花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

外国人看護師・介護師問題について

2010年04月14日 17時12分48秒 | ちょっと気になること
外国人看護師・介護師について


さる3月26日に、「外国人(インドネシア人2名とフィリピン人1名)が日本の看護師国家試

験に合格した。 看護師国家試験の合格者は47.340人、合格率は89.5%で、外国人受験者

は、254名だった」との報道がなされました。

私は過去に6年間インドネシアに駐在したことがあるので、この問題には大きな期待と不安

を持ってきました。 今回初めての合格者が出て、大変良かったと嬉しく思っていますが、

それにしても、外国人にとって難解な「漢字」をよく克服できたものと感心します。


看護・介護分野での外国人受け入れについての動きは次の通りです。

・2006(H18)年9月 「日本・フィリピン経済連携協定」締結(2008/12発効)。        
・2007(H19)年8月 「日本・インドネシア経済連携協定」締結(2008/7発効) 

* 経済連携協定(EPA): Economic Partnership Agreement
* 受け入れ実績
     <インドネシア人>
     2008年度    看護 104人、介護 104人、 計208人
     2009年度    看護 173人、介護 189人、 計362人
     2010年度見込み 看護 121人、介護 179人、 計300人 

     <フィリピン人>
      2009年度    看護 93人、介護 190人、 計283人
      2010年度見込み 看護51人、 介護 75人、 計126人      


看護師の候補者になるには、自国において、看護師の資格を有しており、2年以上の実務経

験が必要とされています。 また、介護師の候補者になるには、自国において、看護師の資

格を有していること、もしくは、高等教育機関(4年生大学や看護大学)を卒業して、政府

から介護師として認定されていることが必要とされています。

いずれにしても、日本に研修で来る人たちは、なかなか優秀な人ばかりといえます。


受け入れに当たっては、「国際厚生事業団」が唯一の斡旋機関として指定されています。

首尾よく研修候補の選考に合格し、日本に入国した後の一連の流れは次の通りです。
 
 ・6ヶ月間の日本語の研修
   (海外技術者研修協会と国際交流基金が共同で実施)

  ・日本国内の看護、介護施設で就労
    (就労中は給与は全額施設負担、日本の社会保険が適用。就労中の各種の研修
     も施設実施)

  ・看護師、介護福祉士の国家試験受験

  ・合格者は新たな在留資格で就労、不合格者は帰国
    (看護は入国後3年以内、介護は入国後4年以内に合格必要)

外国人労働者の受け入れについては、‘日本国内の人手不足解消策’として検討されてきた

側面がありますが、‘日本の看護師や介護師不足の原因解消にどのように取り組むか’とい

うことと共に、我が国がアジア諸国の人材教育や人材活用等にいかにして寄与していくのか

という面からも、積極的に取り組んでいかなければならない重要な課題と思います。


インドネシア、フィリピン両国からの受け入れに際し、日本看護協会が要求した「受け入れ

の4条件」がすべて入っています。

  ・日本の看護師国家試験を受験して看護師免状を取得すること
  ・安全な看護ケアが実施できるだけの日本語の能力を有していること
  ・日本人看護師と同等かそれ以上の条件で雇用されること
  ・看護師免状の相互承認は認めないこと

なかなか厳しい条件がつけられたものと思います。

今回の制度は、そもそも国家間で進められたものですので、受け入れる施設に経費すべてを

負担させるのではなく、政府による経費の援助がなされてしかるべきと思います。また、

国家試験は日本人と同じ条件で受けることになりますから、入国後短期間に日本語、中でも

‘専門用語’や外国人にとって難関の‘漢字’を習得しなければなりません。

次は、平成21年2月の看護師国家試験に出された問題の一例です。果たして日本人の何%が

漢字を正しく読める(そして意味が分かる)でしょうか?

「消化管の異常とその原因の組み合わせで正しいものはどれか」
 1、麻痺性イレウス――――――――――腸捻転症
 2、絞扼性イレウス-―――――――――-胆石発作
 3、弛緩性便秘-―――――――――――-糖尿病自律神経障害
 4、痙攣性便秘――――――――――― 硫酸モルヒネの内服

 「甲状腺機能低下症の身体的所見はどれか」
  1、眼瞼浮腫
  2、眼球突出
  3、心悸亢進
  4、発汗過多


 日本政府は、漢字に「読み仮名」をつけることや、受験の機会を増やすことは考えていな

いとしているので、今後もインドネシアやフィリピンからの研修生の中で、看護や介護の実

務では高い評価を受けていても、国家試験の漢字に泣かされることになり、やむなく帰国さ

せられる人が続出するものと思います。 アジアの優秀な人材を日本から締め出すことにな

り、日本への不信感が生まれる可能性があります。 試験の方法や国家資格の見直し(たと

えば実技で優秀であれば、准看護師等への処遇)など直ちに具体的な方策を実施すべきと思

います。


インドネシア、フィリピンをはじめ、アジア諸国は第2次大戦で日本軍が占領した国でもあ

り、日本が様々な分野で協力し、助け合う姿勢を示すべきですし、日本に対する複雑な民族

感情にも配慮すべきと思います。 


(2010年4月14日記 花熟里)
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