ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

錦秋名古屋顔見世「恋女房染分手綱」「番町皿屋敷」「蜘蛛絲梓弦」 @名古屋・日本特殊陶業市民会館

2017年10月14日 | 歌舞伎・文楽

歌舞伎「錦秋名古屋顔見世」(10月12日 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール・昼の部)

恒例の「錦秋名古屋顔見世」。今年も金山の「日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館)」にて開催。来年は御園座が杮落しなので、これで最後になるのかな。今年は珍しく9月に入ってすぐに秋らしくなって、10月には小寒い感じもあったのに、前々日ぐらいから夏日に逆戻り。昨日よりは少し収まったけれど、汗をかくのは嫌なので地下鉄からの連絡通路を使って会場へ。席は2階席。ビレッジホールは大きくないので充分に見られる席だ。客の入りは自分の周りを見る分にはまあまあじゃなかったかな。

 

一幕目は「恋女房染分手綱」。行き別れた母親と子供が主役の話。この子役が素晴らしかった。名跡のジュニアではないと思うが、見得も堂に入っていて、長台詞も危なっかしいところが無く、抑揚は無いものの(歌舞伎の子役の台詞は棒読みに近いものと決まっている)、演技も上手い。慣例で襲名以外で子役の名前は出ないのが惜しいが熱演だった。それにしても後ろの席のおばはん2人がずっと膝の上(つまり自分の頭のすぐ後ろ)でビニール袋をガサガサと触る音が気になる…(チッ)。

二幕目はお馴染みの「番町皿屋敷」。主役は梅玉。結婚していない血気盛んな独り身の武士を演じるには少し年齢が行き過ぎているが、それも含めて歌舞伎の独特なところ。爺さんが若い娘を演じたりもするからね。お化けになって出てくる話ではないが、壱太郎の独特の口跡がお菊の心情と重なって…、怖い(笑)。しかし、あれだけくどいほど事前に携帯電話の注意が入るにも関わらず、相変わらず鳴らす馬鹿が居て、うんざり。しかもたいてい静かな場面なんだよなァ…。

三幕目の「蜘蛛絲梓弦」は愛之助の5役早変わりが目玉のSF妖怪スペクタクル! 歌舞伎のこういう振り切ったところっていうのは本当に不思議で面白い。どこからああいう発想が出てくるのか…。愛之助は老人役でも男役でも女形でも懐の深いところを見せていた。声色も多彩。この日は”大向こう”(「〇×屋!」などと声を掛ける人)は2階の端っこの1人のみ。声が重なってしまったり、下手なタイミングの人も居るので、ずっと無くても別にいいと思っていたが、やはり役者が見得をしたところで声が掛からないのは結構寂しいものだ。

巡業公演だと演目のうちひとつは短い舞踊だったりして物足りなさを感じることもあるが、この日はさすがに錦秋名古屋顔見世、3幕共に物語がある演目で、見応えがあってとても満足して会場を後にした。それにしても東京に住んでいる人は毎月替わりで楽しむことが出来て羨ましいなァ…。

 

一、恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)

重の井

乳人重の井        魁春
腰元若菜          吉之丞
本田弥三左衛門   東蔵

 

岡本綺堂 作

二、番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)

青山播磨         梅玉
お菊             壱太郎
後室真弓         歌女之丞
腰元お仙         梅丸
奴権次           吉之丞
用人柴田十太夫  橘三郎
放駒四郎兵衛    愛之助

 

三、蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)

片岡愛之助五変化相勤め申し候

小姓寛丸      愛之助
太鼓持愛平
座頭松市
傾城薄雲太夫
蜘蛛の精

碓井貞光      松江
坂田金時      亀鶴
源頼光        梅玉


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