フランス政府が、イスラム教徒女性が身に着ける「ブルカ」や「ニカブ」を公共の場
で着用するのを禁止する決定をし、法案を下院に提出する予定です。 議会の構成か
ら、この法案の成立は確実視されています。 イスラム教徒にとっては、反イスラム
の動きとして、強く反発しています。
イスラム教の文化や価値観などは、異教徒にとってはなかなか理解しづらいものがあり
ます。 下記の所謂「4人妻」もその一つでしょう。
<こころの友 インドネシアー8>
「イスラム教徒は4人の妻を持てる?」(イスラム教徒の習慣 ②)
イスラム教の様々な規律になかで、最も好奇の目で見られているのが、妻を4人持てる
ということです。確かに、イスラム教徒の中には現実に妻が4名いる人がいます。
聖コーランには次の記述があります。
「あなた方がもし孤児に対し、公平にしてやれるならば、あなた方がよいと思う
2人、3人または4人の女を娶れ。 だが公平してやれそうにもないならば、只1人
だけ(娶るか)、またはあなた方の右手が所有する者(奴隷の女)で我慢しておきな
さい。このことは、不公正をさけるため、もっとも公正である」(第4章 第3節)
預言者ムハンマドの時代は、度重なる戦のために男性の戦死が多く、寡婦や孤児が増え
たこともあり、孤児の救済策として、公平に扱うことを条件に複数の寡婦を妻とする
ことを認めたと解説されています。もっとも、預言者であるムハンマド自身については
4名以上の妻を認められており、(第33章 第50節)、孤児を抱えた多くの寡婦と結婚
しています。
妻の数については、コーランの定めをいかに解釈するかによって対応に大きな違いが出
てきます。
モロッコやイランなどでは、女性から平等に扱われていないという訴えをすることを認
めることにより、事実上一夫多妻を規制する試みが見られており、さらにチュニジアの
ように、大勢の妻を公平に扱うことは扱いできることではないとして、憲法で一夫多妻
を禁止しているところもあります。
さて、最近、日本人女性が外国、特に中東やアフリカの富豪の第2夫人になっている例
がテレビでで報道されました。人もうらやむ裕福な生活が紹介されています。このよう
な生活にあこがれる女性がいることも事実でしょう。
また、日本に来ている中東系の男性が増えてきていますが、交際している日本人女性が
結婚を申し込まれる事例が多くなってきているようで、女性からの相談が増えていると
のことです。 彼らは、本国に妻子がある場合がほとんどといわれています。すなわち
彼にとっては、第2夫人の意味を持ちますし、中には本国の法律に基づくものではなく、
単に日本での結婚(事実婚)を申し込んでいるものなのです。 それでも2番目の夫人
として結婚する女性がいるというのが不思議でなりません。
インドネシア・スカルノ初代大統領の第3夫人となったデヴィさんは有名ですが、彼女は
実質的なトップレディとして国賓に会ったり、大統領とともに公式に外国訪問してお
り、単なる3番目の夫人とみなすのは正確ではありません。
メガワティ大統領時代に副大統領であったハムザハス氏は4名の妻がいます。 巷では、
「4人の妻をコントロールできる大した男」との評価があったと言われていました。
この話を日本で女性にすると、「男性の勝手な理屈ですね」と言って蔑んだような目で
見られました。 この話は日本では禁句と思いその後はしていません。
既婚者がさらに妻を迎える場合、皆に平等に接しなければならず、第1夫人のほか他の
妻(第2夫人・第3夫人)の承諾を得ることが必要で、勿論経済的な負担もありますの
で、一般的には複数の妻を持つことは困難とみなされていますが、インドネシアでは、
裕福な人の場合、複数の妻がいることが珍しくないように思われました。 経済力のあ
る夫の前には、一般的には妻は無力で同意は形だけという冷然とした現実があります
し、インドネシア社会では複数妻には必ずしも否定的ではないこと、また女性の方にも
複数妻を必ずしも拒絶していないことがあるように思われます。これには、教育の問題
があるかも知れませんが。
スハルト大統領時代には、公務員は複数の妻は禁止されていました。大統領夫人
ティンの強い要望といわれています。 したがって、公務員は建前上は一夫一婦ですが、
ほんとうのところは分かりません。
イスラム教徒に4人妻のことを質問したことがあります。そのときに返ってきた返事は、
「日本では法律上は妻は1人だが、法律的にみとめられていない愛人がいるではないか。
しかし、イスラムではきちんと4名認めている。こそこそしていない。この方がよいの
ではないか。」
4人妻を始め、我々と異なっている文化・習慣に接した場合、ついつい自分の価値観で
判断しがちですが、長い歴史を持つ異文化・習慣の底辺にあるものを理解していないと、
紛争の元になります。 我々日本人は西欧的なキリスト教に基づく価値観に染まって
いますので、キリスト教と異なる価値観を有するイスラム教や多くのアジアの土着の
風習を安易に蔑むことのないように心していきたいものです。
(2007年メモ)
*聖コーラン:聖典はアラビア語しか認められていません。 各国での翻訳版は
あくまでも参考。 日本では、イスラミックセンター・ジャパン
などで日本語版を作成しています。
<2010年5月28日 ☆ きらきら星 ☆>
で着用するのを禁止する決定をし、法案を下院に提出する予定です。 議会の構成か
ら、この法案の成立は確実視されています。 イスラム教徒にとっては、反イスラム
の動きとして、強く反発しています。
イスラム教の文化や価値観などは、異教徒にとってはなかなか理解しづらいものがあり
ます。 下記の所謂「4人妻」もその一つでしょう。
<こころの友 インドネシアー8>
「イスラム教徒は4人の妻を持てる?」(イスラム教徒の習慣 ②)
イスラム教の様々な規律になかで、最も好奇の目で見られているのが、妻を4人持てる
ということです。確かに、イスラム教徒の中には現実に妻が4名いる人がいます。
聖コーランには次の記述があります。
「あなた方がもし孤児に対し、公平にしてやれるならば、あなた方がよいと思う
2人、3人または4人の女を娶れ。 だが公平してやれそうにもないならば、只1人
だけ(娶るか)、またはあなた方の右手が所有する者(奴隷の女)で我慢しておきな
さい。このことは、不公正をさけるため、もっとも公正である」(第4章 第3節)
預言者ムハンマドの時代は、度重なる戦のために男性の戦死が多く、寡婦や孤児が増え
たこともあり、孤児の救済策として、公平に扱うことを条件に複数の寡婦を妻とする
ことを認めたと解説されています。もっとも、預言者であるムハンマド自身については
4名以上の妻を認められており、(第33章 第50節)、孤児を抱えた多くの寡婦と結婚
しています。
妻の数については、コーランの定めをいかに解釈するかによって対応に大きな違いが出
てきます。
モロッコやイランなどでは、女性から平等に扱われていないという訴えをすることを認
めることにより、事実上一夫多妻を規制する試みが見られており、さらにチュニジアの
ように、大勢の妻を公平に扱うことは扱いできることではないとして、憲法で一夫多妻
を禁止しているところもあります。
さて、最近、日本人女性が外国、特に中東やアフリカの富豪の第2夫人になっている例
がテレビでで報道されました。人もうらやむ裕福な生活が紹介されています。このよう
な生活にあこがれる女性がいることも事実でしょう。
また、日本に来ている中東系の男性が増えてきていますが、交際している日本人女性が
結婚を申し込まれる事例が多くなってきているようで、女性からの相談が増えていると
のことです。 彼らは、本国に妻子がある場合がほとんどといわれています。すなわち
彼にとっては、第2夫人の意味を持ちますし、中には本国の法律に基づくものではなく、
単に日本での結婚(事実婚)を申し込んでいるものなのです。 それでも2番目の夫人
として結婚する女性がいるというのが不思議でなりません。
インドネシア・スカルノ初代大統領の第3夫人となったデヴィさんは有名ですが、彼女は
実質的なトップレディとして国賓に会ったり、大統領とともに公式に外国訪問してお
り、単なる3番目の夫人とみなすのは正確ではありません。
メガワティ大統領時代に副大統領であったハムザハス氏は4名の妻がいます。 巷では、
「4人の妻をコントロールできる大した男」との評価があったと言われていました。
この話を日本で女性にすると、「男性の勝手な理屈ですね」と言って蔑んだような目で
見られました。 この話は日本では禁句と思いその後はしていません。
既婚者がさらに妻を迎える場合、皆に平等に接しなければならず、第1夫人のほか他の
妻(第2夫人・第3夫人)の承諾を得ることが必要で、勿論経済的な負担もありますの
で、一般的には複数の妻を持つことは困難とみなされていますが、インドネシアでは、
裕福な人の場合、複数の妻がいることが珍しくないように思われました。 経済力のあ
る夫の前には、一般的には妻は無力で同意は形だけという冷然とした現実があります
し、インドネシア社会では複数妻には必ずしも否定的ではないこと、また女性の方にも
複数妻を必ずしも拒絶していないことがあるように思われます。これには、教育の問題
があるかも知れませんが。
スハルト大統領時代には、公務員は複数の妻は禁止されていました。大統領夫人
ティンの強い要望といわれています。 したがって、公務員は建前上は一夫一婦ですが、
ほんとうのところは分かりません。
イスラム教徒に4人妻のことを質問したことがあります。そのときに返ってきた返事は、
「日本では法律上は妻は1人だが、法律的にみとめられていない愛人がいるではないか。
しかし、イスラムではきちんと4名認めている。こそこそしていない。この方がよいの
ではないか。」
4人妻を始め、我々と異なっている文化・習慣に接した場合、ついつい自分の価値観で
判断しがちですが、長い歴史を持つ異文化・習慣の底辺にあるものを理解していないと、
紛争の元になります。 我々日本人は西欧的なキリスト教に基づく価値観に染まって
いますので、キリスト教と異なる価値観を有するイスラム教や多くのアジアの土着の
風習を安易に蔑むことのないように心していきたいものです。
(2007年メモ)
*聖コーラン:聖典はアラビア語しか認められていません。 各国での翻訳版は
あくまでも参考。 日本では、イスラミックセンター・ジャパン
などで日本語版を作成しています。
<2010年5月28日 ☆ きらきら星 ☆>