ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

みつばちの家

2007-05-11 | なんでもないこと
今年の春は なんだか タンポポが元気だった。

いつもの年よりも いっぱい花が咲いた気がした。



今はもう 紫苑などの高い植物に隠れてしまっている。



この タンポポの野原の向こうにある家は
昔 ミツバチを飼っていたという。



あの野原の向こうの常緑樹の列植、

その列植の向こうがそのお宅の裏庭。

広い裏庭!

今ではパッとしない家庭菜園になっているが
そこで飼っていたらしい。





我が家には
どかんとひとつ、梅干を漬けるような広口ビンに
無添加と思われる
どす黒い蜂蜜がはいっているのがある。

白雪姫の継母が作ってリンゴに塗った毒ではないか?
と思うような色だ。



いつから我が家にあったろうか?

戸棚の下の段を占領して、そうとう邪魔なんだけど。

というか、その存在を たまにする掃除の時まで 忘れている。。



そのお宅のおばあさまが
「夫がもう年をとってきたから 止めますので」
と持って来て下さったのだ、と
亭主から聞いた。

「お前がそう言っていたんじゃないか。」

すっかり私は忘れていたのだけど
それを聞いてから だんだんに思い出した。

受け取ったのは、私だった(苦笑)。



当地ではわりあい有名な養蜂会社の
株をお持ちだったというご主人は
ムラの重鎮だった方。

「会社から受け取った巣箱で 
 夫と楽しみに飼っていたのですけれど。」

田舎のおばあちゃんとは思えない、
小柄で上品な老婦人の顔が目に浮かんでくる。



春ならば蓮華や菜の花があったろう。

では、夏は? 秋は?

効率を無視して 楽しみで飼っていたであろう蜂。

さすがにこの近辺では それほど蜜が集まったとは思えない。

ミツバチは 半径2キロが行動範囲だと言う。



先月15日の新聞の日曜版に
都会のビルの屋上でも(強いビル風にさえ気をつければ)、
養蜂ができる、とあった。

日本在来種みつばちの会の会長の
 藤原誠太さん(ホームページはコチラ)による。)

文京区のマンションの程近くには
上野公園や小石川植物園などがある。

最初の年から 意外なほどたくさんの蜂蜜がとれた、と

定年退職して12年、元仕事人間という 77歳のおじいさんが
面布ごしに 実に嬉しそうな笑顔を見せている。






近所の、ハクウンボク?
藤の花のような濃い香りがして 蜂が集まってきている。



「ハチは 優しくすればおとなしくなるし、
ぞんざいに扱えば荒い性格になる」
とは藤原さんのことば。

我が家のご近所の老夫婦は
長い間 優しく蜂の面倒を見ていらしたのだろう。

(日本ミツバチだったかどうかは不明。)

ご主人が先に旅立たれ、

奥さまはその後も長く 近所のお散歩をなさっていたが
残念ながら100歳未満で鬼籍に入られた。



お元気だったなら 私も見学させていただきたかったし
今なら お手伝いもさせていただきたいところだが

蜂蜜をいただいた頃は 子どもたちもまだ小さくて 
私は無我夢中の日々だった。

(15年くらい前の蜂蜜、ということになるが、
 品質に変化はなさそう。。。汗)

屋上でも飼育できるというなら
我が家はベランダでも育てられたろうに。



きのうで 当地に来て21年たった。

私たちの 当地での苦労の日々も
こうした何気ない近所の人々の善意に支えられて

そうして今がある。