ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

愛しのおっぱい(2)

2004-08-31 | 乳がん
放射線治療に通う日々に リズムがついてきた。

大好きな新聞を読んでいて、
『ブラック・ジャックになりたくて』という本が出た、
という記事を読んだ。
間もなく、そのブラックジャックになりたかったという医師の
講演会があるという記事も掲載された。

亭主に行きたいと申し出ると、
許してくれた。
日曜日なので、ドキドキしながら 言い出したんだけど。
多分 子供の 運動会を除いて、
初めて 日曜日に、しかも 一人で 出かける。

2003年2月2日。
『乳房再建の最前線』の講演会は、
澁谷クロスタワーホールという所で 開かれた。
澁谷で降りるのは、久しぶりだったし、
初めての場所に 一人で出かけるので、
少し、ドキドキ。

講演は 『ブラック・ジャックになりたくて』の著者、
岩平佳子先生。
白っぽい髪の色がきれいで、パワフルなしゃべり方で、
ステキな女性。

いただいたパンフには、
よく太った赤ん坊に 乳房を含ませる 豊満な女性の絵があり
(ルノアール?)、
「乳房をうしなってしまったあなたへ、失うかもしれないあなたへ
 ――乳房再建について知っていますか?――」
とある。
「乳房を失ってしまったあなた」に、私は 入ってしまったんだなあ、
と思う。
こんなはずでは なかったんだがなあ、との思いがある。

乳房再建というのは、
そういうのがある、くらいの知識しかなく、
自分とは縁のない話だという認識でいたから、
初めて目にし、耳にする事ばかり。
ティッシュ・エキスパンダーとか
ソフト・コヒーシブ・シリコンなんて、
ほんと、聞いた事なかった。
腹直筋という言葉なら、最近では スパスパ、あるあるで
目にするけれど。

講演の後半では、スライドを多用して、
いろんな実例を 自分の目で見る事ができた。

だけど、私が 求めているような、
完全に左右の形・大きさの違いが わからないような、
完璧なスライド写真は むしろ少なかった。
プチ・成形などと呼ばれるものもあり、
広く行われるようになった形成手術だが、
乳房に関しては、まだまだ 完璧ではないことが 多いのだ。

その上、より自然な乳房を作るためには、
自分のお腹の筋肉や(ハイ、腹直筋です)、
背中の筋肉(広背筋というそうです)を移植するので、
新たに お腹や背中に 傷ができる。

費用がかかり、入院せねばならず、
しかも 傷が残ったり 不自然な形だったり、では
思い切りがつかない。

しかも、
私が その時続けて受けていた 放射線治療、
これは すぐに再建するのには 向かない治療だった。

私は、
すぐにでも 
今までと同じ おっぱいが 欲しかったらしい。
左腕の作業が できるようになるのと 同じ位、すぐに。

アメリカに比較すると、
がん治療だけでなく、
術後の形成手術についても かなり遅れている、日本。
保険がきく、きかないも、理解に苦しむものもある。
病気の治療の一環に 形成術がある、という認識の芽が、
やっと、ほんのちょっぴり 出てきたところ、
という感じ。
全摘出の人の場合は、
やはり 違いが歴然としているので、
より 重要度が 高いとは思う。
温存手術の人の 資料は、それにしても、まだ少ない。

スライドの中にあった、
アメリカの 乳がんで手術した女性達の ヌード写真集の明るさに
救われたような気持ちになりつつも、
私は 大いに がっかりし、
また、どっと 疲れて 帰宅した。

寒い、寒い、冬の日曜日。
完璧な乳房再建は、難しい、と悟った日。
がっかりして ホールを出てきて、
それでも 本屋に立ち寄って、帰った。



4 コメント

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おっぱい (arfa)
2004-09-03 20:04:21
おとこのおいらにはコメントのしようがないので・・・ごめんね。





風さんのさいとで「ブックマーク」に入れてもらえたみたいだよ。

いっぱい見に来てくれるとおいらもうれしい。



ジョルジュさんも左にあるブックマークに風さんのを入れてみたら?

編集画面で直ぐに出来るとおもうよ。

さんでのんびりやって下さい。



リエルさん、ぜんぜん帰ってこないねえ~

アテネに住み着いちゃうんじゃない
できたかなー (ジョルジュ)
2004-09-04 13:07:25
ブックマークって、こういうことだったんだ。へー。



リエルさん、アテネに、オリンピックがらみで

行ったんだよねー。

パラリンピックに ボランティアで 参加するかな?
はじめまして (ひさ)
2004-09-04 22:41:19
風さんの所からやってきました。同じ女性として色々考えさせて頂くのにとても素敵なブログだと思いました。私は医療関係者です。なので、ジョルジュさんと同じ苦しみを味わっている方とも接する事があります。そのときは、スタッフと患者さんという形なので、深い心の傷までを奥深く話したりすることはありません。聞くと辛いだろうな…と違う話をしたりしてしまうのです。色んな思いを知るっていうのは大切な事だとも思っています。また訪問して勉強させて頂きたいと思います。
ひささん、はじめまして。 (ジョルジュ)
2004-09-05 00:22:07
お勉強になるようなブログとは思ってませんので、

照れます。。。

私が 医療者に望む事、それは、

元気で、機嫌よくあってほしい。

自身の健康、これ、大切だと思うんです。

忙しいですもんね。

長い時間 待たされる事は しょっちゅうだけど、

いつも、誰も さぼってないんです。

大変だと思います。

尊敬してます!

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