厚労省側が判断すること」として踏み込まなかった。
厚労省が緊急時と判断して、実現可能性などの面から現行の暫定規制値を維持することも想定される。安全委は「適切なリスク管理を行えば、生涯累積が100ミリシーベルトを超える基準を設定しても問題ない」と付け加えた。
7月の評価書案に対しては、意見募集の結果、小児について不安視する声が多かったという。このため答申では「小児の時期は、甲状腺がんや白血病で成人より放射線の影響を受けやすい可能性がある」とし、生涯の累積線量を検討する際、配慮することを求めた。
100ミリシーベルト未満の累積線量の健康への影響については「現時点の科学的知見からは健康影響について言及することは困難」として判断しなかった。
**********************
*****朝日新聞(2011・10/27)******
http://www.asahi.com/food/news/TKY201110270508.html
食品からの被曝「生涯100ミリシーベルト」安全委答申
食品からの被曝(ひばく)による影響を検討していた食品安全委員会は27日、「健康影響が見いだされるのは、生涯の累積でおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価をまとめ、小宮山洋子厚生労働相に答申した。厚生労働省は、緊急対応として使われてきた現在の暫定基準を見直し、新基準案を年明けまでにまとめる見通しだ。
「生涯累積100ミリシーベルト」(原発事故由来ではない自然放射線などを除く)は、新たな正式基準をつくる根拠になる。これまで同委員会は、食品だけでなく環境からの外部被曝も含めて100ミリシーベルトだと解説してきた。
しかし同日の記者会見でこれまでの説明を訂正。外部被曝は所管外だとして、「外部被曝がほとんどなく、汚染された食品からだけ被曝する状態」を前提にして考えた値だと解説。「内部と外部の合計ではない」と述べ、食品による内部被曝だけで100ミリシーベルトという意味だと強調した。しかし福島県など外部の放射線量が高い地域は現実にはある。外部被曝分をどう考えるのかという問題は、厚労省などに判断を委ねる意向を示した。
厚労省は、東京電力福島第一原発事故による放射性物質を含んだ食品を1年間摂取した場合の被曝線量を、全年齢平均で約0.1ミリシーベルトと推計している。このままの状態で0歳児が100歳まで生きたとしても、生涯10ミリシーベルト程度という計算になる。
従来の暫定基準は、食品からの被曝を放射性物質全体で年間17ミリシーベルトを超えないようにするという大枠から、1キロあたりの基準を算定した。放射性セシウムなら野菜や肉類で1キロあたり500ベクレル。この物差しで農水産物の出荷停止措置がとられた。国際放射線防護委員会(ICRP)の換算式によると、成人が1キロあたり500ベクレルのセシウム137を含む食品を200グラム、365日食べ続けると、内部被曝は約0.5ミリシーベルトに相当する。
小宮山厚労相は新基準について「安全性を確保する必要があり、(暫定基準よりも)厳しくなる」との見通しを示す。ただ検討作業は簡単ではない。生涯累積なので年齢によっても差が出る。子どもは大人より放射線の影響を受けやすい可能性がある、と答申は指摘した。厚労省は31日、薬事・食品衛生審議会を開き、食品安全委の答申を報告する。(小林未来)
食品安全委員会答申内容:http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka.html
まずは、各紙の分析を見ておきます。
産経新聞主張の最後の部分の考え方「具体的な基準値の設定に取りかかる厚労省には、その意識を強く持ってもらいたい。当面は現行の暫定値を用い、除染が一段落してから新基準値の適用に移行するのも混乱防止の一策ではないか」というところは、私は、異なります。
「当面は現行の暫定値を使う」のではなく、まずは世界基準の低い値へ戻すべきであると考えます。
バトンは、厚生労働省に移されました。
マスコミの皆様、以下の厚労省審議会のフォローをどうか宜しく御願い申し上げます。
******厚労省ホームページ********
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rthv.html
平成23年10月31日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会及び薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・放射性物質対策部会合同会議の開催
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会及び薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・放射性物質対策部会合同会議を下記のとおり開催します。
記
1.日時
平成23年10月31日(月) 10:00~12:00
2.場所
全日通霞ヶ関ビルディング 8F 大会議室
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-3
(別紙会場地図をご参照下さい)
3.議題
1 議題
(1)食品中の放射性物質に係る食品健康影響評価結果と今後の検討課題について
(2)BSE対策の再評価について
2 報告事項
※)議題(1)については薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・放射性物質対策部会合同会議、議題(2)については薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会として開催します。
4.公開に関する具体的な取扱
傍聴を希望される方は下記の要領に沿って必要な手続等を行ってください。
(1)傍聴要領
ア [1]氏名(ふりがなをふってください)、[2]所属組織(団体・会 社名等)、[3]住所、[4]電話番号・ファクシミリ番号(またはメールアドレス)を記入の上、
ファクシミリ(または電子メール)にて、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課にお申し込みください(お電話によるお申込みは御遠慮ください)。
題名には「10月31日開催薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 傍聴希望」とお書きください。
〈宛先〉 厚生労働省医薬食品局
食品安全部企画情報課総務係宛
FAX 03-3503-7965
E-MAIL shokuhinB1031@mhlw.go.jp
イ お申込締切日は、平成23年10月26日(水)15:00です。
ウ 希望者多数の場合は、抽選によることとします。傍聴の可否につきましては、傍聴できる方にのみファクシミリ(または電子メール)により御連絡
いたします。予めご了承ください。
エ 傍聴を希望される報道関係者は、座席確保等の関係上10月26日(水)15:00までにファクシミリまたは電子メール(報道関係者である旨明記し
てください。)により上記アの宛先までお申し込み願います。
オ 報道関係者によるカメラ撮りは、会議冒頭のみとさせていただきます。
(2)傍聴される皆様へのお願い
傍聴に当たり、以下の事項をお願い申し上げます。これらについてお守りいただけない場合には、傍聴をお断りすることがあります。
ア 事務局の指定した場所以外の場所には立ち入らないでください。
イ 携帯電話の電源は必ずお切りください。
ウ 傍聴中は静粛を旨とし、以下のような行為はお慎みください。
・ 委員等の発言に対する賛否の表明、拍手等
・ 傍聴中の入退席(ただし、やむを得ない場合は除きます。)
・ カメラ、ビデオカメラ等による撮影、テープレコーダー等の使用(ただし、分科会長が特に認めた場合は除きます。)
エ その他、分科会長及び事務局職員の指示に従ってください。
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*****産経新聞(2011/10/28)******
【主張】
食と放射能 極端な安心希求は問題だ
2011.10.28 03:07
放射能と食の安全に対する国の取り組みの第一歩が動き出した。内閣府の食品安全委員会が27日、厚生労働大臣に行った答申である。
要約すれば「人体に悪影響が表れるのは、生涯におおよそ100ミリシーベルト以上の放射線を被曝(ひばく)した場合」という内容だ。
この答申に基づいて厚労省は、飲料水や野菜類、肉・卵・魚類といった食品に含まれるセシウムなどの摂取制限の基準値を決める作業に着手する。
目安は現在も存在しているが、福島第1原子力発電所の事故を受けて急遽(きゅうきょ)、設定した暫定的な基準値だ。これを正式の基準に改めるための諮問を受けた食品安全委員会が世界中の研究論文を精査して到達した結果が、「生涯100ミリシーベルト」という数値なのだ。
だが、あまりにも漠としている。これだけを出発点として国民の納得がいく新基準値の設定は可能だろうか。大いに疑問だ。
そもそも100ミリシーベルトは、広島・長崎に投下された原爆による集中的な被曝による線量だ。一気に浴びるのと、少しずつ浴びるのでは当然、影響は異なるはずだ。
インドには、大地からの自然放射線で生涯の被曝線量が500ミリシーベルトに達する地域もあるが、住民の健康に影響はみられない。
その一方で、ごく低い線量の放射線でも健康に影響があるとする根強い考えが存在する。
要するに、理にかなった結論を導くに足る科学的データが不足していることによる不確実性なのだ。不幸な戦争や事故時にしか有効なデータが得られない以上、やむを得ないことである。
食品安全委員会が答申を出すにあたっては、国民の混乱につながりかねない不手際もみられたが、その一因は、信頼のおける研究事例の世界規模での少なさだ。
不明な要素が多い場合は、安全側に立って判断するのが常道だ。しかし、極端な安心希求は、かえってデメリットを多くする。消費者は神経をすり減らし、生産者は流通の不振に苦しめられることなどが、その一例であろう。
具体的な基準値の設定に取りかかる厚労省には、その意識を強く持ってもらいたい。当面は現行の暫定値を用い、除染が一段落してから新基準値の適用に移行するのも混乱防止の一策ではないか。
国民への説明技術に磨きをかける一層の努力も必要だ。
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*****毎日新聞(2011/10/27)******
http://mainichi.jp/select/today/news/20111028k0000m040073000c.html
食品安全委:生涯被ばく「100ミリシーベルトで影響」
2011年10月27日 21時35分
放射性物質の食品健康影響を評価していた内閣府の食品安全委員会は27日、健康に影響を及ぼす被ばく線量について、食品からの被ばくで「生涯累積でおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価書をまとめ、小宮山洋子厚生労働相に答申した。当初は「100ミリシーベルト」を外部、内部被ばくの合計線量としていたが、「説明不足だった」と食品摂取による内部被ばくに限定した。厚労省は答申を受け、現行の暫定規制値の見直しに入り、規制値を引き下げて厳しくする見通し。
食品安全委は4月以降、広島や長崎の被爆者のがん発生率データなど約3000の文献を検討。7月に「生涯100ミリシーベルト」の評価案を公表し、広く意見を求めた。3089通の意見が寄せられ、「規制値が厳しくなるので良い」「厳しすぎて農産物の生産に影響が出る」など賛否が分かれたが、「修正を必要とする意見は確認できなかった」とした。
外部被ばくを考慮しないことについて、会見した小泉直子委員長は「著しく外部被ばくが増大しないことを前提にした」としながらも、「外部被ばくが非常に高いケースには適用できない。外部被ばくは、しかるべき機関が策を講ずる問題だ」とした。100ミリシーベルト未満の健康影響については「言及することは困難」とした。
また小児に関して、甲状腺がんなどのデータから「感受性が成人より高い可能性がある」とし、配慮が必要であるとの考えを示した。
「生涯100ミリシーベルト」は一生を80年として単純計算すると年1.25ミリシーベルトとなり、現行の暫定規制値の根拠である被ばく限度(放射性セシウムで年5ミリシーベルト)を大幅に下回る。すでに小宮山厚労相は21日、新たな規制値は「厳しくなると思う」との見通しを示している。【小島正美】
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*****日経新聞(2011・10/27)*******
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E1E18DE0E5E3E2E0E2E3E39180EAE2E2E2
内部被曝「生涯100ミリシーベルト」が目安 食品安全委が答申
2011/10/27 20:57
内閣府の食品安全委員会は27日、食品に含まれる放射性物質が健康に影響を与える目安を「生涯の累積線量がおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価書をまとめた。自然放射線(年1.5ミリシーベルト)や医療被曝(ひばく)など一般生活で受ける放射線を除いた内部被曝分として同日付で厚生労働省に答申した。同省は3月に策定した暫定規制値を厳しくする方向で検討する。
食品の出荷制限の基準となる現行の暫定規制値は放射性セシウムは年5ミリシーベルト以内としているが、生涯の累積線量を100ミリシーベルト未満にするためには単純計算で年1ミリシーベルト程度になる。小宮山洋子厚生労働相は「さらに安全性を確保する必要があり、(暫定規制値を)厳しくする」との方針を示しており、同省は31日に薬事・食品衛生審議会を開き、見直し作業を開始する。
安全委の作業部会は評価書案をまとめた時点で「生涯累積100ミリシーベルト以上」については食品の摂取による内部被曝分と、大気などからの外部被曝を合わせた線量と説明していた。しかし、27日に「外部被曝を含んだデータで検討したが、答申内容は食品による内部被曝の線量に限定している」と修正、「説明不足だった」と謝罪した。
外部被曝分については「人体への影響は外部被曝も内部被曝も同じ」としたうえで、「現在は外部被曝は著しく増大していないが、外部被曝の影響をどのように考えるかは規制値を決める厚労省側が判断すること」として踏み込まなかった。
厚労省が緊急時と判断して、実現可能性などの面から現行の暫定規制値を維持することも想定される。安全委は「適切なリスク管理を行えば、生涯累積が100ミリシーベルトを超える基準を設定しても問題ない」と付け加えた。
7月の評価書案に対しては、意見募集の結果、小児について不安視する声が多かったという。このため答申では「小児の時期は、甲状腺がんや白血病で成人より放射線の影響を受けやすい可能性がある」とし、生涯の累積線量を検討する際、配慮することを求めた。
100ミリシーベルト未満の累積線量の健康への影響については「現時点の科学的知見からは健康影響について言及することは困難」として判断しなかった。
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*****朝日新聞(2011・10/27)******
http://www.asahi.com/food/news/TKY201110270508.html
食品からの被曝「生涯100ミリシーベルト」安全委答申
食品からの被曝(ひばく)による影響を検討していた食品安全委員会は27日、「健康影響が見いだされるのは、生涯の累積でおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価をまとめ、小宮山洋子厚生労働相に答申した。厚生労働省は、緊急対応として使われてきた現在の暫定基準を見直し、新基準案を年明けまでにまとめる見通しだ。
「生涯累積100ミリシーベルト」(原発事故由来ではない自然放射線などを除く)は、新たな正式基準をつくる根拠になる。これまで同委員会は、食品だけでなく環境からの外部被曝も含めて100ミリシーベルトだと解説してきた。
しかし同日の記者会見でこれまでの説明を訂正。外部被曝は所管外だとして、「外部被曝がほとんどなく、汚染された食品からだけ被曝する状態」を前提にして考えた値だと解説。「内部と外部の合計ではない」と述べ、食品による内部被曝だけで100ミリシーベルトという意味だと強調した。しかし福島県など外部の放射線量が高い地域は現実にはある。外部被曝分をどう考えるのかという問題は、厚労省などに判断を委ねる意向を示した。
厚労省は、東京電力福島第一原発事故による放射性物質を含んだ食品を1年間摂取した場合の被曝線量を、全年齢平均で約0.1ミリシーベルトと推計している。このままの状態で0歳児が100歳まで生きたとしても、生涯10ミリシーベルト程度という計算になる。
従来の暫定基準は、食品からの被曝を放射性物質全体で年間17ミリシーベルトを超えないようにするという大枠から、1キロあたりの基準を算定した。放射性セシウムなら野菜や肉類で1キロあたり500ベクレル。この物差しで農水産物の出荷停止措置がとられた。国際放射線防護委員会(ICRP)の換算式によると、成人が1キロあたり500ベクレルのセシウム137を含む食品を200グラム、365日食べ続けると、内部被曝は約0.5ミリシーベルトに相当する。
小宮山厚労相は新基準について「安全性を確保する必要があり、(暫定基準よりも)厳しくなる」との見通しを示す。ただ検討作業は簡単ではない。生涯累積なので年齢によっても差が出る。子どもは大人より放射線の影響を受けやすい可能性がある、と答申は指摘した。厚労省は31日、薬事・食品衛生審議会を開き、食品安全委の答申を報告する。(小林未来)
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