ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

レントゲン宿酔

2011-08-29 | 考えたこと
秋月辰一郎(あきづき・たついちろう)という医師は、
幼い頃から身体が弱く、
そのために医師になったのだという。

そんな秋月氏が 原爆に遭い、
必死の加療の日々を過ごし、
そうして、89歳まで生きている。







クイーン・オブ・スウェーデンは 直立して成長する。
だから、栽培するのに 場所をとらない。
今年は 多少株も大きくなり、
うどんこ病もなく、何度も花を咲かせてくれた。写真は2番花。






「子宮癌、乳癌の転移巣にX線深部治療をする。
 一日、二日と連続して照射すると、
 患者は一種の病的症状を起こす。
 これは「レントゲン宿酔」(レントゲン・カーター)と呼んでいた。」(p119)



医師不足の病院で 
月曜日から金曜日まで、毎日、X 線透視をする。

生来虚弱体質の秋月医師は
金曜日ごろになると、気分が悪くなった。

「ああ、それはレントゲン・カーターだ」と先輩から教わった。



「八月十五、六日ごろ、私は自分の症状が、
 このレントゲン・カーターに酷似していることを
 明瞭に記憶している。」(p120)






   ナスの花






秋月医師は かつて レントゲン教室で
自分の患者や自分自身が 
レントゲン・カーターに苦しんだ時の 治療法を思い出した。

それは 「塩水を飲む」という事だった。

生理的食塩水よりも 少しよけいに塩分を含んだ塩水の飲用を
患者に勧め、また 自分も飲んだ。

そうすると 気分が良くなった。

これは 当時 レントゲン教室で研究・労働していた人々の
常識であったという。

研究しているだけで 被爆を繰り返す、なんて、
すごく乱暴な時代であった事は 確かなようだ。






原爆とは何か? を まだよく把握していない状態の中で
秋月医師は 研究者としての直感として? 
自分が レントゲン・カーターに似た状態である事から、

「爆弾を受けた人には、塩がいいんだ。

 塩が、効果があるんだ。」(p120)

と言った。

「玄米飯に 塩をつけて握るんだ。」

「からい、濃い味噌汁を、毎食食べるんだ。」



ハイ、結果が出たよ。

秋月医師は どれもみんな、オススメしてたようで。

塩も 味噌も 玄米飯も、正解!

いっちばん、つまらない結論!(苦笑)






   ニンジンの花






また消えると泣くから、今日はこの辺で(笑)。



それにしても、
生理的食塩水よりも塩辛いって、そうとう濃い塩水だよね。

塩分の摂取を抑えるようにと 言い渡されている人たちには
カナシイ話だ。



でも、秋月医師が語っているのは、
 
NaCl じゃない、

日本専売公社(現在の財団法人塩事業センター)で売ってたのではない、

昭和46年に 塩田が廃止されて 
イオン交換式製塩法に切り替えられる以前の、塩。

昔、の、塩。

(「食塩」というのは、イオン交換膜製塩法で製造された、
 高純度の塩の事。)



いわゆる<自然塩>なら、血圧は上がらない、というが、
私には それが本当かどうか、は わからない。

わかっているのは、
<自然塩>が 美味しい、という事。

お漬物が 美味しくできる、という事。

お値段が、少々? 高い、という事。



≪塩≫って、案外、ムズカシイよ。